シャロンさんであそぼう!4(服を台無しにする二つの遊び方)【#ガーデン・ドール】【#ガーデン・ドール作品】
ぼくはヒマノ・リードバック。
これは最近手に入れた魔法とマギアレリックのお話。
何ができるか考えていたところにとあるドールを見かけたので…
ついやってしまった。そういうお話。
-11月某日 海–
11月。ガーデンではビーチキャンプが執り行われていた。
いつの間にか生えてきた海…その付近の浜辺でテントを張って生活する、とのことだ。
…目的はわからない。相変わらずガーデンのやることには疑問しかないが、
何か目的があってのことなのだろう。楽しければぼくには関係ないけれど。
…ぼくの最近の関心事は最近キャンプとは関係ないところで手に入れた二つの力。
…一つはカフェでタルトさんに教えてもらった魔法。
その名も【ポケットからビスケットを無限に出せる魔法】。
効果は単純。ポケットを叩くと魔力の二割を消費して叩いたポケットから溢れるぐらいの
ビスケットを産み出す魔法。
…覚えてから少し調べたところ、大体以下の通りみたい。
・魔法のオンオフはできない。叩けば意思とは関係なくビスケットが生み出される。
・生み出されるビスケットの形は長方形で、手のひらに乗るくらいの大きさ。
他のものをイメージしてもできなかったのでどうやらこの形で固定らしい。
・ちゃんとおいしい。ただ個人的にはミルクが飲みたくなる味。
・試したことはないが他のドールのポケットを叩いても生み出せるらしい。
もう一つはマギアレリック。
【EXハンマー-申】。
10月までやっていたイベント、PGPのアンダードッグ賞でもらったものだ。
効果は、叩いたものがぺらぺらになるらしい。
それだけではよくわからなかったのでせんせーにきいてみたところ、こういうことらしい。
・ぺらぺらにできるものは物体。
・叩くと、0.1mmくらいの紙のような厚みになる。
・ぺらぺらになったものはお湯をかけると三分くらいで元に戻る。
…あと、自分で作ったパンをぺらぺらにして食べてみたところ、紙を食べているみたいな食感だった。
…どうやら、性質を紙のようにするらしい。
このように、どちらも面白そうな性質をしているんだけど、聞いただけでは挙動がわからない部分がある。なので手頃な実験あ…、いや、遊び相手が欲しいところではあったのだが。
そんなこんなで浜辺を歩いていたところ。
とあるドールの姿が目に入った。
そのドールは時計を手に持ち考え事をしながら歩いていた。
…シャロンさんだ。
ぼくは気配を絶ちながら背後に近づき、そのドールのズボンのポケットを叩きつつ声をかけた。
「シャーロンさーん」
「うわっ!?なんだ…ヒマノくんか…えっ???」
モコモコモコ…
「ちょ、ま、ぇええ!?!?」
叩いたポケットからビスケットが溢れだしてくる。
…両側から叩いたので両方のポケットからだ。
どうやら本当に自分のポケットではなくても生み出すことができるらしい。
うん、これは結構便利かもしれない。
「ふふふ、実験は成功のようですねー?」
「…と、とりあえず説明してもらえるかな。これはなんだい?」
「これはですねー、カフェで教えてもらったぼくだけの魔法。その名も『ポケットからビスケットを無限に出せる魔法』ですよー。」
ネタばらし。
ぼくはシャロンさんのポケットからあふれ出たビスケットをつまみながら説明する。
「もぐもぐ…ということで…もぐもぐ、なんです。あ、ひとつどうですか?」
シャロンさんはなんだいつものか…みたいな表情をしつつビスケットをつまむ
「…はあ、毎度のことながらキミは滅茶苦茶だねえ?…んむ……あ、おいしい」
どうやら口にはあったようだ。
「でしょう?ということで実験したいなと思っていたところでシャロンさんがいたのでやらねば、と思いましてー」
「なーんで俺だと”やらねば”、なのかなあ」
「…そういう反応を返してくれるからですよ。いつも助かってますー」
聞こえない程度の声でつぶやく。
本当にそういうところが、たのしいからついやっちゃうんですよね。
そんなこんなで話していたところ思いついたことがもう一つ。
「あ、実験といえば。もう一つ。そういえばマギアレリックをいただいたんですけどー」
そういって木槌を取り出す。
「…ちょっとシャロンさんで試させてくれませんー?」
「きみも本当に遠慮がないね!?」
「試すって……まあ、きみのことだから本当に危ないものなら言わないだろうけども、さあ?」
「ふふ、シャロンさんにしかこういうこと頼めないんですよー。一番反応がたの…いや、信頼してますので」
「…で、俺はどうすればいいの?」
「あ、そこに立っててもらうだけで大丈夫ですー」
木槌を構える。
「では、これをシャロンさんの服へー」
そういって叩く。
服が、紙のような薄さの物質へと変化し…支えるものがなくなった服だったものは前へ倒れた。
…何も着ていないシャロンさんを残して。
「…」
「…」
「…あの、ごめんなさい、こうなるとは思ってなかったんです。」
「………………どうしてだい」
あ、久々に聞きましたね。
「…はー、危険はなかったけどもだよ?ま、俺でよかった……ことにしておこうか。他のドールにはするんじゃないよ?」
「…はい。」
「…それで、これはどうしたら戻るんだい?」
「あ、それは熱湯をかけて三分まてばいいらしいです…」
「…熱湯かけたらびしょびしょじゃないか?」
「…はい。」
その後、乾くまでの間変装魔法で服を着ているように見せかけることにした。
…本当にごめん。さすがのぼくもそれは予想外。
…そしてこの木槌は封印することにした。便利だけど変な火種しか生まない気がするし。
とあるドールがこちら側へ来た時にでも…壊すことにしようか。
ぼくは平謝りでなんとか許してもらった後、テントへと戻った。
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