『あなたの心にダイレクト向かい飛車』制作秘話⑦「消えたい、逃げたい、投げ出したい」
こんにちは、hikky(のぞみんP)です。
本シリーズの①~⑥までは21時頃から書き始め、書きあがったタイミングの23時過ぎの投稿になっていましたが、今日はオフなので少し余裕をもって書いています。
友人に「内容が重い!w」とツッコまれ、「だから重いって言ってるしょwww」というやりとりがありました。
今の私の現状を知っているから、こんな軽いやり取りも出来るわけです。
「読んでるだけで胸が詰まる…」なんて言ってくれた方もいました。
続きです。
今回が個人的には最も重い話ですが、残りの3つは明るい話になりますので、どうぞお付き合いください。
【2019年 8月 7日 昼~夕方】
どうやら、損害賠償請求をされる。
「とんでもないことになってしまった」
かなり焦りました。
損害賠償を払わなくてはいけないという心配ではありません。
請求されたところで払う必要なんてない。それくらいわかります。
問題はどんなに内容が馬鹿げていても、請求することはできること。
「金払え」とポストに手紙を投函したり、メールを送るのと同じことです。
ただ私とのぞみんが、そんな請求が馬鹿げていることを知っていても、周りがどう思うか。
『損害賠償請求』という言葉にはインパクトがあります。
時間をかけて誤解を解くことは可能でも、一時的な混乱は生まれる。
そもそも本当に損害賠償をとるつもりなら、わざわざ連絡する必要がない。
彼の意図はすぐに推測できました。
本当の目的はきっと、とにかく私を焦らせて、精神的に追い込んで「やめてください、できることはなんでもするから」と言わせることです。
そして何かを要求するのでしょう。
のぞみんの体調、CD製作の工程、時間のなさ
問題が山積みの中、そんな混乱に時間を奪われている場合ではない。
(Zが離れたことはのぞみんに言わざるを得ない。これは今すぐでなく、回復してからでも良い。)
(ただそれでも損害賠償のことは… 選択肢は『今すぐ話す』か『隠す』かだが…)
(おそらくただの脅し。隠した方が動きやすくはある。)
(話してしまえば相当なストレスになる。「もうこんなことはやめる」と言われても止めることはできない。)
(それでも、万一本当に請求が来てしまったら、のぞみんだけでなく、ご家族や周りの人にも迷惑がかかる。)
(今すぐ話せば、もうイヤになって、CDの計画自体がダメになるかもしれない。しかも希のコンディションは最悪。それでも…)
私は今すぐ話すを選びました。
連絡をとって、すぐに迎えに行きました。
この日ののぞみんは本当に具合が悪そうでした。
顔に生気がない。
(…こんな状態のときに、こんな話をしなければいけないのか…)
おそらく私の顔も、ヒドイ顔だったと思います。
私「かなりショッキングな話なんだ。落ち着いて聞いてくれ。」
のぞみん「はい。でもなんとなく予想はついてます…。」
力のない作り笑顔を浮かべたのぞみん。
損害賠償請求を食らう、なんて想像しているはずがない。
Zと決裂したこと、これから2人で全てをやらなければいけないこと、損害賠償請求をされるかもしれないこと、本当に請求されたときには賠償金を払う必要はないだろうが火消しは必要になるだろうことを話しました。
のぞみん「Zが離れることは元々予想していましたが、損害賠償は…ショッキングですね。」
表情だけを見ていると冷静な様子。
『Zが離れることを元々予想していた』のは意外でした。
のぞみんが心配にならないように、表面上はZと上手くやっているように見せていたつもりだったのに。
のぞみん「この間、Zに『アイツと頑張れよ』みたいなことを言われたんです。」
私「なるほど…」
のぞみん「…」
のぞみんに責められても謝ることしかできない、と思っていました。
いくら穏やかなのぞみんでも今回ばかりは… 怒りや混乱のぶつけどころ、八つ当たりする矛先は私しかない。
とんでもないことに巻き込んでしまった。
こんなことになったのは、すべて私の責任。
のぞみんにも、のぞみんの両親にも、何も知らずにクラウドファンディングを支援してくださった方にも、本当に申し訳ない…
「すべてをリセットして消えたい」
本気でそう思いました。
「逃げたい。どうして人生にはリセットボタンがないのか。こんな世界に作った神様を呪ってやる。」
滑稽なことを、本気で思いました。
クラウドファンディングのお金を返金して「hikkyという奴にひどい目に遭わされた」と言ってもらえば、のぞみんはただの被害者で済む。
それが手っ取り早くて簡単な収拾手段だろう。
でも、のぞみんは私を責めませんでした。
のぞみん「hikkyさんが全部やってくださるんですよね? 私は体調がこんなだから、今すぐは無理だけど、出来る限りのことは頑張りますから。よろしくお願いします。」
私「……………ありがとう。」
体の力が抜けました。心が軽くなりました。
一瞬でも「もしかしたらのぞみんとZはグルなんじゃないか」と思ってしまっていた自分が恥ずかしかった。
それくらいメンタルが崩壊し、人間不信になりかけていました。
その帰り、北海道神宮に行って、お参りをしました。
さっきまで呪っていたはずの、大して信仰してもいなかった神様にすがりました。
「どうか上手くいきますように」と。
【2019年 8月 8日~13日】
のぞみんのご両親にも会わせて頂き、事の経緯を説明しました。
「ウチの娘をなんてことに巻き込んでくれたんだ!!」と激昂されるのも覚悟していましたが、そんなことは一切なく、理解を示してくださいました。
とはいえ、やらなければいけないことは山積み。
まず最優先はクラウドファンディングの収拾をつけること。
ログイン権限がおそらくZにある以上、いつ支援金を引き出されてもおかしくない。
金額の多い少ないじゃない。
百万歩譲って、仕事料を払う必要があるとしてもだ。
お金には色はついていないけど、のぞみんを応援してくれた方の大事なお金を、絶対にZに持っていかれるわけにはいかない。
レコーディング、CDのデザイン、CDのプレス、その他のグッズの手配の手筈を整えながら、のぞみんにはクラウドファンディングのログイン権限を手にする交渉をしてもらいました。
クラウドファンディングを運営しているCAMPFIREの担当者の方には、大変お世話になったのですが「こんなことは前代未聞」と言われました。
各所への確認、事実関係の確認… 思ったよりも時間がかかりました。
基本的にクラウドファンディングは、演者よりも企画者の権限で動かすものだからです。
タレントよりも事務所が強い、という構図です。
私とのぞみんは「タレントに必要なお金を持ったまま事務所がなくなったから、タレントに返してくれ」というようなお願いをしているわけです。
現金ではどうしようもないですが、幸いなことにどこにも入金されておらず、手の打ちようが残っていました。
それでも運営側としては「えー!?そんなことある!?」ってなりますよね、それは。
どうにかこうにか、8/13か8/14の午前中に、ついにのぞみんがログイン権限を手に入れました。
もう支援金を持っていかれる心配はない。
これでひとまず安心できる。
そう思っていました。
【2019年 8月 14日】
これでCD製作に集中できる。
そう思っていた昼頃。
クラウドファンディングのCAMPFIREからメールが届きました。
『ダイレクト向かい飛車』プロジェクトの支援者宛てのメッセージ。
「希かな?おかしいな、何も指示はしてないけど…」
それはなんと、ログイン権限を失ったはずのZからのメッセージでした。
!!!!!!!!!!
なぜ?
【次回】
「頑張ってるの、見てましたから」
ここまでお読み頂きありがとうございます。
今日の内容は、一部泣きながら書きました。
それくらいこの時期はツラかった。
最後に貼り付けたZからのメッセージ、数か月ぶりに読みましたが、今その瞬間を思い出してもゾッとします。
明日アップ予定の⑧からは、だんだんと光が射してきます。
是非、お読みください!
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