『あなたの心にダイレクト向かい飛車』制作秘話⑤クラウドファンディングの成功
こんにちは、hikky(のぞみんP)です。
この自己紹介、毎回一緒ですが、コピペではなく毎回PCのキーボードで打っています。
直筆じゃないけど、直筆な気持ちで書いてるってことで。笑
前回の第4話は読み返しても「とっ散らかってるな」と思うんですが、4話は『捨て会』ではないですが、話題は多いけど、私の中で重要度の低い回です。
登場人物Zについての具体性がなく「で、結局何されたの?」という反応も頂きました。
そこがメインの話は、たぶんこのシリーズが終わってから、別にテーマを設けて書くと思います。
このシリーズではZという人物についてどうこうではなく、「起こったことをそのまま書く」「そのとき思っていたこともそのまま書く」を意識しています。
今回も元気に書いていきます。
クラウドファンディング編。
【2019年 7月 20日】
Z「今日からクラウドファンディング始まったからな」
私「え??『始まった』???」
私「聞いてないっすよ」
Z「あ??やるって言ったろ。文章も考えたし。」
私「それは…そうですけど」
私「目標が35万円…!?そんなに集まるんですか?」
Z「それだけ必要なんだから仕方ないだろ」
私「しかも期間がたったの2週間…!?」
同意したのは事実だが。
それよりも2か月前、5月のこと。
Z「クラファンの専門家やモロモロの各所への依頼料は俺が基本出してやるが、それでもお前が10万円だけ負担してくれ。プロの世界はいろいろ金がかかるんだ。気にするな、そんなハシタ金、すぐに倍以上になって戻ってくる」と言われ
私(10万円『だけ』…?『ハシタ金』…? そういうもんなのか…?? どうも腑には落ちないが、まあ仕方ないのか…)
今になって思えば、その10万円で幾らでも他のことできますね。
「専門家の先生に頼むより、そのお金を制作費の足しにすりゃいいだろ」と思いますよね。
でも当時の私は不安を抱えながらも、10万円を彼に渡しました。
銀行の封筒に入れた10万円を、中身を数えることもせず、無造作にズボンの尻ポケットに二つ折りにして突っ込もうとしたのは、どうも嫌な感じがした。
私「…中身、数えなくていいんですか?」
Z「え?ああ…そうだな。」
「領収書を書いてください」と言うつもりでした。100均で買ってきた領収書はカバンに入っていた。でも、このときには、精神的な主従関係が出来上がっており、私は彼に「あ??」と言われるのが怖くて、言えなかったのでした。
5/12の私の誕生日を祝ってもらって1か月も経っていないタイミング。
takeしたならgiveがある。
これが何を要求されても逆らえない、蟻地獄に呑み込まれた第一歩でした。
クラウドファンディングの専門家?
私「おれも一応プロデューサーの立場だし、お金も出してるんだから、その専門家に会って一緒に話をしたいです」と言いました。
Z「プロにお前みたいなアマチュアを会わせるわけにはいかない。そうだろ?まぁ、今はまだな^^ クラウドファンディングは難しいんだ。」と会わせてもらえませんでした。
話は戻り。
のぞみんのクラウドファンディングの中身を確認してみると、『クラウドファンディングの専門家に頼んだ』というだけあって、自己紹介やリターンの内容はなるほどしっかりはしている。
のぞみんに『将棋への思い』『どんな夢を実現したいか』を聞いたのも、ちゃんと反映されてる。私が推敲した98%はそのままだけど。
リターンもどこにでもありそうな内容ではあるけど、のぞみんの「佐藤希なりに将棋界に貢献したい」という思いがあることで、オリジナリティのあるものになっている。
プロジェクトの名前に『あなたの心に』が抜けて『ダイレクト向かい飛車』だけになってしまっているのは気に食わないが。
ただ、もう一つ気になることが。
30万円の支援者のリターンが『佐藤希がお店やサイトを宣伝する歌を作ります。』
私「歌を作ります、って誰が作るんですか?」
Z「はあ?お前に決まってるだろ」
私「作れる保証なんてないですよ。『ダイレクト向かい飛車』だってたまたま出来たようなもんなんですから」
Z「大丈夫だ、そんな支援者きっといないから。パフォーマンスだよ、こういうのもある、っていう」
私「(なるほど…)」
Z「まあ、大船に乗ったつもりでいろ」
目標を達成できるとは思えませんでした。
これが専門家に10万円以上払うだけのクオリティ?
世の中の大多数の人間が10万円稼ぐのにどれだけ苦労すると思ってんだ?
…とはいえ、All-in方式だし達成できなくても問題はないのか?
クラウドファンディングにはAll-in方式とAll-or-Nothing方式があります。
簡単に言うと「達成できなくても支援のお金は使う」か「達成できなかったら支援のお金は返す」の違い。
All-inの方が良いように感じるかもしれませんが、実はより厳しいのはAll-in方式です。達成できなくてもやらなきゃいけないんですから。
僕は「このクラファンは達成できないのが前提なんだろう」と思いました。
頑張った証拠を残す布石なんだな、くらいに考えていました。
【2019年 7月 25日】
『ダイレクト向かい飛車』クラウドファンディングのサイトを覗いてみると。
集まっていた金額、約7万円。
素直に「すごいな、こんなに支援してくれた人がいるんだ」と思いました。
宣伝らしい宣伝と言えば、のぞみんに言ってTwitterに書いてもらっただけです。
のぞみんも嬉しかったと思います。感動していたと思います。
Zに電話しました。
私「クラファン見ました?けっこう集まってますよ!」
Z「何言ってんだ?全然足りねえだろが。お前と希はなにやってんだ?」
私「はい???」
Z「いいか、クラウドファンディングってのは『信用』なんだ。達成できなかったら、希は信用のないダメなアイドルってことだ。これからやることもすべてダメになる」
私「(!! 希の今後に影響が出るのは困る…!)…どうしろと??」
Z「言わなきゃわかんないか?死ぬ気で、なんとしても達成させろ!」
私「はあ…(とはいっても「俺に任せろ」って言ったよな、この人…)」
Z「おれも全力を尽くす。あちこちにお願いして回る。お前も今すぐ動け!」
私(動けって言われても、どうすりゃいいんだよ。もうライブもないし。)
クラウドファンディングは『信用をお金に両替するもの』です。
銀行用語でも何の担保もとらずに「この人なら大丈夫、返してくれる」という融資を『信用貸し』と言います。
その点で、彼の言うことは正しい。
達成できなかったら、その時点での信用が目標のレベルまで達していなかった、ということ。
それも正しい。
でも「これからやることがすべてダメになる。」
それは間違いだ。
とはいえ、ここから達成に向けた私とのぞみんの奔走が始まったのでした。
【2019年 7月 31日】
クラウドファンディング最終日。
残り24時間の時点で、目標の35万円まで残り約15万円。
25日から増えた金額の大部分は自称のぞみんのTO(トップヲタク)の方が出してくださったそうです。
まあまあのギターが買えるくらいの金額です。
「どうかしてる人なのか…?」と私は思っていましたが、そこそこ仲良くなった今思うことは、ホントに素敵で誰よりもちゃんとしたどうかしてる人でした。大好きだぜ、じょけ。
さて、残りをどう埋めるか…
前日、のぞみんと2人で縁のあるお店回りをしました。
ドサ回りとも言える、原始的な営業ですね。
思いつくことをすべてやりました。
Twitterで数時間ごとにのぞみんにツイートしてもらう、将棋関係者や知り合い・親族にLINEでお願いしてもらう、普段は使わないfacebookに書き込みをしてもらう…
徐々に、でも確実に伸ばしていたけど、残り5時間くらいになっても10万円くらい足りなかった。
私も必死だったので、ススキノ支部の拠点の飲食店のカウンターに居座って、隣に座った人を口説く(男)ということをやってました。
2人口説き落として1500円ずつ支援して頂きました。
ホントにありがとう。
残り1時間。達成まで8万円。
「もう無理だよ…」あきらめかけたその時、のぞみんから電話が入りました。
のぞみん「お世話になってる将棋関係の知り合いの方が『今日3万円支援したつもりなんだけど、できてるかよくわからない』と仰ってます」
私「(…!)今日1日クラファンに張り付いてたけど、3万円急に増えたってのはなかった。たぶん支援できてない。」
のぞみん「お話してみます」
無事にご支援を頂き、達成まで残りは5万円弱。
でもこれで本当に万事休すか。
もう何もできることはない。
それでも奇跡を信じるように毎分ごとくらいにクラファンのページを見ていました。
その時。23:42だったと思う。残り18分。
【おめでとうございます!プロジェクトは目標を達成しました!】
「!??????????」
その瞬間は最後に支援してくださったのが誰なのかわからなかったのですが、その方は、私とのぞみんが大変お世話になっている、そしてこれからもきっとお世話になるだろう、北海道将棋界の偉い方でした。
そのときはプロジェクトの人間としてのログイン権限がなかったので、確認することができなかったのですが、素晴らしいメッセージを頂いていました。
「やり始めたなら、もう半分終わったも同じ。」
最初の一歩を踏み出すのが難関なんだ。
今も大好きな言葉です。
好きな言葉は?と問われたら、最近はこの言葉を真っ先に思い浮かべます。
誰かの言葉なのか、その方自身の言葉なのかはわかりませんが。
あとで知ったことですが、全くの見ず知らずの方(おそらく将棋が好きな方)からの支援も数多くありました。
最初は無理だと思えた、クラウドファンディングの計画自体は実行する価値のあるものだった。
その夜は近くにいたのぞみんと合流して、シャンパンを空けました。
アホですね。
のぞみんが勤める札幌アイドルカフェに「シャンパン用意して!」と事前に電話して、超ハイテンションでお邪魔しました。
アホですね。
アイドルカフェ関係者の皆さん、その節は失礼致しました。
その後、「意外とちゃんとした人なのでびっくりした」と言われたので、かなりヤバい人だと思われていたようです。
「君はヤバい人だよ」という苦情は受け付けません。笑
そんな空気も無視して、意味なくアホなことがしたくなるくらい、クラウドファンディングを達成したことは嬉しかったんです。
のぞみんのプロジェクトだけど、のぞみんより喜んでました、たぶん。
疑問に思っていたことがあることも、そのときばかりはどうでもよくなりました。
「支援して頂いたお金って、どうやって受け取るんだろう?」
Zに電話をしました。
私「達成しましたよ!シャンパン開けましたよ!」
Z「お、おお…よくやったな。」
私(…?)
Z「でも勝手に祝っちゃうのはどうなんだ?一緒に頑張った仲間だろ?」
なにか不穏なものを、酔っ払いながらも感じました。
だいぶあとでわかったこと。
一緒にやってきた仲間であるZは「俺に任せろ」「大船に乗った気でいろ」「俺も全力を尽くす」と言った。
彼の全力とは
彼自身の1500円の支援、それだけでした。
【次回】
破滅へのカウントダウン
ここまでお読み頂き、ありがとうございます。
見切り発車で始めたこのシリーズですが、折り返しまで来ました。
今日はアイドルライブの音響・照明をやってきました。
札幌アイドルカフェで行われたライブのスタッフとして、声をかけて頂きました。
それは間違いなく、このシリーズで経験したことがあったからです。
今日のライブではなんと『あなたの心にダイレクト向かい飛車』が2回も歌われました。
2回目の方はのぞみん不在のステージだったのに、むちゃくちゃ盛り上がってました。
やっぱりすごいな、紫の人。
作った人として、冥利に尽きます。
札幌アイドルカフェに行ったことがない方は、是非行ってみてください。
今でこそ楽しい日々を過ごしていますが、次回とその次は、かなり重い話になります。
仲良い仲間同士の飲み会でこの話をしたら、場が一瞬で凍り付いて、全員の顔がひきつっていました。
次回もお楽しみに。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?