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ファイアーエムブレムエンゲージ クリア後の感想録 ~烈~

上の動画で大体同じことを喋っています
動画だと本編同様すこし話がふわふわしています

巷の口コミを見るとよく出てくることがある

「エンゲージはシステムは良いが、ストーリーは悪い」

クリアした今となってはその意見が出てしまうというのはわからなくもない
だがそれはもう少し深く考えてみると、正確ではないなというのがとりあえずの結論です

────エンゲージは、別にストーリーは悪くないよ

そういうお話をちょっとこの場でさせていただきたく思います

その前にストーリーラインだけをちょいと復習しますね
(指輪まわりの部分は省略しています)

リュールの目覚め
→異形兵の登場(邪竜復活)
→ルミエルとの再会、別れ
→邪竜討伐へ
→ヴェイルとの出会い
→邪竜に敗北(ヴェイルの裏切り)
→敗走から戦力を整えて対抗(あなたなんて ともだちじゃありません!)
→四狗たちのすったもんだ、指輪の管理が甘すぎるがゆえにポンポン神竜側に指輪が流れ込んでくる
→ヴェイルとの決戦、四狗マロン死亡により穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めたモーヴ
→邪竜からヴェイルをかばったリュール死亡
→いつの間にか指輪を奪われフルパワーソンブルとなる
→リュール、ヴェイルにより異形兵となる
→かと思ったら指輪の奇跡で紋章士になる
→ヴェイルが術に打ち勝ち、仲間となる、ともだち から いもうとへ
→エンゲージビームで敵を撃破!
→家族だもの・・・許して頂戴ね  ここに留まる理由もねえ、もうどこも痛くねえんだ
→エンゲージビームで1000年前リュールを撃破!(ビッグダディソンブルとネグレクト地獄)
→エンゲージビームで異形兵ルミエルを撃破!(ゆびきりしてくれますか)
→邪竜ソンブルの悲しき過去 俺は礎の紋章士に会いに行く
→エンゲージビームで邪竜ソンブルを撃破!
→紋章士の消滅(神竜リュールの統べる世界、それはとても美しいのだろうね)

まあ大体こんな感じだと思います
色々思い出せましたでしょうか?

・FEエンゲージにおけるストーリー上の問題点とその原因

私はたびたび言うのですが
紙面上で書いたストーリーと、ゲーム化するうえで描けるストーリーとでは全然異なってしまうということです
ゲームジャンルのRPGはRPGとして構成されたストーリー構成されてなければならず、例えば小説をそのまま持ってくるということは難しいのです

前述のストーリーラインを見てもらってわかったかもしれませんが、このストーリーラインは大筋をゲーム化した際のノイズのようなものをちらほら入れてあえて書いてあります(カッコ部分は思い出させやすくするための注釈なのでノイズではありません)

問題点として全体的に都合が良い動きをする敵軍サイド、それにともなう説得力というものが基本的にはありません
指輪が大事という割には、とにかく指輪の行き交いが雑です
管理不十分というレベルではありません

ほかにも
・捕縛しているアイビー王女にあっさり逃げられる
・あきらかに様子の違うヴェイルになんの疑問も抱かない神竜氏
・ヴェイルとルミエルの会合に、扉を壊したといって戦闘に参加してくるリュール

以下のシーンではリュールが死亡=指輪が敵にという暗黙の了解

とにかく目立つ「説得力の無さと描写不足」
これがストーリーが悪いと言われる一つの要因でしょう
(もう一つに前作との比較というものもありますが、そこは割愛します)

それじゃあそこを描けば名作となったのか?と言われるとそうでもないでしょう、おそらくゲームとして冗長になっていたと思います

FEエンゲージはSRPGとしての評価は高く、実際にプレイしてみても戦略、戦術、状況打破選択肢の多さから最善手を選び取る楽しさは、DS時代以外をほぼプレイしている私から見てもかなりのものでした

戦闘システムが優れていたからこそ、ストーリー部分が長くなってしまったらプレイヤーがもたないという状態になってしまっていたかもしれません
それに加えて、今回のFEは指輪や武器錬成、スキル編成まであるのでとにかく戦略レベルの部分に時間を取られるのでなおのことです※1

そこを考えてみると元々作られたストーリーから、FEとして最適化された(したつもり)なのがこのファイアーエムブレムエンゲージであると私は思いました
ここでは割愛しますが、その考えを後押しさせたのは「コミカライズ版 ファイアーエムブレムエンゲージ」の存在です ※2

・FEエンゲージのストーリーコンセプトを考察

さてFEエンゲージのストーリーはどういうように作られているのか

ストーリーの大筋のコンセプトはおそらく「絆」でしょう。絆炎で「ファイアーエムブレム」ですし、EDテーマもそれですから
それにともなう、家族やその責任が中心になってきていると思います
さらっと流しますが、ソンブルが絆を断ち切りまくった存在に対して、リュールは絆を紡ぎまくった比較ですしね
いうてソンブルも礎の紋章士との絆に引っ張られまくっているので、えらく中途半端な存在ではありますけど

ともかく、そのために人々の関係性をゲームの中に落とし込んでおり、リュールには守り人を、各王族には付き人を必ず2名つけるというスタイルをとっています
その誰もが上下関係というだけでなく、浅からぬ絆を持って存在しています(アンバーとか使ってないから知らんのですが、多分・・・)

メインのところでは
ルミエルとリュールの「血はつながらずとも、たしかな繋がりのある絆」
ヴェイルからのソンブルへの断ち切りがたい気持ち
セピアとグリの死の間際まで言葉にしなかった繋がり
ヴェイルへの忠誠誓いつつ、ヴェイルの願いから友となったモーヴ などなど

FEエンゲージ制作人によるインタビュー※3によると、
「リュール自身が歴代の紋章士に並び立つ存在として成長していく様子を表現したくて、しゃべらせることにし、物語の中心人物としてドラマを───」

とあります。
そう、リュールってよく喋るんですよ、なんせ目の前に人がいなくても自分の気持ちをつぶやき続けます(──独り言か?)

ただこれはやや失敗しておりまして
物語当初のリュールは最初からわりと成熟しており、成長が感じ取れないところにあります
もちろん1000年前のリュールと比較しての成長はそれは大したものですが、忘れちゃっておりますので、「成長した」というよりは「取り戻した」という感じになっちゃってますね。それに感覚としては寝て起きたら成長してる感じだからなんとも

これもまたゲームへの落とし込みで引っ掛かっていて・・・
「支援会話」や「絆」のコンセプトが成長の実感をさらに阻害しているんですね

私も実況の中でさんざん言いましたが
「リュール君、正しいこといいすぎ」
そう、彼は支援会話の中では正しいことしか言えないのです
成長物語を描く中では、浮き沈みをしつつ新しい答えを得ていくものですが(ポポロクロイス物語のピエトロ王子のようにね)、それができない。前作風花雪月のイグナーツの支援会話問題※4を起こすわけにはいかないですからね

また「絆」コンセプトは、リュールが各国の縁を繋いでいくというところにもかかっているので、なんというか癖のある感じにはできないというのはわかります。
蒼炎アイクみたいな裏表のない真っ直ぐで人を惹きつけるというのも簡単ではない、だって同作品にアイクいますからね

無難of無難

ゆえにリュールっていまいち際立たないし、成長も感じにくい
でも嫌な感じしないのは上手くやれてると思います。登場人物同様、プレイヤーもリュールが嫌いという人はそうはいないのでは?
復讐を考えさえもしないので初期から成熟しすぎ感はありますが・・・というか指輪取られたときのほうがキレてた気がするぞ、リュール

リュール「あなたなんて、ともだちじゃありません!」
ヴェイル「ガビーン」

──ちなみにちょっと根拠が薄いので微妙ですが、エレオス大陸の形状は円形で「リング型」なんですよね、その中心にリトスがあるというのは暗喩として捉えていいんじゃないかなと思っています

とまあこんな仕組みになっているというのを記載してみましたが
意外に考えられているし、よくできてると思いませんか?

・それでもやっぱりストーリーって酷くない?

うむ、まあそう思われるのも仕方がないことをやっていますが
酷いのは演出や物語をゲームに落とし込んだところやゲーム性を担保しようとした部分であって、ストーリーそのものは悪くはない。というのがここでの結論です
神竜リュールを巡る物語としてだけ見れば、不屈のジャンプ主人公やってますよ

それに悪い部分も酷いばかりでもなくて、分解してみればちゃんと考えて作られている部分もあるのです、ということ

全体的に軽いノリと勢いで誤魔化そうとしているのも伝わるし、ツッコんだらキリがない部分もあります

ただそう一概にエンゲージはストーリーがダメすぎる!
なんて言うほどじゃないよ

この文章でツッコミたいことがあったとしたら、それは許してください
エンゲージクリア後の軽いノリで書いてるからね、しかたないね
これでも本編よりは真面目なノリだと思います

※1エンゲージの少し前に発売した「トライアングルストラテジー」というゲームがありました。あれも非常に優れた構築のストーリーで、特に「話の引き」や「引っ掛かり」を前面に押し出したものでした。
(アニメ コードギアスにおけるクリフハンガーという手法に近いかと思われます)
あのゲームもエンゲージ同様にシステム面が優れておりましたが、戦闘が少ない、話が長いという評判もちょこちょこ聞きました。
それを予想してか、編成に関しては昨今のゲームにしては簡素にされてあり、装備は完全固定でした

※2・ゲーム本編とコミカライズ版との差異
FEのコミカライズ版は封印以外ロクに完結しないくせに、販促とはいえまたやるのかというのが最初の感想でした
しかしこのコミカライズ版、ルミエル様が死ななかったり、アイビー王女がきちんと捕縛から投獄されるという描写がきちんとしています
そう、ちゃんとしているのです

もしや元々このストーリーで書かれたものだったのでは・・・?
もちろん本編のふがいない部分を修正してコミカライズしているという逆の視点も予想できます
ですがそれにしては本編の描写はぶっとんでいるところがあるので、最初からこれでいこうとは普通はならないと思います。ゲームに落とし込む際に削られたと考えるのが自然かな、と

※3 製作者インタビュー記事


※4 イグナーツとの支援会話
途中で成長して喋り方が変わっているのに、支援会話の段階によっては元に戻ったりしている。色々細かいのに彼だけ非常に不遇である
そのうえ人気がない、まあ、気持ちはわかる。だって同じ平民として比較されるのが大天使ラファエルですし

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