ビールが美味しくなった理由
ビールを美味しいと感じるようになったのはここ2〜3年のこと。
ちょうど前の職場で働いていた時期と合致する。
唯一、前の職場で感謝していることといえば、ビールが美味しいと感じさせてくれた事くらいだ。
なにはともあれ、疲れているときにやっぱりビールが美味しいというのは本当だった。
仕事を辞めてすぐの頃、近所で花火大会があったようで、引っ越したばかりの部屋のベランダから、ばっちり花火を堪能することができた。
めちゃくちゃなラッキーを噛み締めながら、簡単なおつまみとビールを片手に晩酌をする。
同居人も誘ってみたが、花火にさほど興味がないらしい。
せっかくベランダから観れるのにもったいないなあ〜なんて思いながら、一人で花火を堪能した。
ドンッ!…パラパラパラ…という音とともに花火が上がる。
ベランダの下からは、ちびっ子たちの嬉しそうな声。
わかるよ、その気持ち。 私はもう大人だから、そんなふうには表現できないけれど。
この日のビールはなんだったかな。当時気に入っていたピルスナールケルだったかな。 それとも当時まとめ買いしていたスプリングバレーだったかな。夏限定の金麦だったかもしれない。
唯一覚えていることといえば、夕飯ののこりの唐揚げとビールの相性がめちゃくちゃ良くて、なんともいえない美味しさを感じたこと。
花火効果、恐るべし。
夏の香りとビールの匂い。同居人の部屋のタバコの匂いなんかも混じり合って、なんとも心地がいいのか悪いのか、まどろむような夜だった。
思い返してみれば、こんなにゆっくりビールを飲むのは久しぶりだったかもしれない。
日々のタスクに追われて、帰ってきては流し込むような飲み方をしていた気がする。
その経験があってこそ、ビールを美味しいと感じるのだろうけれど、今ゆったりと飲んでいるこのビールは、また違った美味しさを感じる。
もしかしてこれは、人として成長したってことかしら。
最近は、冷蔵庫の隅っこに収まるくらいの量だけ常備して、いいことがあったり、好きな番組を見るときだったりに飲むようになった。
お酒を飲む時間って、やっぱりいい時間が似合う。