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HILLOCKちゃんねる#2 ヒロック×STEAM「つくることによって学ぶ」
「つくることによって学ぶ」を深掘り! ヒロックちゃんねる 第2弾公開!
「HILLOCKちゃんねる」第2弾では、STEAM教育スクール「STEMON」代表の中村さんと、ヒロックシェルパのよへいさんが対談しました。
ヒロックとステモンにおけるSTEAM教育について、それぞれの視点から議論を深めます。
ヒロックとステモンの教育プログラムにおける「つくる」ことの重要性とは?
ぜひ、動画をチェックして、STEAM教育への理解を深めてみてください!
https://youtu.be/rbmlTHVk_yU
こちらのnoteでは、対談の様子をご報告。
STEAM教育とは?
まずは中村さんにSTEAM教育とはどういうものなのかをうかがいました。
これは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Arts)、数学(Mathematics)を統合的に学ぶ教育の考え方です。もともとはSTEM(STEAMからArtsを除いたもの)という概念がありましたが、2013年頃からアメリカを中心にSTEAMとして発展し、日本にも広がりつつあります。
STEAM教育の特徴は、教科を横断しながら、問題解決や新しい概念を学ぶことにあります。「作って学ぶ」というコンセプトを軸に、手を動かしながら学ぶことで、机上の学びでは難しい深い理解を得ることができます。特に、「自分で何かを作ることが好きな子ども」にはぴったりな学習方法です。
日本におけるSTEM教育の広がり
STEM教育の普及に尽力されてこられた中村さんに、その軌跡をお話ししていただきました。
STEMという言葉が一般的になる前は、「STEMって何?」という状況でした。そもそもSTEMという単語自体が読みにくく、広告にも使いづらかったため、中村さんは「ロボット教室」「IT教室」「ものづくり教室」といった名称で広めてきました。
日本では、プログラミング教育の方が先に市民権を獲得し、STEM教育が後から注目されるようになりました。
文部科学省も2020年からプログラミング教育を積極的に推進しています。
STEM教育も2年前から使い始めています。
実際に、STEMONの体験会を通してSTEMに興味を持つ子どもたちも増えてきています。
STEM教育の認知度が高まり、私学や民間の教育機関では実践される機会が増えてきました。公教育で実践していくのは時間がかかると感じていらっしゃるようです。
保護者のニーズにも変化が見られるそうです。
以前は「プログラミング探してます」と言う保護者が多かったのですが、最近では「STEM探してます」と具体的に求める声が増えてきました。また、単にプログラミングを学ぶのではなく、「テクノロジーをどう活用するかを学びたい」という保護者が増えてきています。
中村さんとSTEMの出会い
STEM教育に取り組む中村さんがSTEMと出会ったのは、教育で起業しようと決めた後、約半年間にわたり、さまざまな教育機関を訪れたことがきっかけでした。その中で、シンガポールやアメリカ・ボストンの教育現場を実際に視察し、特にIB(国際バカロレア)とボストンの探求教育に感銘を受けたそうです。
「作ったり遊んだりするなかに物理はある」という考え方を大切にし、子どもが後に学問として物理を学んだときに、幼少期の体験が知識と結びつくことの重要性を強く感じたといいます。
幼少期には、「うれしい」「くやしい」といったプリミティブな情動を認識することが大切です。そして、大人になるにつれ、「これは物理の原理だ」「IT技術の応用だ」「プログラミングに関係している」といった形で、学びがつながっていくのです。
フロー状態を生み出す学びの環境
子どもたちがものづくりに取り組む際、「もういい」と途中でやめたくなる瞬間が訪れることがあります。しかし、それは単に飽きたからではなく、学びの環境や課題の設定が適切でない場合が多いのです。教育者にとって重要なのは、子どもがフロー状態(没頭した状態)でいられるようにすることです。
そのためには、
発達段階と課題の難易度のバランスを考慮する
簡単すぎると飽きるが、難しすぎると挫折する
適切なチャレンジを提供し、学びの継続性を確保する
といった要素が必要になります。
STEAM教育では、ただ知識を伝えるだけでなく、子どもたちが自ら試行錯誤しながら学びを深められる環境を作ることが、何よりも重要なのです。
STEAM教育のヒロックでの実践
ヒロックでは、設立当初から「アウトプットから学ぶ」ことを重視してきました。STEMONのカリキュラムをもとに授業を行い、「作る過程そのものに学びがある」という考え方が根底にあります。
ヒロックの授業では、STEM教育に加え、英語×物理の組み合わせを取り入れているのが特徴的です。知識のインプットを行い、そのあと子ども自身が試行錯誤しながら創作を進めていきます。創作そのものが面白いため、難易度が高くても子どもたちは自発的に学びに向かう傾向が見られます。
明確な評価基準がないため、子どもはプレッシャーを感じることなく、自由に自分なりの学びを深めることができます。その結果、「できた!」という成功体験が生まれ、笑顔がはじける瞬間が多く見られます。
模索しながら工夫するからこそ、学びに対してエモーショナルな反応が生まれるのです。
理解しやすい順番とテンポのよい進行により、子どもたちが飽きることなく学習を続けられます。
力点や作用点など、物理学の難しい概念を、楽しみながら学べる仕組みになっています。
英語で授業を行うので、ヒアリング能力の向上も期待できます。
また、授業の中でのシェルパの役割も非常に重要です。
すぐに作りたくなる子には「ちょっと聞いてからやるのも大切」と促したり、うまくいかない子には、気づかせる形でさりげなくサポートをしています。「できた!」という成功体験を重視しています。
測れる力より、体感する力
「うまくいかない」「思っていた方向と違う」といった状況になったとき、教育者がどのようにアプローチするかは非常に重要です。
ヒロックでは、
・まずはのびのびと作る。
・子ども自身が自由に発想し、試行錯誤する時間を確保する。
・シェルパが子どもの様子を把握する。
・ 単なるアドバイスではなく、適切なタイミングでのサポートを行う。
・時間をかけて試行錯誤する。
・じっくりと考え、納得のいくまで取り組める環境を整える。
「学び自体をフロー状態にすること」を重視し、手を動かしながら学ぶ環境を整えることが鍵となっています。
学びのデザイン
STEAM教育では、ゴールが一つではないことが重要であり、子どもたちがそれぞれ異なる方法で学びを深められます。
競争をあおらない学びの環境を提供することで、自分自身のペースで学習できる。
知識を詰め込むのではなく、一緒に探求することが大切。
「自分なりにつくる」「他の人を参考にする」「真似する」といったプロセスを通じて、一人では得られない経験が生まれます。
何かを作りながら学ぶことで、知識がより深く定着します。
どんな力がつくのか?
STEAM教育を通して得られる力は、数値で評価できるものだけではありません。
どんな力がつくのかを言語化すると、安心できるかもしれませんが、一般的につく力を言うことは難しい。
友達と協力しながら作ることで、コミュニケーション能力が向上したり、
作る力を伸ばすだけでなく、大人のプロジェクトと同じような経験を積むことができる。
数値的な評価ではなく、プロジェクトを通じて成長を実感できる。
どんな力を身につけるかは、子ども一人ひとりによって異なると思います。
体験・経験をベースに、学びの基礎を築くこと。
それこそが、STEAM教育の醍醐味なのです。