イールドブックで推定ベータを計算する方法
Citigroupのイールドブックだと推定ボラティリティやトラッキングエラーは計算してくれますが、推定ベータはアプリケーション上では導出されないので、自分で計算する必要があります。そもそも債券ポートフォリオならデュレーションさえあれば、ベータは実務上不要という話もありますが、場合によっては求められることもあるかもしれないので備忘録的にメモを残しておこうと思います。
推定ベータの計算方法は以下です。
$${\hat\beta =\frac{ \hat\sigma^2_{P}+\hat\sigma^2_M-\hat{TE}^2 }{2\hat\sigma^2_M}}$$
ここで、$${\hat\sigma_{P}}$$は、ポートフォリオの推定リスク(ボラティリティ)、$${\hat\sigma_M}$$は市場(ベンチマーク)の推定リスク、$${\hat{TE}}$$は推定トラッキングエラーです。これらはイールドブックで計算してくれるので、上式で簡単に推定ベータが求まります。
導出は以下の確率変数の差の分散公式を使えば簡単です。
$${V[X-Y] = V[X] + V[Y] - 2Cov[X, Y]}$$
$${V[X]}$$は確率変数$${X}$$の分散、$${Cov[X, Y]}$$は確率変数$${X}$$、$${Y}$$の共分散ですね。式変形すると、
$${Cov[X, Y] = \frac{V[X] + V[Y] - V[X-Y]}{2}}$$
$${\frac{Cov[X, Y]}{V[Y]} = \frac{V[X] + V[Y] - V[X-Y]}{2V[Y]}}$$
ここで$${X}$$をポートフォリオのリターン$${R_P}$$、$${Y}$$を市場(ベンチマーク)リターン$${R_M}$$とすれば左辺がベータ、右辺は$${V[R_P]}$$、$${V[R_B]}$$がポートフォリオと市場(ベンチマーク)の分散、$${V[R_P - R_B]}$$はトラッキングエラー(ボラティリティ)の二乗になるので導出完了ですね。
ご参考になれば幸いです。