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動画新時代の幕開けに君は何をすべきか?
最近ではテレビにも露出し、有名人となりつつある明石ガクトさんが書いた本「動画2.0」を読みました。
まず著者の挑発的で軽みのある語り口がいいです。 映画からテレビ、ネットと動画メデイアが経てきた変遷をたどりながら、新しい動画の時代の到来を高らかに宣言する。
多少、“尖った”表現もそれほど気にならず、むしろ若々しさと受けとめられるのも著者の魅力なのかもしれません。本の中で少し触れられているようにご本人も 挫折を経験し、つまづきながらも、たくましく事業を続け、現在のポジションを得た明石さんの才気が存分にほとばしっているなあと感じました。
明石ガクトさんは2014年に動画メディアの会社「ワンメディア」を立ち上げ、現在も経営しています。
この本は動画によるコンテンツやメディアを作ろうとする人のために「武器を与えることを目的に」書いたそうです。
きっと君は世の中に何かを発信したい人なのだろう。その何かを熱弁や長文じゃない方法で伝える技術を、僕はヴィジュアルストーリーテリングと呼んでいる。
そしてスマホの到来で、人類はテレビ以来の新しいスクリーンを獲得したとも言います。
スマートフォンは、ただ画面を小さくしただけじゃない。人間が映像コンテンツに触れる時間のセグメントを細かくしたことが、スマートフォンがもたらした最も大きなインパクトだ。
つまり細かいスキマ時間に楽しめるデバイスがスマホだというのです。スマホによって従来からあるテレビなどの「映像」に対して、新たに「動画」が生まれたと定義します。
そして映画やテレビの時代を経て、ユーチューブの時代になると「情報の凝縮」が生まれたと説明します。となると、短い時間内にどれだけの濃いコンテンツが入っているかが重要になるようです。その情報量を「Information Per Time(IPT)」と呼び、IPTの濃いコンテンツをいかにつくればよいかを説くのです。
映像か動画かの違いはIPTによって測れるそうです。スマホなどで、好まれるのはIPTが高いもの。
映像を観る1分と、動画を観る1分の価値は等価ではない。おそろしく貴重な1分なのだ。
誰でも簡単に動画を作れる時代。動画クリエイターへのハードルは低くなっています。でも、だからこそ作り手の「思想」や描きたい「世界観」が、演出によってビジュアル化されているのが重要になると強調します。
ミュージックビデオとカラオケビデオの違いは、思想の有無にある。
何らかのテーマが、毎回絡まり合い、手を取り合い、揺るぎなき制作意欲で1億人に届け!って感じで作り上げるのがミュージックビデオ。まさに思想のヴィジュアライズがそこにある。
とりあえず流行っているショットを組み合わせてできるものは、どこかで見たことがあるような中身のない映像だ。僕はそれを「オシャレなカラオケビデオ」と呼んでいる。
さらに明石さんは「動画は3秒でジャッジされる」とも言います。
その3秒の中で相手をコンテンツに引き込まなきゃいけない。さらに言えば10秒までの間に「最後まで観よう」と思ってもらわないといけない。それができれば、30秒だろと60秒だろうと動画を見続けてくれる。
動画で伝えること、つまりヴィジュアルストーリーテリングであれば、テキストやテレビ番組で伝えると難しいような内容でも、表現できるそうです。
文章にすると難解なハイコンテクストな内容も、インフォグラフィックスで図解に落とし込むことでIPTの高いコンテンツに生まれ変わるだろう。
ただ、それだけでいいというわけでもないようです。
だがしかし、最も重要なことは君自身がそれを伝えたいと思っているかということだ。嘘偽りのない心からの叫びをヴィジュアルストーリーテリングに落とし込むことで、君にしかできない動画が誕生する。その動画が視聴者と強く結びついた時に、誰かの世界観が変わるんだ。これがエンゲージメントだ。
本書は動画クリエイターになれとアジテーションして終わりではありません。マネタイズする方法も伝授しています。それは以下の3つだというのです。
・どこのプラットフォームで勝負するか決める
ユーチューブ、フェイスブック、インスタグラム、ツイッター、TikTokなどに動画をアップして手ごたえを探ります。
・そのプラットフォームで輝くスタイルを考える
誰が見てもその人のコンテンツだと分かるような特徴を作る。それを「スタイル」と呼んでいるようです。
・スタイルを踏まえたエンゲージメントの高い動画を作り続ける
意識すべきは時間軸です。限られた時間の中でいかにストーリーをうまく構成するか。その時間配分が濃いIPTや演出に直結するというのです。
本書の最後では、明石さんは「やり続けたから、諦めなかったから今日があるんだよ」と書いています。
僕は30歳になって、一度は諦めた動画の世界に戻ってきた。その時、色んな言葉が浮かんで、なかなか一歩目を踏み出せないでいた。
「自分はプロになれなかったから」「趣味は趣味のままの方が幸せだから」
こんなのは、全部どうでもいい言い訳だ!
そしてこう締めくくります。
さあ、今すぐこの本を投げ捨てろ。君が次に見るべきものは、レンズの向こう側にある。再生を止めて、録画を始めよう。世界はこんなにもヴィジュアルに満ちているのだから。
なんともしびれる終わり方です。
新たな動画時代の到来を前に僕たちは何をすべきか。この本はそんな問いをぶつけてきます。