ピアノを教える中で見えた希望
それまでレッスンを受ける側だった私が初めてピアノを教えることになりました。
生徒はほとんど初心者。
生徒は子供だけでなく大人もいました。
ここで私は様々な事を学ぶことになります。
単にピアノを教えるというと、そんな難しいことのようには思いません。
しかし、やってみたら現実にはわからないことだらけ。
ピアノを教えると言っても、大半の生徒は練習なんてしてきません。
ピアノに限らず、スポーツ、語学、ダンスなど継続して練習しなくては上達しません。
しかし、
世の中の大半の人はこの「継続」の習慣が無いため「継続」できません。
ピアノの練習は「継続」そのもの。
語学やスポーツ同様、とにかく毎日一定時間必ず練習しなければなりません。
話がそれましたが、
生徒にピアノのレッスンをする時に、
特に心がけていたことは、「継続力」を身につけてもらうことでした。
生徒はほぼ全員練習してこないので、
レッスンに来た時に練習している状態です。
例えばどうしても弾けない箇所がある場合、
大人も子供も関係なく、殆どの生徒は細分化して練習せずに、そのまま弾こうとします。
両手で弾けない場合は、片手づつ練習する。
片手だけやってもできない場合は、
更に細分化して、指使いを変えるとか、
弾けない音だけ取り出して何度も繰り返し練習するとか、マニアックな練習方法をいくつも考えるのです。
要するに、継続できない理由は“練習のやり方がわからない”からです。
練習のやり方を教えると、音楽性が無い生徒でもそれなりに正確な演奏ができるようになっていくので、生徒はもちろん、保護者からも喜んでもらえて、やりがいを感じていました。
音大生の就活
しかしながら、
才能があり、心から音楽を愛する友人達とは話していてもどことなく噛みあわない感があったのは事実。
大学4年になり、その後の進路について考えなくてはならなくなりました
当時はバブルの最盛期で、現在のように大学2〜3年から就活するような時代ではありませんでした。
殆どの学生は、実家がお金持ち。
卒業後も就職して働く必要ない学生が多かったです。
卒業後の進路といえば、
留学、
大学院進学、
教員、
音楽教室の講師、
自宅で教室を開く
くらいです。
最近は音大から一般企業に就職する学生も普通にいますが、当時はほとんどいませんでした。
地方から来ていた学生の中には、
「卒業したら許婚(いいなずけ)と結婚しなければならない」なんて言っていたのを覚えています。
今の時代からは考えられない話…
結婚すると自由が無くなるから、
時間稼ぎで留学したり、大学院に進学したりするのです。
私は卒業後も、
アルバイトの延長で、自宅や音楽教室でピアノを教えながら、出張レッスンしたり、
ホテルのラウンジや結婚式での演奏、
アマチュア合唱団、声楽の伴奏の仕事をかけもちしたりして、稼いでいました。
当時はバブルの絶頂期だったので、ホテルやレストラン関係での演奏の仕事はいくらでもありましたので、収入はかなりありました。
そんな感じで、卒業後はお金もかなり稼いでいたし、仕事も楽しく、自由気ままに暮らしていました。
しかし、この幸せは長く続きませんでした。
心が未熟な私には新たな試練(結婚)が始まるまでの束の間の幸せでしかなかったのです。