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施設物語 第3話: 日常の中で

 「ひまわりの家」での生活が始まってから数週間が経ちました。明子さんは少しずつこの新しい環境に慣れ、日常のリズムを取り戻しつつありました。朝は明るい陽射しの中、広々とした中庭で体操をし、続いて皆で朝食を楽しむ時間がやってきます。スタッフたちの温かいサポートのおかげで、明子さんも自然と笑顔が増えていきました。

 ある日の朝、明子さんは体操の後、花子と一緒に中庭のベンチに座っていました。「明子さん、最近どうですか?何か困っていることはありませんか?」と花子が尋ねると、明子さんは少し微笑んで答えました。「ここでの生活は思ったよりも快適です。皆さんがとても親切で、安心して過ごせています。」

 その後、明子さんは昼食前の趣味の時間に参加することになりました。彼女は久しぶりに絵を描くことを楽しんでおり、キャンバスに色とりどりの花を描きました。他の入居者たちもそれぞれの趣味に没頭し、編み物や手工芸、音楽など、様々な活動に取り組んでいます。明子さんは自分の作品を見て、少し誇らしげな気持ちになりました。

 昼食の時間になると、皆が食堂に集まりました。明子さんは、隣の席に座った田中さんと会話を楽しみながら食事をしました。「明子さん、今日はどんな絵を描いたんですか?」と田中さんが尋ねると、明子さんは嬉しそうに答えました。「今日は庭に咲くひまわりを描いてみました。色鮮やかでとても楽しかったです。」田中さんは興味津々に聞いていました。

 午後のお茶会では、入居者たちが集まり、皆でお茶を飲みながら談笑しました。明子さんも自然と会話に参加し、過去の思い出や最近の出来事について話しました。花子はその様子を見守りながら、明子さんが少しずつ馴染んでいることに安心しました。

 夕方になると、明子さんは自分の部屋でくつろいでいました。窓からは美しい夕日が見え、彼女はその光景に心を奪われました。部屋の中には、彼女が描いた絵が飾られており、新しい生活の中での小さな幸せを感じていました。

 一日の終わりには、明子さんはベッドに入り、今日一日の出来事を思い返していました。「ひまわりの家」での生活は、予想以上に温かく、居心地の良いものでした。彼女は、この場所での新しい日常を楽しみながら、自分のペースで前進していくことを決意しました。

 こうして、明子さんの日常は「ひまわりの家」での暖かい絆と共に続いていきました。次第に彼女はここを「家」と感じるようになり、心からの安らぎを見つけたのでした。

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