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【超ショートショート】(305)~青空に溺れる敗北者~ASKA『抱き合いし恋人』

ひとりだけ 
広い空の下
取り残された心寂しい気分になる
狭い視界から見える
景色がある。

ある朝
空は今にも雨が降りそうな降らなそうな
朝顔の鮮やかな紫色も映えない
グレー色の空色
まるでその時の自分の心色を
空色管理人の神様が見せたようだった。

朝は
すれ違う人たちのこと
何も気づかなかった。

大きな荷物を背負い
やっと到着した習いの場。

空色ににぎやかな色でもまぜる勢いの
明るい声がたくさん聞こえる。

誰かと誰かの恋の始まりのお話。

その男の人は不器用で
でも一途に正直者だった。
言葉で「好き」と言えないけど
行動がかなり強引に
でもその男らしい強引さに
ときめかない女性はいないだろう。

たぶん何十年も前の恋の始まりが
今は結実して
同じ場所にいらっしゃった。

檄が飛ぶ習いの場に
そんなほのかにピンク色の
あたたかいストーリーがあったなんて
その日の私にとっては
よりひとりと思わされるお話だった。

習いの場では
悔しさに涙が出る結果に終わった。
どんなに想いがあっても
埋められない大きな
立場の溝や経験値の距離
今日のやる気も消されてしまう
誰からも求められていないんじゃないかと
思う無価値感
自分の存在場所を見失ってしまった。

そんな敗北した心色に
空色管理人の神様が見せた空色は青空だった。

「いつか闇が晴れて願いが叶うことを
祝福する太陽の輝きがきっとある」

そう伝えたかったんだろうか?

またひとり帰る道で
朝と同じ景色のような
すれ違う人たちがいた。

誰かと誰かの恋のお話が
そうしたすれ違っていく人たちにも見えて
敗北者気分には拷問のようだった。

飾り気のない服装に
穏やかな微笑みと
甘い声の対談
手を繋ぐ者はいなかったが
繋げそうな互いの体温を感じられる距離に
そっといるしあわせな男と女たち。

自身の今世で与えられた性を
愛で満たす者の
底知れぬ生きる力の強さに
私は敗北者なのだろう。

悔しさで自然と流れる
面金のなかの涙。
流れる涙を手で拭うことはできなかった。

狭い視界が教えてくれてのは
世の中に溢れる愛の泉の中で
敗北者が
ひとりぼっち溺れらるしあわせ。

とりあえず
私はしあわせ者らしい(笑)

(制作日 2023.9.19(火))
※この物語はフィクションです。

このお話は、
散文詩にしてみました。

「面金」とは剣道の面のこと。

さて、いつもみたいに
このお話に曲を付けるとしたら
(お話を考えていた時に
次の曲が浮かびました。)
ASKA『抱き合いし恋人』
作詞 ASKA・松井五郎
作曲 ASKA
編曲 旭純

少し歌詞を書いてみます。

~~~~~
 
(1番サビ)
きっと幸せは
ほんのわずかな愛を見逃さないこと 
 
続けてくふたりのままが 
いつの日か思うかたちになる
代わるものはなく 
 
(2番サビ)
僕が願うのは
どんなわずかな愛も見逃さないこと 
 
まだ白い次の一行 
どんな言葉を並べてみよう
君のためだけに
愛のためだけに 
 
~~~~~

ASKAアルバム『SCENE Ⅲ』(2005.11.23発売)より

お話では、 
「男性の行動による愛情表現」を書きましたが、
いろいろ世の中で語られるのは、
やっぱり男女の違い。

男性は好きな人には
「好き」と言葉にして
言えないんだそうですね!
そのため女性は男性の気持ちがわからず、
「嫌われた」とショックを受けてしまう
そんな男性の好きだからこその
素っ気ない様子に悩むらしい。

「好き!」ってたった2文字なんだから
言えばいいと思うのですが、
やっぱり男の人には苦手らしい。

そのため、
男性の愛情表現は行動になるというのです。

でも女性からしたら、
その行動が愛情表現なのかの判断って
付き合ってる恋人でないと
なかなか難しいもの。
勝手に「今の行動、好きって意味かな?」
なんて他人、特に女友達に言おうものなら、
速攻で否定されることでしょう。
「自惚れるな!」と言うふうに。

世の中の恋人たちは
どんなふうにその愛を結実させていったのか?
私には、
どこか世界の七不思議みたいに
皆目検討もつかない。

でもそんな七不思議が
私の身の回りに溢れていて
その溢れる愛の泉に溺れられて
しあわせですね。

誰か自分の代わりに
しあわせを経験されているわけですからね。

末永く恋人たちには
しあわせでいて欲しいと思います。


(ニックネーム)
ねね&杏寿


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