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スニーカーの話


最近物欲がエグい。
その物欲の大半はあるものに消える。

大人になってからハマったモノ、それがスニーカーである。
その中でも、ニューバランスが好きだ。もっと言うとロゴの「N」がちっちゃいやつが好きだ。
今では厳選された8足のニューバランスのスニーカーと生活を共にしている。

もともとスニーカーにそこまで興味は無かった。大学の時は、所ジョージ的ファッションに憧れ、アメカジスタイルで(正確にはアメカジ履き違えスタイル)スニーカーというよりはブーツを好んで履いていた。夏場の足の蒸れと臭いはお手の物だ。おじさんになっても履けるように、ブラッシングや補色など日々の手入れも頑張っていた。

そんなある日、友達と遊ぶため電車移動をしていたときだ。向えの席に座った男性の履いているスニーカーに目が止まった。それがニューバランスの「M1400NV(ネイビー)」だった。


ぱっと見誰でもわかるようなニューバランスのスニーカーだし、デザインにこれといった特徴もない。でも、このスニーカーを見た時、何か運命的なものを感じた。ビビッときたってやつだ。
本当に直感。なんかカッコえぇな。。。

家に帰ってからもあのスニーカーのことが気になってしょうがなかった。どこで売ってるんだろう?ABCマートか?靴流通センターか?(今考えると売ってる訳ない)都内の店を探したがなかなか見つからない。ネットで調べたところ、ニューバランスの原宿本店に行けばあるらしいとの情報をキャッチ。原宿に行くのは今回が初めてだ。

後日そのスニーカーを求め、ニューバランス原宿本店へ出向く。外観はニューバランスの「N」の
ロゴがどーんと入っている建物だ。
いかちぃ。




店内に入ると、アップテンポなBGMがかかる中、最新のニューバランスのスニーカーとアパレルが待ち構えていた。カラフルなデザインに機能性を兼ねたスニーカー、そしてスポーティでシンプルなロゴが入ったウェア。

これからオシャレ最先端の街で、静岡の田舎者が買い物をする。ちょっとした感動があった。

建物は4階建てになっており、メンズコーナーは
どうやら4階にあるらしい。
エスカレーターで4階のメンズコーナーへと急ぐ。

4階へ上がると、ちょうどエスカレーターの先に
店員がいた。そのまま店員に声をかける。
「あの!1400ってやつありますか!!??」
と食い気味に質問。店員の表情が引き攣る。
多分店員は引いていた。

ご案内しますと言われ、遂にあのスニーカーとご対面。これが、、あの、、、、カッコえぇ、、、






■Price 32,400円




高っっっ!!!!!!!!!!!!!
はっ?!?!えっ!?!?
さっ、3万オーバーだと!?スニーカーで?!

「履いてみますか?」と店員。

「いや、ちょちょちょちょっと待って下さい」
もはや、たじろぐしかなかった。

他のニューバランスの値段を見ても14,000円が平均的な価格なのだが、これだけ2倍以上している。

田舎者からぼったくるための罠なのかと思った。

別に動揺してないですよ、的な感じで一言。
「結構いい値段するんすねぇ〜」

おそらくその質問で察したであろう店員が、丁寧に教えてくれた。
「アジア産とアメリカ産では値段が違うんです。アジア産は全て工場生産してるんですけど、アメリカ産だと使われる生地の素材がアジアと違ったり、一部職人の手作業が入るんです。その分、アジア産に比べて価格が割高なんです。」

マジかーーーー 知らんかったーーーーー

私が今回欲しかったM1400は「MADE IN USA」
つまりアメリカ産であり、他のスニーカーに比べ価格が高いと言うことだったのだ。
確かに細かいところを見てみると、生地がスエード生地だったり、USAという刺繍が入っていたりと、細かなデザインが施されていたのだ。

「へーそうなんすね」と全然大丈夫っすよ、的な返事をするが、もはやそんなことはどうでもよくなっている。

大学生の3万はでかい。しかもこの時期、私はほぼ
ぷー太郎状態であったため、恥ずかしながらお金があまり無かったのだ。
正直はじめて一目惚れしたスニーカーではあったが、ここは一度身を引くしかないと、店を出ることを決意した。

何も買えないのが悔しいと思ったのか、帰り際
おそらくこのお店で1番安いであろう靴下を買って帰った。

ほろ苦原宿デビューだった。


月日は流れ、社会人1年目。私はあのスニーカーをまだ諦めきれていなかった。そして決めていたことがある。ボーナスが入ったら、絶対にあのスニーカーを買ったる。そして、Nのロゴが取れるまで履き潰したると。

そんな時、ネットである情報が出回った。

「ニューバランスM1400生産終了。現行品争奪戦勃発か?」



はっ?!?!?!? なぜだ!?!?!?
買えなくなるやないか!!!!!!!

正直これには動揺した。ネットを2度見するほど
動揺した。

あの憧れのスニーカーが買えなくなる。それだけは阻止したかった。なんとしてでも手に入れなければ、、
しかし当時はかなり仕事が切羽詰まっており
休日も出勤していたため、買いに行く時間もほとんどなかった。

近場でなんとか確保できないか、色々と調べていると、住んでいるところから数百m先にある
スニーカーショップがニューバランスの品揃えが良いとの情報。武蔵小山パルム商店街の中にある「MEXICO」という店だ。

時間を見つけ、一か八かで店に行ってみた。



あった〜〜!!!!まだ残っていた!!!しかも在庫も残り1つで、マイサイズの26.0㎝だ。

もうこれは私に買ってくれと言っているようなものだと思った。

店員に声をかけて、すぐに試着させてもらった。

あぁ、やばい。これは。なんかもう。うぁ。

言葉にならない。まさに至福。私は今、憧れていたスニーカーを履いているのだ。4年越しの夢だ。これを逃すとおそらく次は出会えない。

即決だった。金額なんて関係ない。
現金で3万3000円支払う。
店員に感謝を述べ、そそくさと店を出た。

店の滞在時間は多分10分ぐらいだったと思う。
ありがとうMEXICO。日本のMEXICO。

スニーカーの寿命なんて、たかだか4、5年程度だ。そんなものに金をかけるなんてと言われることもしばしば、というかほとんどである。
でも、大学時代から憧れていたスニーカーを手に入れたことが何より嬉しかった。

それからというもの、休日は常に履いて、履いて、履いて、履いて、もう履きまくり続けた。
どこまでも歩ける。噂には聞いていたが、ニューバランスは本当に履き心地が良い。

後々知ったのだが、私の買ったニューバランスのM1400という品番は、ニューバランスの歴史の中でも「幻の品番」と呼ばれているものだった。

そういった意味でもおそらく、私はセンスが良いのだ(ドャァ)


人間一度大きな買い物をしてしまうと、感覚が麻痺してしまうのだろうか。この辺りから、徐々にニューバランスのスニーカーが増えてきた。
完全にバグっている。というか、ラリっている。
もはや金額のことは頭になく、気に入ったものがあれば、問答無用で購入していった。

他人と被るのが嫌という私の謎のポリシーもあり、アメリカ産のスニーカーを中心に購入した。
海外から取り寄せたり、既に廃番になっているものは通常価格の2倍のプレ値で購入した。
スニーカーの総合計は20万を越えていた。
(アホだこいつ)

スニーカー業界でも、今どうやらニューバランスがきているという風潮もあり、今後も私のスニーカー欲はますます加速しそうだ。(誰か破産する前に止めてくれ)

買いまくってやるからな。
覚えとけよ。

〜余談〜
私が最初に買ったニューバランスのスニーカー(M1400NV)は5年履き続けた結果、ソール部分が劣化し、ほとんど履けない状態になった。

しかしそこはニューバランス。スニーカーメーカーでは唯一「リペア」というサービスがあり、ソールや中敷等の補修をしてくれる修理サービスがあるのだ。

既に廃番になっているスニーカーだし、いつ復刻するかもわからない。ネットで見たところ、かなり人気の高い商品のため、新品で買う場合プレ値で8万円になったいた。(買えるわけないやろ)

補修費として約2万円かかったが、思い入れのあるスニーカーのため、修理を出すことを決意した。

話を聞くとアメリカ産の場合、アメリカの工場にいる職人の手によって修理をするため、修理先はアメリカになるらしい。期間は約3ヶ月。


まさか持ち主より、スニーカーの方が先に
アメリカに行くとは思ってもいなかった。

長いアメリカ旅行だ。

修理して戻っきたらまた沢山履いてやるからな。

おわり。




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