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entwine TOHOKUのロゴのこと
2015年から開催しているentwine TOHOKU(エントワイン トウホク)は、インテリア・ファッション・雑貨など、東北を中心に活動するお店が集まって開催する、合同展示会です。会場は盛岡市にある歴史的建造物の旧石井県令邸。赤い屋根と緑のツタ、窓のカタチが特徴的な建物です。himaraya designでは、ロゴをはじめ、毎年のフライヤーやwebのデザインをしています。
entwineという言葉の思い
"entwine"とは「絡む/絡まる」という意味。
お店同士が繋がって、絡まりあって、東北を一緒に盛り上げていこう、という主催者の思いからこの名前がつけられました。
そんな思いを形にするため、ロゴは繋がりある筆記体をベースに。
エレメントを揃えながら、〈e〉や〈t〉は変化をつけ、単調になりすぎない形にしています。〈n〉→〈t〉、〈i〉→〈n〉に行くときの文字の繋ぎ部分は、同じエレメントにせず調節。理由は、同じエレメントにしても、文字の繋ぎが不自然になり、綺麗に見えないから。
既存の筆記体フォントは、あくまで「なんとなく繋がってみえる」ように設計されているため、文字同士の繋ぎに不自然なところがあるのです。雑誌などのデザインでは、そのまま使うことも多いのですが、ロゴの場合は、手で書いたような文字の流れになるように、手直しをしています。
計算しつくされたものは美しいか
数値やルールを決めて、その中だけで作ったものは、論理的に聞こえるし、納得してもらう上では、説得力も安心感もある、ように感じられます。
確かにある程度のルールというのは必要で、デザイナーは自らルールを作り、その中で形を作ったり、配置を決めたりすることがたくさんあります。
このロゴもある程度のルールに則って作ってあります。
ただ文字の繋ぎ部分のように、則らないところも出てくる。
なぜなら、ルールにだけ基づいた形が、
本当に美しいか、人が良いと感じるか、は話が別だからです。
説明はすごく納得できるんだけど、誰からも見向きもされない、ではなんの意味もないと思っています。作ったものの横に、常にコンセプトシートをくっつけてあげることはできません。人の目に最初に飛び込んでくる〈見た目〉が「良く」作られてこそ、次の段階(その企業や商品を知ろうとする、買いたいと思う)に繋がっていくと思っているし、「良く考えて、良く作られたもの」はデザインに限らず、内側からそれが滲み出ると思っています。
解説してやっと納得できる、では、
良いデザインとは言えないとわたしたちは考えているので、
滲み出るデザイン、になるよう常に意識して仕事に取り組んでいます。
とはいえ!計算しつくして作ったものが美しい、面白い、ということもあるので、本当にデザインはケースバイケースです。そして、その判断を下すこともアートディレクター・グラフィックデザイナーの力量が試されるところだと思っています。