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インデックスファンドの裏側:株価指数先物の使い方

インデックスファンドを先物でできないかという投稿があったのでコメントしました。結論から言うと理論上は可能ですが、約款変更が必要な場合はハードルが高く、現実にはトラッキングエラーが現物株に比べて相当高くなるので、実際に先物で指数をトラックするファンドを建てるケースはそれほど多くありません。

インデックスファンドでは通常、キャッシュや未修配当によるリターンの希薄化を防ぐ目的で先物を買い建てしています。ペーパーポートフォリオである株価指数はキャッシュを持たない(配当は即座に再投資される)のに対して、現実のポートフォリオは設定解約による一時的なキャッシュの滞留や配当落後、受渡までの未収配当の計上があるので、その分、先物を買い建てます。

そのほか新興国投資では流動性の問題などで現物株の売買が難しかったり売買コストの高い国は先物やETFを使って代替投資をすることがよくあります。新興国の場合、先進国よりトラッキングエラーが高めになるので、一部の国を先物等を使ってエクスポージャーを取っても大きな問題にならないと考えられるためです。

当社では新興国のインデックスファンドのサイズがかなり小さくなった時期に設定解約対応のためにポートフォリオを2〜3割をキャッシュにし、先物を使ってエクスポージャーを取っていたこともありました。

上記のコメントで述べましたが、先物の理論価格にはリスクフリーレートと配当が考慮されるので、理論上、キャッシュ+先物買いのリターンは現物株のトータルリターンと同じになります(でなければ裁定が働きます)。ので現物株のエクスポージャーを先物で取ること自体に問題はなく、先物を使ったインデックスファンドを建てることも可能です。当社は新興国指数で先物トラックのファンドを運用していたことがあります。

理論上は同じでも日々の先物のリターンは現物とは乖離するので、繰り返しになりますが先物を使う一番のデメリットはトラッキングエラーが現物より相当高いことです。前述のようにこのデメリットが許容できるような場合(トラッキングエラーがもともと高い新興国など)に先物を使った指数トラックを行うことがあります。

ご参考になれば幸いです。

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