エクセルで実装するブラック・リッターマン・モデル(4):均衡リターンの確信度(τ)
投資家のビューをブレンドした期待リターン$${\Pi'}$$は、投資家のビューを表す行列$${P}$$(任意の資産のロング・ショートの組み合わせ)、その期待リターン$${q}$$、均衡期待リターンへの確信度を示すパラメータ$${\tau}$$、投資家のビューに対する確信度を示す対角行列$${\Omega}$$を使って次のように示すのでした。
$${\Pi' = \{P' \Omega^{-1} P +(\tau\Sigma)^{-1} \}^{-1}\{(\tau\Sigma)^{-1}\Pi+ P' \Omega^{-1} q\} }$$
均衡期待リターンへの確信度を示すパラメータ$${\tau}$$はどうやって定めれば良いのでしょうか?
オリジナルのBlack and Litterman (1992)では$${\tau}$$は1から0の値を使うことを推奨しているそうです。Idzorek (2007)は実務家は0.01から0.05の値を使うことを推奨した一方で、Scowcroft (2007)は1を提案したようです。どうも適当な小さな値を使う必要があるようですが、あまり具体的な根拠のある算出方法がないのが実情のようですね。
Rachev et al. (2008)とMeucci (2010)は均衡リターンの標準誤差(1÷観測数)を使うことを提案しています。筆者が調べた限りではこれがもっとも定量的に定められて使いやすい方法のように感じました。
実務的にはひとまず、1÷観測数で$${\tau}$$を定めておけば良いのではないかと思います。
出所:Fuhrer, Adrian; Hock, Thorsten (2019)
"Working Paper Uncertainty in the Black-Litterman model: A practical note"
https://www.econstor.eu/bitstream/10419/202070/1/1671418840.pdf