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第2話: 帰宅願望との向き合い
帰宅願望の強い認知症の入居者たちは、時折理由を作って施設から出ようとします。小森さんも「友達が来るから」「病院に行かなくてはいけないから」と言って、家に帰ろうとすることがありました。職員たちは、一人で外出させるわけにはいかないため、うまく対応する必要がありました。
花子は認知症の対応のポイントとして、「否定しないこと」「一旦受け入れること」「違う理由で納得してもらうこと」を心掛けていました。例えば、小森さんが「今すぐ病院に行かなくてはいけない」と言った時、花子は「病院には明日一緒に行きましょう。今日はここでゆっくり過ごしましょうね」と優しく声をかけました。小森さんは花子の言葉に安心し、納得してくれました。
一方、東野さんも帰宅願望が強く、何度も事務所に「いつ帰れるのか」と尋ねに来ました。事務所の職員たちは、東野さんの不安を和らげるために、「今日はここで一緒にご飯を食べましょう。明日、おうちに帰れる日を確認しましょう」と優しく対応しました。東野さんはその言葉に納得し、穏やかに戻っていきました。