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さあ、「レジリエンス」を始めよう!

なぜいま「レジリエンス」を焙煎するのか?

みなさんの「レジリエンス」を泡立てて心に薫らせる「レジリエンスの焙煎士」です。

「レジリエンス」を「研究者目線」ではなく普通の人が意識して発揮できるようにやさしくお伝えすることを目指しています。

YouTubeでは「レジリエンスを始めよう!」というシリーズも展開しています。

今回ふと気づいたんですが、なぜいま「レジリエンス」か、なぜいま「レジリエンス」を始めるのか、なぜ私は「レジリエンスの焙煎士」を名乗っているのか、という基本的なことを書いていませんでした。

冒頭で「レジリエンス」を「研究者目線でなく普通の人が意識して発揮できるようにやさしく伝えること」を目指すと言いましたが、ではこの「研究者目線」とはどのようなものでしょうか。


私が「レジリエンス」に関わるようになったのは、東京家政大学心理カウンセリング学科の平野真理先生にお会いして、研究者としての「レジリエンス」への取組みをヒアリングしたことがきっかけでした。

平野先生は教職の傍ら臨床心理士としても活動しておられます。ヒアリングの中で、その臨床の場では「なぜこの人は、いつも傷ついてばかりいるのだろう」「なぜこの人だけが、人より傷つき苦しんでしまうのだろう」という疑問を常に抱えていること、そしてその人たちの苦しみをなかなか軽減させることができないことに無力さを感じることがある、という言葉がとても印象に残りました。

「レジリエンス」の研究者の多くはこの「立ち直り方の差」つまり「レジリエンス」の働きの違いをそれぞれの人が持つ「レジリエンス要因」から探り出し、心が脆弱な人たちにどう寄り添うかという「サポートの方向性」を導き出すということを目的にしているように見えます。

(参考図書:「レジリエンスは身につけられるか~個人差に応じたサポートのために」平野真理著/東京大学出版会)

一方で特にメンタルヘルスに大きな問題がない人や、トラウマになるような深いダメージを経験したことのない人は、日常的に多少傷つくことはあったからと言って「レジリエンス」を知らなくても自然に立ち直っています。まさに「レジリエンス」が「心の自然治癒力」と言われる所以です。

これまでの自分の人生を振り返ってみれば何度も落ち込んで何度も立ち直ってきた経験をしているはずです。知らず知らずのうちに「レジリエンス」が発揮されていたと言うこともできます。


であるなら普段特に「レジリエンス」を意識する必要はないのではないか、「レジリエンス」は心理臨床の現場でのみ必要な概念ではないのかとも思えてしまいます。


だから「レジリエンス」は重要な精神力の一つでありながら、「集中力」や「持続力」のように「メジャー」になれなかったのかもしれません。意識しなくても発揮できてしまうのですから。


ところがこの「コロナ禍」で私たちが被った多くのストレス体験によって、「マイナー」だった「レジリエンス」にスポットライトが当たったように見えます。

つまり私たちはこうした自分の手に負えない「新種のストレス」にいつ何時出合うかもしれないと言う大きなリスクが身の回りに潜んでいることに気づいたのです。


そのときにいままでと同じように「心の自然治癒力」だけに頼って、いわば「ノーガード」のままその「新種のストレス」と向き合って果たして乗り切れるのか、精神的健康度を保てるのかという不安が生まれたのではないでしょうか。


今年の初め頃から、私が「レジリエンス」に関わっていることを知っている友人から「いまこそレジリエンスですね」「いよいよレジリエンスの時代ですね」というメッセージが多く届くようになったのもその表れだと思います。

さらに私たちは「人生100年時代」、つまり「ストレス100年時代」に突入しています。人生が長くなったら、当然その分経験するストレスも増えます。


みなさんがこれから迎える人生の後半は「喪中はがき」が増えるところから始まって、様々な「別れ」、そして「退職」「病気」「事故」「家庭問題」「経済問題」・・・ネガティブイベントのオンパレードです。

その心の準備はできていますか?

私は「レジリエンス」がこれからの「メンタルのニューノーマル」になるのではないかと感じています。

だからこそ今回YouTubeで「レジリエンスを始めよう!」というメッセージを発信することにした訳です。

ここで一冊本をご紹介したいと思います。9月22日に発売されたばかりの新刊です。



「レジリエンスの心理学~社会をよりよく生きるために」(金子書房)

10人の「レジリエンス研究者」のみなさんの共著です。平野先生も執筆者の一人です。


最初にお話しした臨床場面での「レジリエンス」だけでなく、人間関係、教育、スポーツ、ライフキャリアなど日常生活のなかでの「レジリエンス」がそれぞれの「研究者目線」で語られています。「心の立ち直りの道筋=レジリエンス」の多様性を感じ取ることができるのではないでしょうか。「レジリエンスを始めよう!」にはぴったりの参考書だと思います。

(さらに言えば「レジリエンス」は「心理学」だけにとどまらず「遺伝学」「霊長類学」「考古学」「地理学」「自然人類学」「文化人類学」「環境学」「リスクマネジメント」などの様々な視点から研究されています。興味のある方は放送大学教養学部の「レジリエンスの諸相-人類史視点からの挑戦-」という授業を受けてみることをお勧めします。)


「レジリエンス」という精神力が自分に備わっていることを意識するだけで対ストレスの予防になるはずです。ストレスの受け入れ態勢ができます。つまりこれが「レジリエンスマネジメント」という考え方の基本です。

そして「レジリエンスマネジメント」は自分で自分の「レジリエンス」を意識することから始まります。それが「レジリエンス」を泡立てて心に薫らせる「レジリエンスの焙煎」です。

「レジリエンスの焙煎士」はその種火を付けることが役目です。

みなさんがこれまで全く意識していなかった「レジリエンス」を泡立てて心に薫らせるお手伝いができれば幸いです。

「レジリエンスの焙煎士」ほりしんでした。

YouTubeもぜひご覧ください。⇒「レジリエンスの焙煎士」




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