「まとも」という概念を疑ってみる
「まともがゆれる」という本がべらぼうに面白かった。
著者の木ノ戸昌幸氏は、京都の障害福祉NPO法人「スウィング」を運営している。本の中では「スウィング」を舞台にして様々な人のエピソードが紹介される。
読んでいると、運営する人も障がいを持つ人もそれぞれがユニークで、何だかうれしくなってくる。
障がい者とは果たして誰なのか、健常者との違いは何なのか。金儲けができるかできないかで、社会が定める「経済合理性」に沿えるか沿えないかで、健常者とそうでない人を分けているのではないか。「まとも」という概念をいったん疑ってみてはどうか? 木ノ戸さんはそんなことをこちらに訴えかけてくる。
この本の副題は「常識をやめる『スウイング』の実験」。確かに「スウィング」の取り組みは、弱さを思いきり肯定して、世間が勝手に決めた常識を軽やかにいなし、豊かに楽しく生きていく実験のよう。本の中では「スウィング」メンバーの詩や絵も紹介されていて、それも味があって本当に良かった。
「まともがゆれる」に寄稿している稲垣えみ子さんとの対談も面白かった。木ノ戸さん本人がこれまでの人生でいろいろ悩んだり感じたり、ジタバタ下ながら生きてきて感じたことが「スウィング」の運営の根幹に流れているんだと思う。
この本に触発され、「スウィング」の賛助会員になってみた。と、さっそく一筆箋が送られてきた。
うれしい!
これからも「スウィング」の活動を楽しみにしている。