乳がんが判明して、からの私(3)
わかる少し前の話②
これはもう、命に関わる事態じゃなかろうか。体は既にそう告げていた。
骨がおかしい。ネットで検索する中で出てきた、乳がんの骨転移という言葉。あらためて触ってみると、なんだか固まりがあるような。
でもよく聞くのはピンポン球みたいなコリっとしたものだよね?私の胸の奥にあるのは、大きさはソフトボールくらいの、球体じゃなく、硬くてごつっとしたパットみたいな形の何か。左胸全体を覆っている。触っても痛くない。ガシッとして動かない。
夫と乳腺科に行く。 子どもたちはほぼ母乳で、第1子の時にひどい乳腺炎になり高熱を繰り返したから、母乳マッサージも定期的に行ったし、3人目も初期に行っている。ここ1年は張るほど出なくなったから何もしていなかったけれど。乳腺が詰まったのかな?でもあの固まりとこの骨の痛みは……。考えても仕方ないけど頭を巡る。
触診した医師は、うーん。と眉をひそめた。うーん。痛くないんだよね?何度も確認される。体の痛みの話もする。バチン!と針生検、それからCT。結果は後日。
帰り道、医師の表情や言葉を思い返して、あぁこれは深刻なことなのだ、と理解する。覚悟を決めなきゃいけないな、と。 怖いとか、悲しいという気持ちは無かった。もちろんまだ楽観的な部分もどこかにあったのだろう。もしかしたらって。でも、何かが迫ってきている、という感覚は確かにあった。何かって?いや、それはまだ考えても仕様の無いことだ、診断が下るまでは。 静めても湧き起こる様々な思い。波に揺られているようだった。
それにしたって生活は続く。夫と母に家事のヘルプを頼み、出来るところは自分でもやっていた。家の中を歩くにはどこかしらつかまって、体重を乗せながら動いた。 大変だったのは洗濯干し。腕が上がらずピンチに留めることが出来ない。料理は包丁に体重を乗せながら切ると楽だった。厚切り野菜の味噌汁とご飯に、頂いたおかず。元々粗食な我が家で良かったと思う。
結果待ちの期間にひどい腹痛に襲われた。腸炎。撮ったCTで偶然、卵巣に奇形腫が発見される。良性かの確認の為、他院の婦人科で受診することに。乳腺科の方のCTも見たらしい内科の医師は「結果待ちなんですね」とだけ言った。
急に生活の中の病院率が上がって疲弊する。この頃は子どもたちも落ち着かなかったろうな。
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