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マルクスの「史的唯物論」


【唯物史観】 

  マルクスは、「唯物史観」によって、歴史の発展の法則を明らかにしました。唯物史観は、マルクスの基礎理論の一つです。マルクスは、人間社会にも、自然と同様の客観的な法則があるとしました。人間の歴史も、自然史的な世界観を前提としており、その過程の延長線上にあります。史的唯物論は、自然と人間の統一的な歴史観です。これまで、人間は、自然と共存しながら、自分たちの生産活動を営んできました。

 人間は、第一前提として、生存することを目的としています。その根本条件となるのが、物質的な生活です。歴史を動かしてきた主体は、精神ではなく、人間の物質的な労働でした。人間は、自然のままではありません。歴史を通じ社会的に形成されてきたものです。与えられた自然的条件と、先行する世代の伝統を組み合わせて歴史を作ってきました。 

 【社会】 

  人間が自然を改変し、生活に必要なものを生産する能力を「生産力」と言います。その生産したものを使って、さらに生産させるのが、人間の労働力です。生産諸力の結合の仕方によって、農業、工業などの生産様式が規定されます。生産様式の構成要素は,生産手段と労働力です。社会は、物質的な生活の生産様式によって制約されています。その制約が、歴史を作ってきました。生産を行う場合に、人間同士が結ぶ社会的な関係を生産関係と言います。生産力を規定し影響を与えているものは、生産関係です。その生産関係の総体を「経済機構」と言います。それは、社会の土台となるものです。

 【土台】 

  人間の意識は、生活の在り方によって規定されています。その生活を支えているものは、労働による生産です。経済的な活動は、社会の土台となっています。人間は、生まれながらにして、その意識が決まっているわけではありません。土台があって、初めて精神的な活動が成立するものです。生産関係は、個人の意図や意志からは、独立して変化します。支配階級側は、その時代の現状を維持したいものです。彼らによって、生産関係は、制度として固定化される傾向にあります。 

 【労働】 

  自然への意識的な働きかけを「労働」と言います。類人類から人間を発展させた活動は、人間の労働です。労働は、自然と人間との相互交流です。人間は、労働によって、自然を作り変え、秩序ある世界を形成してきました。労働することによって、生きるのに必要な生活手段を得ることが出来ます。生産手段とは、原料、道具、土地、工場などです。それが人間の生存条件となります。労働とは、現実的な生活過程です。人間は、この労働によって発展してきました。社会の経済現象の根底には、常に労働があります。 

 【発展】

  歴史は、生産力と生産関係の矛盾を原動力として発展してきました。史的唯物論は、生産条件の矛盾が歴史を動かしているという歴史発展観です。マルクスは、歴史には発展法則があるとしました。社会が発展すれば、人々は、諸階級に分裂します。そこで生まれるのが、階級社会です。階級社会には、奴隷制、封建制、資本制などの形態があります。そこで出現するのが、分業、私的所有、商品交換などです。これまでの歴史は、階級闘争の歴史でした。この階級闘争は、歴史的発展の原動となります。


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