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ギリシャ哲学、アナクサラゴス


 アナクサラゴス「BC、500〜428」は、有名なアテナイの政治家ペリクレスと親交がありました。アテナイに哲学を持ち込んだ最初の人物とされます。当時の人からは、「精神」と呼ばれていました。アナクサラゴスは、イオニア学派の系譜を引く自然哲学者です。ソクラテスもその講義を聴いたと言われています。比較的長寿であり、72年間生きました。

 【万物の種子、スペルマタ】  

 アナクサロゴスは、万物の根本的な構成要素は種子のようなものだとしました。この種子は、それぞれ性質が異なり、存在する諸物を構成しています。基本的な原物質であり、アナクサラゴスはこれを「万物の種子」と名づけました。数多の元素からなり、その数は無限です。数は常に等しく、少なくもなければ多くもありません。それは存在する物の数だけあり、万物の縮図のようなものだとしました。物体の微小な構成要素であり、小ささに限界がなく、無限に分割されます。世界の初め、全ての種子は一緒にあり、グチャグチに入り混じり混沌とした状態でした。 

 【ヌース】  

 世界が混沌とし種子が渾然一体となった状態の時、最初の初動を加えたのがヌースでした。ヌースとは、知性や理性のことです。ヌースの働きは、ある一点から始まり、そこから旋回運動を始めました。旋回運動は、だんだん広がり、種子を分離させました。言わばヌースは、旋回運動を引き起こし、物質を動かす動力因です。その働きは、合目的的であり、特定の目的に従って行為します。ヌースは、ただ1人だけでおり、すべてのものを支配する独裁的な存在です。あらゆる物質から分離され、何物とも混合せず、万物とまったく別なものとしてあります。それは、個々のものを適所に配置し、世界を秩序づける原因者です。分別整理することによって、それぞれの物の個性が決定します。過去、未来、現在などの時間もヌースによって位置付けられました。この働きは、ヌース以外の何者にも出来きません。またヌースの働きは、無限です。 

 【世界の生成】  

 アナクサラゴスは、万物の生成を否定しました。すべてのものは、全てのもののうちにあるからです。世界の生成変化は、すでにあるものの混和であり分離だとしました。生成変化とは、世界内部の出来事であり、全体的には何も変わっていないからです。アナクサラゴスは、生成の代わりに「混合」と言う言葉を使い、消滅の代わり「分離」と言う言葉を使いました。世界は、新たに何一つとして生じもしなければ、滅しもしません。また世界にあるものは、個別独立して存在しておらず、一つに繋がっています。ヌース以外は、何者も自分だけで存在することは出来ません。完全なる無と言うものは、存在せず、何もないように見える空中も空気と言うものがあります。物の大きさにおいて、最大のものも最小のものもないとしました。大きさの尺度とは、自分と比べて大きいか小さいかだからです。

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