エクセルで実装するブラック・リッターマン・モデル(3):投資家のビューの確信度(Ω)
投資家のビューをブレンドした期待リターン$${\Pi'}$$は、投資家のビューを表す行列$${P}$$(任意の資産のロング・ショートの組み合わせ)、その期待リターン$${q}$$、均衡期待リターンへの確信度を示すパラメータ$${\tau}$$、投資家のビューに対する確信度を示す対角行列$${\Omega}$$を使って次のように示すのでした。
$${\Pi' = \{P' \Omega^{-1} P +(\tau\Sigma)^{-1} \}^{-1}\{(\tau\Sigma)^{-1}\Pi+ P' \Omega^{-1} q\} }$$
投資家のビューを表す行列$${P}$$とその期待リターン$${q}$$は自分で定めます。各資産の予想リターンを自分で与えるのであれば$${P}$$は単位行列になります。
問題は均衡期待リターンへの確信度を示すパラメータ$${\tau}$$、投資家のビューに対する確信度を示す対角行列$${\Omega}$$をどう定めるかです。まずは$${\Omega}$$からいきましょう。
He and Litterman (1999)は$${\tau}$$と$${P}$$のk番目の行ベクトル$${p_k}$$と共分散行列を使って$${\Omega}$$を以下のように定めています。$${\tau}$$を求めればよいので非常にシンプルで良いですが、投資家のビューの確信度を均衡リターンへの確信度が規定しまう点が問題点と言えます。しかしながら実務上は非常に使いやすいので重宝しそうです。資産の分散が基本的には投資家のビューの確信度に直結することになりますが、リターンのばらつきが大きい資産はそれだけビューの確信度が低くなるのは直感にも沿っていると言えそうです。
もう一つ、Peterson (2012)はさらにシンプルです。上から$${\tau}$$を取ってしまっています。これもシンプルで実務上使いやすいですね。
問題点がないとは言えませんが、ひとまず実務上は上記のどちらかを使えば良さそうです。