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2022年の観聴読纏

年末ですね。私はと言うとこのタイミングで流行り病にかかり、史上最悪のメリークリスマスを迎えたところです。最高最高最高!

そろそろ寝飽きたので、2022年に観たり聴いたり読んだりしたものをまとめるやつをやっておきます。こんな体調なのでね、ダラダラやります。カテゴリーもごちゃ混ぜで、思いついたものからポイポイ投げます。なお、2022年リリースの作品に限りません。ではどうぞ。

『スペシャル』 / 平方イコルスン

今年読んだ漫画の話をするなら、本作からするしかないだろう。トーチで連載が始まったのが8年前。割と初期に一度触れたあと、連載を見逃して遠ざかっていた中で「完結」の知らせを聞き、全4巻まとめて買って改めて読んだ。全4巻、まずは騙されたと思って買うことをおすすめする。

内容に関してはあまり触れることができないが、これほど尊く、優しく、美しい関係性を目の当たりにすることができて、私は幸せだ。スペシャルなものは、いつだって常に「スペシャルではない」顔をしている。至る所で聞くような話だが、実のところそれは体験したことがある人しか心で理解はできていない。けれども、ここには確かに描かれている。あらゆる感情に備えてほしい。大傑作。

「横道世之介」 (2013)

とある写真家さんが「一番好きな映画」に挙げており気になって観た。「横道世之介」という変わった名前の青年と、彼に出会った周囲の人々の過去と現在を映した作品だ。

本作の好きなところは、とにかくこの世之介のことを、みんなが好きになるところ。それは作中の人々もそうだし、きっと観たあなたも好きになる。しかもそれは、ときめくような恋の「好き」ではなく、「なんか、あいついい奴だったよなあ」といつかのふとしたタイミングで思い出してしまうような、そういう「好き」になりかた。また会いたいなと、エンドロールを観終わった私は確かに思った。

「物語のように」 / 坂本慎太郎

日ごろから公言しているし、Twitterのプロフィールにも書いてるくらい、私にとって絶対の存在なわけだが、2022年は新譜が出て嬉しかった。それもとびきりの作品。いつもより随分とポップでロックなテイスト、懐かしいのになぜか新鮮な感動があるのはなぜだろう。

「物語のように」のイントロのユニゾン。死別と対面する感情に激しく共感してしまう「悲しい用事」。胸が痛いけれど笑ってしまう「ある日のこと」。この3曲が特にお気に入り。けれど毎度のことながら、アルバムというかたまりで何度でも聴けてしまう、その何気なさがなにより素敵だなと思う。

Midnight Grand Orchestra 1st LIVE『Overture』

Vtuberというコンテンツがもはや生活の1部になってから、約4年ほどだろうか。音楽面に限っては、それほど自分に刺さるプロジェクトは多くないが、数少ない音楽的な推しがミドグラこと「Midnight Grand Orchestra」。初めて私は配信ライブというものを、チケットを購入して鑑賞した。

圧倒された。そのサウンド、すいちゃん(星街すいせい)の歌唱力、そしてCGによるフューチャリスティックな演出。そうか、これがバーチャルYouTuberならではの表現であり、彼女たちにしかできない領域なのか。私は自宅のモニターの前で、しっかりとその世界に没入していたし、座りながらも踊り狂っていた。すいちゃんがいつもよりもくっきりと「生きて」いて、あぁこれは推せてしまう。

叶うなら私もその世界へ行きたい
すいちゃん、本当にかわいい

「Always Together With You (The Bridge Song)」 / Spiritualized

朝霧JAMに出演するにあたり、じゃあスピリチュアライズドを観られるかもなということで予習した際、すっかり射止められた曲。あまりにもシンプル。歌詞だって、自分の英語力で理解ができる。丸の内のそれとは全然違う、地元のショッピングモールのイルミネーションのようなささやかなタンバリンの音、シューゲイズ、コーラス。気持ちが凍えそうな日には、こんな曲がラジオから流れてきてほしい。まぁ結果スピリチュアライズドは来日キャンセルとなったわけだが。

『往生際の意味を知れ!』 / 米代恭

新刊が楽しみな漫画の一つ。今年は5,6巻が発売されたが、特にこの5巻が好きだった(もちろん6巻も良かった)。この漫画を読む人たちは、皆進んで地獄めぐりをしているようなものだと思う。こんなにも間違い続け、とっくに取り返しのつかない2人の行く末を見守りたいなど、マグマがたまに跳ねて肌を焼く最前列での監視役。火傷なしでは読めませんでしょうに。

5巻では、この展開で最も最悪だと想像されることがしっかりと行われ、拍手喝采。手の甲を合わせる方のな。

「ヤマノススメ Next Summit」

めっきりアニメを観なくなってしまった中、唯一楽しみにしていたヤマノススメの新シーズン。期待を遥かに上回る作品だった。スタッフの愛がこもったアニメーションに、暖かいストーリー。キャラクターの魅力がどんどんと増していき、新たな関係性も発見され、毎回観終わるたびにクソデカ感情を放出せずにはいられなかった。

もう一度言うが、アニメーションに愛が詰まっているのだ。キャラクターたちの細かい表情、仕草をあまりにも丁寧に描いているものだから、魅力が5兆倍くらいこちらに飛んでくる。極め付けは毎話変わるEDアニメーション。キャラクターたちのショートストーリーが、作中とは違った少しリアルで瑞々しい絵でつづられていく。普段は見られない表情や関係性が垣間見える大変美しい作品であり、おそらく近い未来国宝になる。本当にありがとう。

「ちがうなにか」 /松永拓馬

友人から教えてもらったアルバム。
アンビエント・ノイズ的トラックも、リリックもすごく好き。

俺いつも1人
俺いつも非同期
俺いつも通り
時を刻む動悸

「Vou Pegar」より

か弱く、生々しく、言葉を反芻する姿が浮かぶ。

「ELDEN RING」

2022年、私は「エルデンリング」をクリアした。エルデンリングを、買ったけれどクリアできてない人もたくさんいるだろう。クリアして、本当に良かった。最高のゲームだったからだ。

オープンワールドになったことにより、フロム世界をより「冒険」することができた。自らルートを選択し、物語を選択し、そして手強いボスを倒し進んだ。達成感は、これまでプレイしたゲームで最も大きく、たしかに私がやり遂げたのだと、勲章のように掲げることができた。登場するボスやNPCも秀逸なデザインばかり。中でもゲームを投げ捨てようか悩まされたマレニア、そしてラ二様の2人は、あまりにも癖に刺さった。ラニ様のフィギュアは購入予定である。

私は王となったのだ!!!! 

「AIにドッキリ企画を考えさせたら大変なことになりました」 / オモコロチャンネル

今年一番笑ったのは間違いなくこれ。笑いすぎてお腹壊れるかと思った。
AIとオモコロチャンネル、相性が良すぎる。

『潮が舞い子が舞い』 / 阿部共実

新刊が楽しみな連載作品その2。おいおいおいおい8巻。おいおい。おいおいおい。

おいおい。青春ばちこり見せてくれるじゃないのよ。秀逸な会話劇が大好きな作品だが、その中で描かれる繊細な感情がいつも心を打ってくる。それがこの8巻、おいおい、除夜の鐘バズーカで撃ち抜いたんかってくらいの打具合。でかい音がハートで鳴りました。

『姫さまのヘルメット 鬼頭莫宏短編集1987-2022』/ 鬼頭莫宏

電子書籍に気を取られて、紙で買った本のことを何冊か忘れていたので追記。

鬼頭莫宏の短編集なわけだが、収録作品のどれもが秀逸。少年少女たちのささやかな友情、恋心、使命など、そういったものを絶妙なかわいらしさと、時によく磨がれた包丁のような冷たさで描く鬼頭先生の素晴らしさが詰まっている。「彼の殺人計画」「AとR」「姫さまのヘルメット」がお気に入り。

『模型の町』 / panpanya

1年に一度の楽しみといえばなんでしょう。そうです、panpanya先生の新刊です。今回は先生の散歩力がいつもよりマシマシで発揮されており、わくわくとにんまり、関心のため息で気持ちよく読み終えた。

読めばきっと、現実の散歩道がいつもと違って見えるだろう。自分の想像力など、まだまだ使いきれていやしないと反省させられる。「面白がれる」ものが多ければ多いほど、必ず人生は楽しくなっていく。いつも歩く道に、面白いものは山ほど置いてある。

朝霧JAM / 君島大空トリオ

ありがとう。
これからもよろしく。


おわりに

個人的に激動の2022年。正直あまり多くの作品に触れている余裕がない部分はあったけれど、ここに記した以外にも素晴らしい作品たちにきちんと出会うことができてよかった。
人生は、どうもこれからどんどん面白くなっていくらしい。手を離さないでいたい。


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