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『あなたの心にダイレクト向かい飛車』制作秘話⑥破滅へのカウントダウン

こんにちは、hikky(のぞみんP)です。

この2月にいわゆる『脱サラ』をしたのですが、いきなり全く給料がなくなるのも困るので、ひとまず勤めた『コールセンター』がとても楽しいです。

『時間に余裕が持てる』『時給が高い』だけを条件に探したのですが、勉強になることがいっぱいあります。

同僚とランチに行って、生き方や仕事について話し始めたら、止まらなそうだったので、今度飲みに行くことになりました。

素敵な出会いがいっぱいありますね。

その彼を含む数人の同僚が『あなたの心にダイレクト向かい飛車』を聴いてくれて「あれ、すごい良い曲ですね!ホントにシーチキンさんが作ったんですか?」と言ってくれました。

新しい職場でなぜかシーチキンと呼ばれています。

僅かな間にイジられキャラにしてくれて嬉しいぜ。

そんなシーチキンが作った曲の制作秘話第6回。

お付き合いください。


【2019年 8月 3日】

改めてクラウドファンディング達成のお祝いをしました。

メンバーは私、のぞみん、Z、ジャケット写真のヘアメイクをしてくれたスタイリスト(女性)の4人です。

その日は最高潮に浮かれていました。

朝の5時半くらいまで飲んで、そのままさっぽろテレビ塔下のベンチで3時間くらい寝ていました。

アホですね。

起きて最初にしたことは持ち物の確認です。

その日、私の持ち物はギターとショルダーバッグ。

財布がない。

むちゃくちゃ焦りました。

でも、財布はすぐに見つかりました

ギターケースのポケットにありました。

どんなに酔っ払っていても、そんな場所に絶対に入れるわけがない。

誰かが絶対に財布に触った。

おそるおそる中身を見ると、やはりお札がゴッソリなくなっていました。


私は基本的に現金をほとんど使わないし、大きな金額は持ち歩きません。

でもその日は次の日がクレジットの引き落とし日で、口座入金のため、約10万円持ち歩いていました。

前日に入金するはずだったのに、入金する時間がなかったため、そのまま持ち歩いてしまっていたんですね。

やってしまった。

こんなところで寝ていたのだから仕方ないか…。

金額はこれほどじゃないけど、つい最近もひどく酔っ払って財布の中身がなくなっていたことが2回あった。

どっちの時も一緒に飲んでいたZに訊いたら「知らねえよ。お前本当にバカだな。」と言われた。

それにしても朝方までこの公園に一緒にいたZは、いつどこに行ったのだろう?


【2019年 8月 4日】

その日の夜は、とある女性J(仮名)とお酒を飲む約束をしていました。

Zを通して知り合った24歳の女性です。

「Z抜きでも飲みに行ってみたいね」「賛成!」

みたいなきっかけでした。


楽しい夜でした。

二人ともお酒が大好きで、そこそこ飲めるタイプなので、3件ハシゴしました。

その日の会話はZのことが中心でした。

J「うるさいけど、なんだかんだイイ奴だよね」

私「わかるわかる」

J「一緒に居たら楽しいしね」

私「わかるわかる」

J「あいつがいなかったらウチらがこうして楽しく飲めることもなかったし、感謝しなきゃね」

私「違いない」

私は「本当は思うところはある」けど、楽しいお酒に水を差すのも、と思い明るい話だけをしていました。


ところが。

3件目だったか、もうお酒がかなり入ったその時。

Jがしばらく黙って、決意したように、突然、口を開きました。

J「hikkyさ、Zが怖いと思うことない?」

私「(…!)…ある。正直一緒にいるのがマズいと思うことは多々ある」

J「(…!!)私さ、最近。めっちゃ酔っぱらった時に、財布からお金がなくなっていることが3回くらいあったんだよね」

私「(…!!!)」

J「………まさかとは思うけどさ、ZにiPhone契約させられなかった??」

私「(…!!!!!!!)…「クラウドファンディングに必要だ」と言われて、契約した。」


楽しかったお酒は、最悪のお酒になりました。

その夜、なんとかしてZとの関係を一刻も早く断たなくては、と思いました。


【2019年 8月 7日】

この頃、のぞみんが体調を崩して、全く活動できない状態になっていました。

3日前にJとお酒を飲みに行ったのも、のぞみんが体調を崩したことでスケジュールが空いたためでした。


ぽっかりと空いた数日間のスケジュール。

Zから電話が来ました。

Z「希はどうなってんだ!ロクに活動も出来ない、このままじゃ商売にならん!!

私「そんなこと言っても仕方ないでしょう」

Z「希の体調なんか知らん!ムリヤリにでもやらせろ!それがお前の仕事だろうが!!」

私「僕は希の味方です。ムリヤリやらせることは今の希のためにならない。」

Z「すべてがダメになってもいいのか!?CD以外にもやることは山積みなんだぞ!!!」

私「その山積みを先延ばしにすればいいことです。今やらなきゃいけないことは、クラウドファンディングで支援してくださった方に約束したCDを作りあげることです。今は少し休んでもらって、それからレコーディングでもなんでもして、その先は体調が良くなって希のやる気があったらやればいいじゃないですか。CDも間に合わないなら、ありのままの事情を公開して、CD製作を少し延期すればいいことです。ムリヤリやらせてCDすら作れなくなったらどうするんですか?」

Z「おまえ、ふざけんなよ…」


私の言っている何がふざけているのか、本当にわかりませんでした。

今でもわかりません。

そのあと、ブチ切れた彼は電話越しでも耳をつんざくような声で、札幌の西区から白石区まで響いているんじゃないかと思うような声でわめき散らかしました。


この時、私は

Zと離れられるタイミングが来たらすぐに離れること

・それでもCDを作るノウハウがあるに越したことはないので、その時を引き延ばすこと、そのノウハウがあるだろうZに感付かれないように

だけを考えていました。

彼の要求を聞くことさえしなければ、デメリットはない。


同時に私はZが自ら離れてくれることを狙っていました。

自分たちでやらなくてはいけなくなったとき、何をどうするべきかを考えながら。

クラウドファンディングで支援して頂いたお金があればきっとなんとかできる。

こんなイザコザなんて、支援して頂いた方には関係ない。

CDさえ作ることが出来れば、希は約束を果たすことが出来るのだから。

そしてその狙いは成功したのです。


Z「…もうお前たちには付き合いきれない。2人で頑張れ。」

私「…わかりました。クラウドファンディングのログイン方法だけ教えてください。」

Z「…おう」


狙った通りになりました。

大変な思いをすることになるんだろうけど、あとはどうにかこうにかCDを作り上げればいい。

相談していた方に「やはり自分たちでやることになりました、力を貸してください」とすぐに連絡しました。


これでスッキリした。あとは人の力は借りなきゃいけないけど、頑張ればいいだけのことだ。


しかし。

何時間待っても、Zからのクラウドファンディングのログイン権限の連絡がない。


この時、まだ私はどこかで「Zはプロなんだ」「言う通りにできない俺たちが悪かったんだ」「これで諦めてくれるだろう」「だって、根は悪い人じゃないし」と思っていました。


その時。ZからのLINE通知がありました。




「君達に付き合わされて失った時間の分の損害賠償を、君と佐藤希に請求する。裁判の通知の送り先はココでいいかな?」




「すぐに伝えなきゃいけないことがある。少しだけでいいから出て来れないかな?」

自宅で寝込んでいるはずの、のぞみんを呼び出しました。



【次回】

消えたい、逃げたい、投げ出したい





ここまでお読み頂きありがとうございます。

思い出したくもない日々を、思い出しながら書きました。


読んでいて楽しいものとは思えないですが、今の私に繋がっている話です。

簡略化している部分はありますが『盛り』は一切ありません


信じられないかもしれませんが、Zと出会ったことも、今は神様に感謝しています。

明日をお楽しみに。

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