サルの置物の修理が出来上がってきた!ー富山県高岡市の(ここ大事!)銅器やさんでの面白い出来事(笑)
先日、もう一週間前になるけど、申の干支の置物が仕上がってきた。
初め、申の置物の足が台座から外れているのを見て、
ああ、どうしよう!娘の身に何かあったら・・・。
と思い、思い切り焦った。
発覚するや否や、ネットで調べ、電話した先には、
あのう、こんなことでお電話していいのかどうかもわかないんですけど・・・。
と話し始めた。
できるかどうか見てみます。
どこにお住まいですか?ああ、だったら持ち込めますね?
いやいやいや、義父の口からよく聞いていた、あの有名な銅器やさん。
○○さん、と言っておられた。
こんな小さな仕事を頼んでよろしいのかしらん?
東西南北から写真撮って、メールで送ってもらえます?
あああ、東西南北、どうしよう?とんでもなく高価なものだと思われていたら・・・?
東西南北かどうかはわからないが、とりあえず正面からと足と台座とあれこれ撮ってみる。
見積しますから、持ってきてください・・・。
とのことで、持ち込んだ。
そのときもあれこれ楽しい話になった。
すみません。こんなことお願いして・・・。
あの、○○さんでしょ?こんなことお願いしていいのかどうか悩んだんですけど・・・?
と話すと、
こういうのを持って来られる方というのは、思い入れがあるんですよね。先日も、一人持って来られた方がいらして・・・。
とナイスフォローをしてくださった。
ものすごい老舗の名店である。
高岡のそこかしこにこのお店で作られた銅像がある。
どれほどするのだろうか?
とんでもない金額になったりしますか?
とお聞きしてみると、
まあ、一万円以内でしょうね。
とのこと。
まあ、お義父さんが買ってこられた物だから、そんなにめちゃくちゃ高価なものではないと思うんですけど・・・。
というと、
いや、これ、修理したら結構しますよ。
昔はこういうのたくさん作ったんですよねえ。
でも、今はなくなって・・・。
こういうのいったい作るのに鋳型が必要で、○○万ほど作らないと採算合わないんで・・・。
などとおっしゃっていた。
高岡が大好きな私が、
もっと宣伝しましょう!
などと不遜なことを言うと、
宣伝してるんですけどね・・・。
と返された。
富山県外に行くと、あちこちに行っては富山の宣伝をしてくる。
関西のなまりがあるくせに、どこに行っても、
富山~、富山~!
と話している。時に高岡になる。
まあ、この場合、範囲は広くしておく方がいい。
京都の大学のセミナーに行ったときは、京都産業大学の先生に大いに捕まってしまった。
高岡!あかんよ!
ものすごいええもんもってるのにな、自分らだけでそれで暮らして・・・。
僕の友達にな高岡出身の奴おるけど、高岡に仕事ない言うて、帰らんのや。
あんな、どこかの会社が一つ高岡に行って、百人働いてもあかん。
十人働ける会社が十個あるほうがええ。
どうしたらいいんですか?
とお尋ねすると、
よそから人を連れてこなあかん。
私でもいいですか?
と言ったら、
あんたでもええ。なんとかしい。なんかあったら連絡してきて・・・。
と言われ、再度顔を合わせた時には、また、
高岡あかんよ!
と言われた。
でも、その言葉からは、高岡をいいものだと評価し愛で、もっともっとと思ってくださる愛情が嫌というほど伝わってきた。
なぜか母校の先生とも連絡し、何とかするすべを教えていただいていたりした。なんてことなくフェイスブックでつながったのが、とんでもない教授だったのだったけど。
学部は違ったが(こういう話、私は文学部なので、当然他学部の先生とになる。)、どこそこの市長やあれこれの市長は教え子である。また、どこどこの会社の社長と会ってきた。面白い話が聞ける・・・。
などとあれこれおっしゃっていた。
そして、アドバイスをいただいた。
ちょっとやってみたが、そっちの方はなぜかフォロワーがたくさんになっている。
が、そのあと、実家の父がなくなり、コロナ禍が始まり、そういえば尻切れトンボになっている。
そうそう最近あちこち出歩くことが多くなった。
当然再開しなければならない。どうも待ってくれている人も多そうである。
そうだそうだ。使えるものは、使える人は使わなくちゃ!
先生すみません。
その高岡の文化の中心にあるといっても過言ではない銅器。
その銅器のお店に自分が行くとは思っていなかった。
そして、申の置物の修理が終わったというご連絡がきた。
だから行ってみた。
先日とは違い、行くと、受付とは違う、先日楽しくお話していたテーブルで何やら商談中のようである。
銀行員かあるいは違うビジネス系の人がいらっしゃる。
一人の作業服を着た人が、こちらに気付いて立ってきてくださった。
あのう、申の置物の修理をお願いしていた○○と申しますが・・・。
と言うと、振り返られたスーツ姿の人が、
ああ・・・。
とのことで、先日の社長さんだった。
商談と思しき話の途中で、女性の方が現れたのと同時に、二階に上がっていかれ、お二人で持ってきてくださった。
その間に、隣の商談テーブルでは、やっぱりビジネスが何とか・・・、と話している。
思わず先日の大阪の創作割烹でのコンサルとオーナーの話に入り込んで、面白い話になったのを思い出す。
いやだめだ、ここは高岡だ・・・。
と思って、でもやっぱり耳ダンボにして聞いてしまう。
ああ、そういうことだったんですか?
いやいや、私、技術の方の話かと思って、だから仕事中ながに、呼ばれてこっちに来たんで・・・。それだったら、こっちの話ですね。
と今は二階に行かれた社長さんの方に手をやる。当然空席。
申し訳ないなあと思っている。
お二人がサルを持って返ってこられた。
女性の方がお支払いしたお金の会計のあれこれをするために二階に行かれている間に、社長さんは、席にも戻らず、何やらお茶を出し始められ、おまけに高岡流にお菓子を出され始めた。
ええ?ええ?ええ?
私、サルを受け取ったら、さっさと帰りますけど?
第一、こんなお店、私らいてていいん?
庭に銅像とか作るような家じゃないけど?
いやいやいや、額ほどの庭に、犬の置物でも?
それはないって!
会計の方が下りてこられた後で、私の隣に、どっかりとお座りになった社長さんは、あれこれあれこれしゃべり出した。
あのねえ、これ、手術しました。
足からボルトを入れたんです。
また、力を入れると折れるかもしれないけど・・・。(エエッ!?それは困る!)
これねえ、ここも色塗って。ちょっと色濃くなってしまったけど。
うわあ、本当にきれいになった!ねえ?
と母に向かって言ってみる。母も感心して頷いている。
ただね、職人さんの重い腰を上げないと。
ストーリーを語ってね、やる気になってもらうまでが長いんですよ。
お舅さんからもらったもので、涙ながらに語られてね・・・、とか言って、やってもらうように仕向けるんですよ・・・。
最初は否定から入るからね・・・。
ああ・・・。
と感心していた。その過程のご苦労が分かる。
感謝するべし!
何度かそのさるこをさっさと持って帰ろうとするが、だって、隣で銀行員だかその他のビジネスマンだかがまだほかの人としゃべっている。
なんだかそっちの方が気になる・・・。
が、社長さんのお話はまだまだ続く・・・。
最近は北海道の熊も出なくなってねえ・・・。
いえ、出ますよ。二十五年ほど前は札幌市内にも出てました。
いや、本物の熊は出るけど・・・。
つまりはサケをくわえたあの木彫りの話だった。実家にもあった。
そこから長野の面白い村の話から、そこでマタギのショーの話やら、甘ーい千円もするキャベツが、持って帰ってそのままにしておくと普通のキャベツの味になるとか、あれこれあれこれお話が続いた。
一月の十七日に富山に帰ってきて雪がたくさん積もっててびっくりした!
などとおっしゃっている。
最初お会いした時には、どちらかというとおっとりした感じの方だった。
お電話ではとんでもなく親切な温和な感じだったし、メールの感じもおおらかな方だった。
それが、お話してみると、とんでもなく頭の回転の速い方だということが分かった。
なぜか、そうだった。母が大阪の人間だと話すと、
あら?お母さん、大阪の人?言葉出ないですねえ。
とおっしゃるので、私ときたら愚問を発してしまった。
こちらの方ですか?
とお聞きしてしまった。
そうですよ。
それこそ言葉が・・・。
と話すと(標準語だったから。)、
いやそれでは仕事にならないんで。今の若い人たちは・・・。
とおっしゃるので、
いえいえ、母の主治医の先生なんて、きれいな富山弁を話されますよ・・・。
とそのあまりのきっちりしたお言葉に感動したのを思い出した。富山の言葉は温かい。
ながで~、ながで~、しとるから~、って。
最近そういうお言葉を出されないから、ちょっと寂しいなと思っていたのを思い出す。
そう?それは戦略でしょうね?若い先生?ふうん?
患者さんに心を開いてもらおうというね。
さすがはビジネスマンである。
いやいやいや、先生はこちらの言葉を愛しておられるのではないかな?と思うが、当然のようにとんでもなく頭の回転も速ければ、とんでもなく人間的にも賢い洞察の深い先生だということはわかっていたから、そうかもしれない。怖がらせないように?
それから、もう、ジェスチャー付きで旅の話などを話されるので、おかしくておかしくて、隣の商談中のテーブルの人たちに悪いと思っている気持ちもどこかにぶっ飛んで、おなかを抱えて、涙を流しながら笑ってしまった。
いいんかいな?私らここにいてて・・・、と思っていたが、まあ、いいことにした。
最後はお見送りまでしてくださった。
大丈夫ですか?心配だなあ。落とさないように。ほら、アイスクリームとかでこういうのあるじゃないですか?
とソフトクリームを落ちないように持っていくしぐさをされる。
お母さん、おんぶしましょうか?
などとおっしゃっている。
そうそう、小さい母は私の半分くらいしかない。(笑)。
なんか私の横幅のあるのを、ちょっと、あのう、間接的に?
極めつけは、
ああ、車ぶつけないようにね!
と言いながら、私が先日からぶつけて、気にしている車の傷をしっかり触っておられる。
面白いことをあれこれ思いつくのがお得意な、とんでもない方である。
こういう方はとんでもなく仕事のできる方なのだろう。
サルの修理に行ったのに、ものすごく笑わせていただいた。
そのあと、その会社のことをネットで調べてみた。
一月十七日には、とんでもない、私とも関係する江戸期日本文化の象徴の一つを表す銅像のために、出張に行っておられたのだった。
銅器は九割が高岡のものだという。
なんとなく、シェークスピアの作品みたいに、あちこちにあれこれ情報が散りばめられていたような面白い話でもあった。
もしもサポートしていただけましたら、そのお金は文章を書いて人の役に立つための経験に使います。よろしくお願いいたします。この文章はサポートについて何も知らなかった私に、知らないうちにサポートしてくださった方のおかげで書いています。