笑うことの効用
先日、本当にホッとしたことがあった。
ある人の満面の笑みを見たからだった。
咲く、笑う、破顔一笑。
本当にお顔が、花が咲くようにパーッと開いたようだった。
その顔を見れば、そうそう嫌われてもいないし、むしろ喜んでいるのだということがわかる笑顔だった。
それに心の底から喜んでいるということがわかった。
笑顔によって人間関係がよくなるということもあるけれど、それよりもホッとした。そのお顔を見てホッとした。
娘も息子も、赤ちゃんのとき、歌を歌いながらおっぱいをあげていたら、本当に心地よさそうに、ふわーッと笑った。目がたれ目になって、一瞬おっぱいを吸うのを止めて、嬉しそうにふわーッと笑った。
そして次の瞬間思い出したようにまた一生懸命におっぱいを吸っていた。
可愛かった。
おいしいよ。気持ちいいよ。元気だよ。嬉しいよ。
と伝えてくれているようなしあわせそうな笑顔だった。
本当にホッとする瞬間だった。
笑顔は人をホッとさせる。
たとえば、相手が師という立場であるなら、相手の思うようにできているという合図として受け止められるかもしれない。
甘くて優しくて、いい加減でも許してくれるというのでは成長がない。
厳しい師の、時折見せてくださる顔に、明かりが点るかのような笑顔が開く。そんなとき、ああ、これでいいんだなと思わされる。
それに比べて、チラッと見てクスッと笑うというのはちょっと失礼な時がある。もちろん、好きな人に対してもそういうことはあるだろう。
でも大抵、誰かのことをちょっと下げてみたいときに、なされる笑いだと思う。
誰かを笑って、そのことによって、相手の価値を下げるというような。
そういうことをする人が私は嫌いである。
大抵相手を脅威に感じていたりして、それ以上何かをされると怖い、とか都合が悪くなるとかいうときになされる。
イヤーな笑い。
できることなら周りの人をちょっとだけでもしあわせにできるような笑い方をしたいものだと思う。