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君子以て小人を遠ざく。悪(にく)まずして厳なり。


      易経

『易経(えききょう)』は、古代中国における最も重要な古典の一つであり、す儒教の経典としても重視されていますが、この言葉は『易経』の中でも「君子」の行動規範について述べている部分です。

君子とは道徳的に優れた人物、理想的な人格を持つ人を指します。孔子が理想とする人間像であり、倫理や道徳に従って行動する人物です。

小人は君子の対極にある存在で、利己的で道徳的に劣る人物を意味します。自己中心的な行動をしがちで、倫理や道徳を軽視する人を指します。

道徳的に優れた人は、自己の倫理や道徳観を守るために、道徳的に劣る人と距離を取るべきだという教えです。これは、悪影響を受けることを防ぎ、自己の品位を保つためです。

「悪まずして厳なり」
憎しみや感情的な敵意を抱かないで、

 厳なり(げんなり):厳格に対処する。

この部分は、君子が小人と距離を置く際に、感情的な憎しみや怒りを持たず、冷静かつ厳格に対応することを強調しています。

これにより、公平で理性的な態度を保ち、感情に流されずに正しい判断を下すことが求められます。

古代中国では、道徳や倫理が個人の行動の基準として非常に重要視されていました。君子と小人の区別は、社会的な調和と秩序を保つために不可欠とされました。

孔子の教えにもあるように、個人の品位や道徳観は社会全体の安定と繁栄に寄与すると考えられていました。


『易経』のこの言葉は、個人の倫理観を強化し、社会的な調和を保つための重要な教訓として広く受け入れられました。今日でも、この教えはビジネスや人間関係において、適切な距離感を保つための指針として有用です。

現代社会においても、道徳的に優れた人(君子)とそうでない人(小人)との付き合い方は重要なテーマです。

特に職場やコミュニティにおいて、感情に流されずに理性的に行動することが求められます。この教えは、自己の倫理観を守りつつ、他者と健全な関係を築くための基本的な指針となります。

例えば、職場で不正行為を行う同僚と距離を置きつつ、個人的な憎しみを抱かずに冷静に対応することは、この教えを実践する一例です。

感情的にならずに厳格に対処することで、自分の道徳観を守り、同時に公正な環境を保つことができます。

このように、『易経』の教えは古代から現代に至るまで、道徳的な指針として多くの人々に影響を与え続けています。

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