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【雑記】或る友人へ向けた手記

 僕には付き合いの長い友人が幾つかいるが、これはその友人の内の一人に向けた話である。
 こいつとは中学で初めて出会ったが、読書や釣り、音楽の趣味が合った事から、仲良くなるのにそうは時間を要さなかった。こいつからは色々の音楽や文学作品を紹介されて、僕も彼に色々の音楽を紹介した。彼から教えてもらった「秒速5センチメートル」や「君の膵臓をたべたい」などの作品は思春期という多感な時期であったからか、僕の精神構造に大きな影響を与え、その弊害は現在でも心を拗らせるという形で、僕に色濃くその爪痕を残している。
 同じような音楽や作品に親しんで、中学高校とつるんで来たからか、僕とこいつの精神は似通っている。些細な事を考え過ぎて精神を病み、音信不通になったり、友人にその不安を理不尽にぶつけたりする。僕とこいつの唯一違う所は、こいつはSNSを使い慣れていないから、己の病みを書き綴った長文をそこに上げたりしない事くらいである。
 似通った精神構造を持つもの同士であるから、お互いの思い悩む理由は痛い程理解出来る。人間関係の問題や自身の置かれている境遇、自分の精神の弱さ、女の話など、僕はこいつであれば何でも相談出来るし、こいつの話であれば何でも聞いてやる。
 お互いのしてきた事が、他人からすれば矮小で怠惰で甘ったれで世間知らずな様に思われていたとしても、僕とこいつは互いを深く理解出来る良き友だと思っている。
 僕の精神が今のような情緒不安定な体たらくになってしまった原因はこいつに多少はあるが、僕が今もこうして駄文を書き連ねる事が出来ているのもこいつのお陰である。酒に酔い泣きながら電話を掛けて、そんなダルい奴の相手をまともにしてくれる奴はこいつしか僕にはいない。
 だから頼む。死を匂わせるな。お前に死なれたら僕が困る。お前が死んだら僕は本当の意味で孤独になる。僕の拗れた内面を理解してくれるのはお前しかいねぇんだ。僕より先に死なないでくれ。僕を独りにしないでくれ。後生だ。生き抜いてくれ。 

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