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エクセルで実装するブラック・リッターマン・モデル(7):リスク回避度の導出
以下のエントリーで平均分散最適化におけるリスク回避度$${\lambda}$$は(市場リターン-リスクフリーレート)/市場リターンの分散で求まることが分かりました。この導出方法を追記しておきます。
平均分散最適化は以下の効用関数を最大化しますが、ここでは市場全体でこのような平均分散最適化をしていると考えます。
$${\argmax U =\bm{w'\Pi} - \frac{\lambda}{2}\bm{w'}\Sigma\bm{w}}$$
ここで$${\bm{w}}$$は市場のウェイト・ベクトル、$${\Pi}$$は各資産の超過リターンベクトル、$${\Sigma}$$はその共分散行列ですね。制約条件なしではclosed-formで解が存在します。上式をウェイト・ベクトルで偏微分して0とおけば、
$${\frac{\partial U}{\partial\bm{w}} =\bm{\Pi} - \lambda \Sigma\bm{w}=0}$$
通常は最適ウェイトを求めますが、ここでは市場が均衡状態あると仮定して、Reverse Optimizationで超過リターンを求めます。
$${\bm{\Pi} = \lambda \Sigma\bm{w} }$$
CAPMが成立している均衡状態では上記が成り立つはずです。さて最後の式にウェイト・ベクトルをかけると、
$${\bm{w'\Pi} = \lambda \bm{w'}\Sigma\bm{w} }$$
$${\bm{w'\Pi} }$$は(市場全体の)超過リターンになるので上式は次のように書き換えられます。
$${r_m-r_f = \lambda \sigma_m^2}$$
$${r_m}$$は市場リターン、$${r_f}$$はリスクフリーレート、$${\sigma_m^2}$$は市場全体のリスク(分散)です。
上式から以下が導出できますね。
$${\lambda=\frac{r_m-r_f}{ \sigma_m^2}}$$
ご参考になれば幸いです。
参考文献
Jesper Christian Salling Nielsen (2016)
"The Application of the Black-Litterman model in a Multi-Factor Framework"