機体の製作について:その2
本記事では筆者が考える飛行ロボットを製作する際に意識してほしいことについて、記述します。
可能であれば本記事を読む前に下記の記事を読んでいただけると幸いです。
飛行ロボコンもスポーツや学問と同じで基礎の積み重ねの上に成り立っていると筆者は考えています。
RC飛行機を作って、飛ばして、壊して、作り直してを繰り返すのが工作スキルの向上や飛行ロボットの仕組みを理解するのに最短であると考えています。
紙面上の計算式などとにらめっこすることも大事ですが、やはり手を動かして、実物を飛ばしてみることで得られることは大きかったです。
さて、ここからはRC飛行機を自由自在に製作できるようになって、自分だけの飛行ロボットを製作できるようになった方向けの記事です。
まずやることは
大会のレギュレーションを確認しましょう。
せっかく作った機体が大会に出れないなんてことになったら目も当てられません。
機体重量、バッテリーの制限、送受信機の技適など、しっかりと確認しましょう。
そのレギュレーションの中でも最も気にしてほしい項目は
安全性についてです。
現在(2023/9時点)では下記のようになっています。
参加機体は以下6項目の安全性を満たすこと。
1.緊急時に確実かつ速やかに動力を停止できること
2.進行方向に突起物がある場合は、カバーを施すなどの安全処置を行うこと
3.混信や通信不良に備え、送信機-受信機間の接続が切れた場合にスロットルパワーがオフになるフェイルセーフ機能を設定すること
4) 飛行船タイプの場合、ヘリウムガスをつめた気嚢がそれ以外の構造物と分離して浮上し、天井等に引っ掛からないように安全対策が取ってあること
5)審判によって飛行中止を求められた場合、速やかに飛行競技エリア内に着陸できること
6)ハンズオフ飛行中においては、瞬時に操縦者による遠隔操縦に切り替えられること
では、どのようにしてそれぞれの項目を満たすことができるか考えてみましょう。
(筆者は過去の大会でスタッフとして、機体審査を手伝ったことがあります、特にこの安全性を重視して審査していました)
1.緊急時に確実かつ速やかに動力を停止できること
早い話が安全に機体を落とすように設定します。
これについては3つ目のフェイルセーフの項目と被ることもありますが、状況として一番多いのは墜落してしまった、観客席に突っ込んでしまった時と考えるのが良いでしょう。
迅速にスロットルカットが行えるよう設定しましょう。
前提条件としてプロポのスロットルスティックが0の位置にあるとき、動力が停止していなければなりません。
オススメはフェイルセーフとして設定してしまうことです。
一番楽な設定はプロポの電源を落とす、送受信機の接続が切れると機体のスロットルが停止するように設定します。
本来はスロットルだけをカットして、操縦はできるようにするのが望ましいのですが、飛行ロボコンで主審から動力の停止を指示された場合、ほとんど墜落している、操作が不能となっているパターンです。
わざわざスイッチをフェイルセーフに当てはめる必要はありません。
プロポの電源を落とすと機体も止まるようにすればOKです。
FUTABAのプロポにはフェイルセーフ機能が搭載されています。
プロポの取扱説明書を読み、設定しましょう。
基本的にフェイルセーフ機能の設定をTHR(スロットル)のPOSI(ポジション)を0%とすればOKです。
設定出来たら機体のプロペラを外した状態で試してみましょう。
飛ばしている状態と仮定してスロットルを回し、プロポの電源を落としたら機体の動作が止まるか、チェックしましょう。
注意する点として、ESCのプログラムによって、動力が停止しない場合があります。一例として、DUALSKYのESCの設定方法を紹介します。
http://www.flyingcattokyo.sakura.ne.jp/zz_ProductInfo/DualSky/DualSky-ESC-Inst.pdf
上記PDFを読んでいただければわかりますが、特別にプログラミングカードはなくとも設定できます。オートカットモードがモーターオフとなるようにします。
2.進行方向に突起物がある場合は、カバーを施すなどの安全処置を行うこと
戦闘機やミサイルのように先端を鋭利にすることを禁止しています。
先端が尖っていたとしても発泡材など、人に物にあたっても傷付けないように設計しましょう。
特にカーボンロッドや機体のフレームなどの先端には必ず、カバーを付けてください。
余談ですが、前方にモーターを取り付ける際、プロペラマウントを下記のようなスピナー型の固定式にするチームを見かけますが、筆者としてはあまりお勧めできません。
床と接触した際にぺらが破損する、モーターマウントごと根元から折れたりします。
下記のようなゴムマウント型にすると安全です。
故障率も下げれます。
3.混信や通信不良に備え、送信機-受信機間の接続が切れた場合にスロットルパワーがオフになるフェイルセーフ機能を設定すること
1と同じ内容です。
FUTABAのプロポにはフェイルセーフ機能が搭載されています。
プロポの取扱説明書を読み、設定しましょう。
基本的にTHR(スロットル)のPOSI(ポジション)を0%とすればOKです。
設定出来たら機体のプロペラを外した状態で試してみましょう。
飛ばしている状態と仮定してスロットルを回し、プロポの電源を落としたら機体の動作が止まるか、チェックしましょう。
注意する点として、ESCのプログラムによって、動力が停止しない場合があります。一例として、DUALSKYのESCの設定方法を紹介します。
http://www.flyingcattokyo.sakura.ne.jp/zz_ProductInfo/DualSky/DualSky-ESC-Inst.pdf
上記PDFを読んでいただければわかりますが、特別にプログラミングカードはなくとも設定できます。オートカットモードがモーターオフとなるようにします。
4) 飛行船タイプの場合、ヘリウムガスをつめた気嚢がそれ以外の構造物と分離して浮上し、天井等に引っ掛からないように安全対策が取ってあること
申し訳ありませんが筆者はこのタイプの機体を製作したことがありません。
気嚢部分が機体と接着されているかどうかで判断しました。
気嚢部分が輪ゴムのようなもので機体に固定され、衝撃があると外れてしまうようだとNGです。
5)審判によって飛行中止を求められた場合、速やかに飛行競技エリア内に着陸できること
1と3の項目がクリアできていれば問題ありません。
操縦者はスロットルの出力を下げ(滑空できるなら停止)、エレベータまたはそれに準ずる機能を用い高度を下げ、着地してください。
操縦者に一定のスキルが必要です。
別の記事に書こうと思っていますが、操縦者が初めに身に着ける技術は安全に落とすスキルです。
飛行中止を求められた場合に機体を下す練習をしましょう。
6)ハンズオフ飛行中においては、瞬時に操縦者による遠隔操縦に切り替えられること
主に自動操縦部門などで重要な項目です。
自動操縦などの課題を行う際、操縦者の手元(プロポ)にON/OFFのスイッチがあるようにしてください。
なお、自動操縦中もプロポから手は離さないようにしましょう。
スティックを触っているけど、動かしていない状態を審判に見えるようにしてください。
以上が安全についての大会レギュレーションを解釈した内容です。
違っている場合は連絡をいただけると嬉しいです。
安全性を確保した機体を製作しましょう。
そのほか、機体の製作に関するルールについても確認してください。
1.競技に使用できるバッテリー種類について
Li-Po 電池:最大2セル(最大電圧8.4V以下)
Li-Fe 電池:最大2セル(最大電圧7.2V以下)
ただしマルチコプター部門において一定条件を満たす場合、
Li-Po 電池:3セル(最大 電圧12.6V以下)の使用を認める。
2.操縦装置(プロポ)について
市販のラジコン送受信機を使用し、送受信部の改造は禁ずる。
2.4GHz帯周波数を使用した送受信機で認証シールが貼られている物に限る。
海外製の送受信機を使用 する際はシールの有無(技適の有無)を確認すること。
フェイルセーフ機能として、送信機-受信機間の接続が切れた場合にスロットルパワーがオフになる機能を有し、その機能を使用すること
3.空虚重量について
機体の総重量のことです。
救援物資とともに投下される全ての投下補助器具の合計重量を含む。
投下補助器具が救援物資に固定されていて重量計測が困難な場合、大会側で用意 した救援物資の重量の標準値との差分によって求める。
「独立した制御ユニット」を搭載した機体の場合、「独立した制御ユニット」の重量は 空虚重量から除外される。
4.独立した制御ユニット
機体装備品のうち、単独モジュールとして機体から取り外すことができる装備は、下記の条件を満たすことで「独立した制御ユニット」として扱われる。
独立した制御ユニットを内包できる直方体の3辺の合計が25cm以下である
バッテリーおよび電動モーターを含まない ただしセンサーの稼働等、飛行に直接影響のない電動モーターは審査の上認められる 。
独立した制御ユニットを取り外した場合であっても、機体構造が大きく変化せず、 機体側に操縦用受信機が搭載されている
「独立した制御ユニット」は空虚重量に含まれない。
5.参加したい部門に参加できる機体の条件を満たしているか確認しよう
大会のレギュレーションを読みましょう。
※毎年運営の方がより良くなるように更新されてるため、ちゃんと最新のレギュレーションであるか確認すること!!!
その他、レギュレーションの中でも見落とすことがある点について、ピックアップしました。機体製作とは関係ないですが…
1.飛行中止・警告・失格
滑走路は踏まないでください(笑)
しっかりと大会のレギュレーションを読みましょう
2.機体を飛行させる時、目の怪我を防ぐため、操縦者及び補助者は必ずゴーグル(眼 鏡も可)を持参し着用すること。
良く忘れる方がいます。
上記紹介したこと以外にも、たくさん注意事項があります。
自分の参加したい部門のレギュレーションをよく読んでください。
わからない項目に関しては運営へ相談しましょう。
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