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【感想】アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
『作品の評価』
飛躍した世界観ではあるが、アンドロイドと人間が共存する可能性の世界はいつの日か来るかもしれない。その世界を生きていたとして、私はアンドロイドに対して何を思うのか。その点で、考えさせられる作品であった。
『アンドロイドをどう見るか』
この世界には、アンドロイドと電気動物の2つの偽物が存在する。この偽物に対して何を思うか、どう接するか。ここが、この作品で考えるべきポイントだと思う。私は、この2つに対する考え方は同じだが、接し方は真逆のものとなるだろう。リアル猫と電気猫、この2つはどちらも懐いてくれる。ならば、本物が欲しいと思う。そして、懐いてくれる前提なら、アンドロイドより本物の人間がいいと思う。しかし、現実はそうではない。ここでは、パートナーという視点で語ってみる。「手に入らないかもしれないイケメンや可愛い人間」より、「手に入るイケメンや可愛いアンドロイド」の方がいいと思うのは私だけだろうか。もし、アンドロイドと人間が共存する世界が来たら、みんなはどちらを選ぶだろうか。どちらを選ぶかによって、その人の人間性が試される。自分への意識が強い人間ほど、アンドロイドを選ぶ。つまり、自己を満たしてくれる存在に価値を感じる。他人への意識が強い人間、共感を大事にする人間と言ってもいい。そういう人間は、本物を選ぶだろう。どちらが正しいという話ではないが、自分の人間性が現れる選択だ。この本を通じて、私は他人を、どれだけコスパよく自分を満たしてくれるかで測っていることがわかった。我ながら最低な気もする。つまり、人間もアンドロイドも私にとっては他人で、そこに大きな違いはない。