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青空の中の鳥。#1


「それでさ〜、光ちゃんはさなんでこんな所にわさわざ1人で東京から?」
「もしかして、傷心旅行?笑」

たまたま居酒屋のカウンター席で隣になった、同い年若しくはそれより上の雰囲気の男の子2人と、光は話していた。

「大学も卒業近いし、帰省のついでに一人旅したくて〜〜」

愛想の良い感じで今っぽく光は振る舞った。
彼女はそうやって今まで「振る舞う」ことで生きてきた。

「え!大学生?じゃぁ一個下とかやない?」
「そうやんそうやん。差し支えなければ年齢とか聞いても良いですか?」
「あ、もしかしたら1個上とかかもです。。浪人してるんで」

東京でも何十回、何百回したやり取りを
ここ九州でもするのかと思いながら
歯ブラシに歯磨き粉をつける様になんの意識も介さずに、お決まりの文章を口にする。

「うわ〜、そうなんや〜!でもすげぇ〜わ〜、一人旅なんか!かっこいいわ〜」

実際は、この今までのやり取り全ての流れをもう何度か経験している。

今回はたまたま1人旅先の鹿児島で。
いつもは東京の飲み屋でだ。

「そんなことないですよ〜!1人で色々行くの好きなんですよねー!気楽で!」

「でも、わかりますよ。1人楽ですよね。一人っ子だったからかな〜?」

「そうそう。私も一人っ子!」

他愛もない会話を少しばかり続けた後所在なくふらふらと、またふらふらと彼女は鹿児島の夜の街に、そこで出会った男2人と消えていったのだ。


#2へ続く

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