見出し画像

こだわりの積み重ねの先に、自分たちが描く未来がある。『挽肉と米』で働く面白さとは?

23年7月には台湾の台北中山、23年8月には福岡にオープンした『挽肉と米』。新店舗のオープンが続くなかで、「挽きたて、焼きたて、炊きたて」の伝道師として、調理技術や接客のあり方を各店舗に伝えているメンバーがいます。

その人の名は、小島充人(こじま・みつひと)。『挽肉と米』が吉祥寺にオープンして間もない頃に入社し、その後は渋谷の『挽肉と米』で店長もつとめました。

なぜ『挽肉と米』で働こうと思ったのか、どんな想いをもって日々働いているのか、今回、入社時から小島の仕事ぶりを間近で見てきたCEO・山本昇平(やまもと・しょうへい)も同席のもと、『挽肉と米』で働く面白さについて小島に話を聞いてみました。


『挽肉と米』の仕事とは、突き詰めること

── 今回は小島さんを深堀りしていきたいのですが、そもそも飲食の仕事に興味をもったキッカケは何ですか?

小島:昔から料理が好きで、自分が好きな人に料理を作って、「おいしい」「ありがとう」と言ってもらえることが嬉しかったんですよね。そうした喜びを仕事でも味わいたいと思って、飲食の道を選びました。

そのため、『挽肉と米』で働く以前も、料理人として幾つかの飲食店で働いてきましたが、全てオープンキッチンのお店でした。自分の料理に対するお客さまの反応を間近で見れるというのは、働くうえで大切にしているポイントです。

── そのなかで『挽肉と米』で働こうと思った理由は何だったんでしょうか?

小島:それまでは自分に足りないものを習得したいと思って、色々なお店を転々としていました。ただ、結婚も視野に入れるなかで、「ひとつのお店にじっくりと腰を据え、自分が培ってきたものを活かして勝負にでたい」という気持ちがありました。

そうしたことを考えていた矢先、吉祥寺にオープンしたばかりの『挽肉と米』が話題になっていて興味をもちました。コロナ禍で飲食店はどこも厳しい状態なのに、連日満員なんてすごいなと。

自分なりに『挽肉と米』について調べるなかで、コンセプトをしっかりと確立し、お客さまの期待に応えていこうとする意志を持っているからこそ、コロナ禍でも客足が途絶えないのだろうと感じました。そして、『挽肉と米』は一過性のブームで終わることなく、今後も生き残っていくに違いないと思いました。

調べれば調べるほど、ここで勝負したいという気持ちが強くなっていきました。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、「一生働いていく」くらいの気迫で応募しましたね。

── 採用面接は山本さんが担当しましたが、当時の小島さんの印象はいかがでしたか?

山本:「しっかりやっていきます!」というモチベーションが高くて、すごくいいなと思いました。あと、今は金髪だけど、当時は結婚を控えていたこともあって黒髪で、真面目な印象に輪をかけてましたね(笑)。

一方で、色々な飲食店で働いてきた人の場合、『挽肉と米』のようにひとつのメニューを繰り返し調理していくことに退屈さを感じることもあります。「その点は大丈夫?」と質問をしたんですが、その際の小島くんの回答がすごくよかった。

肉を焼くという単純作業にも見える行為の中にも、新しい発見や技術の更新は必ずあるから、僕は退屈はしない。むしろ、そういうのが好きなタイプだと。

僕ら『挽肉と米』の仕事は「挽きたて、焼きたて、炊きたて」をとことん突き詰めていくこと。小島くんの回答を聞いて、キャラクターとして『挽肉と米』にハマる気がしたし、働きはじめたら実際その通りでした。

入社約半年で、新店舗の店長に

── その後、小島さんは21年3月にオープンした渋谷の『挽肉と米』で店長をつとめることになります。山本さんが小島さんを店長に選ばれた理由は何だったんですか?

山本:やはり、吉祥寺での仕事ぶりが抜群に良かったことですね。小島くんはひとつひとつの仕事を丁寧に正しく実行する力に長けていて、お客さまに期待通りの体験を届けようとする責任感がものすごく強いんです。

当時は僕がまだお店に常時いたので、実質的な店長業務は僕が行い、細かいオペレーションのフォローを小島くんに担ってもらいたい。そして、徐々に小島くんに店長業務も担当してもらおう。そうした意図がありました。

── 店長になってみて、どんな変化がありましたか?

小島さん:それまで店長業務を経験したことはなかったので、本当にゼロから覚えていく感じでした。山本さんがお店にいてくれたおかげで、何とかなったところが大きいです。

また、店長に選ばれたといっても、全ての仕事が完璧にできていたわけではありません。例えば、僕は接客があまり得意ではありませんでした。お客さまに伝える内容をメモしているんですが、メモに書かれた内容を読んでいるだけだと、機械的な接客になってしまいます。どうすればいい接客ができるかは結構悩みました。

山本:入社した頃の小島くんの接客は棒読みなこともあって、アルバイトスタッフさんから「接客中の小島さんは、目が死んだ魚みたいになってますね」と言われたこともあります(笑)。そこから本人の努力によって、徐々に変化していきましたね。

── 山本さんから見て、店長になった後の小島さんに変化はありましたか?

山本:さっきも言ったように、もともと小島くんは自分の仕事をちゃんとやる人でした。ただ、店長になると他のメンバーの仕事にも関わっていく必要があるから、自分が相手にどう見えているかも含めて、相手の立場に立ったコミュニケーションが必要になります。それが小島くんは最初は苦手でした。

ただ、失敗もたくさん経験するなかで、どんな風にメンバーと接するといいかを一生懸命に考え、自分なりに改善していきました。

現在では、『挽肉と米』のコンセプトを体現し、スタッフのみんなに伝えていくことができる貴重な存在です。言葉だけではなく、行動で示すことのできる人は多くはいないですから。僕からみても、本当に頼もしい存在になってくれています。

自分が見本となり、背中で伝えていく

── 小島さんが『挽肉と米』で働くなかで、特に意識していることは何ですか?

小島:『挽肉と米』ではコンセプトである「挽きたて、焼きたて、炊きたて」に基づいて、様々なものが細かく設計されています。とはいえ、僕らスタッフがそれをしっかりと実行していかないと、お客さまの期待に応えることはできません。

設計された通りに動くというと、機械的に聞こえるかもしれません。でも、「コンセプトを実現するには、これが一番」と自分たちが考え抜いた方法で、お客さまに喜んでいただけるのは純粋に嬉しいですよね。

そのためにも、まずは僕自身が率先して動いていって、「こういう焼き方がいいんだよ」「こういう接客がいいんだよ」という見本を他のスタッフに見せていきたいです。背中で語ることが一番説得力があると思いますので。

もちろん、僕が全て一番できるとは思っていません。それぞれに良いところを持っているスタッフがいるので、「この分野は、あの人のやり方をマネてみよう」みたいな感じで、色々な人のいいところを取り入れていきたいです。そうすることで、お店のクオリティも底上げされるはずです。

── 山本さんから見て、小島さんの動きはどう映っていますか?

山本:小島くんの肉の焼き方は本当にきれいなんですよ。現在、台湾に行ってもらっているスタッフの岩崎くんも焼き方がすごくきれいだけど、岩崎くんは「小島さんが師匠」と言っています。

実は『挽肉と米』がオープンしたばかりの頃は、今ほど焼き方が統一されていませんでした。「どれくらいの火力がいいか」「どれくらい時間をかけて焼くのがベストなのか」を突き詰めていく中で、色々な個人のやり方が生まれていきました。

ただ、それだとお客さまに提供する商品のクオリティにばらつきが生じてしまいます。焼き方を統一していこうという中で、現在は小島くんのやり方をお手本として、他のスタッフに焼き方を覚えていってもらうようにしています。

それくらい、小島くんは「焼く」という作業を色々な視点から説明できるんですよね。小島くんがコンセプトと向き合って、突き詰めてくれた結果だと思います。

「安心安全の小島くん」と呼ばれる理由

── 小島さんが今後挑戦していきたいことは何ですか?

小島:
『挽肉と米』では新規出店が相次いでいるので、新店舗がうまくいくように、自分の役割をしっかりと果たしていきたいです。直近であれば、台湾のお店がオープンした時の学びをしっかりとリスト化し、次の海外出店に役立てていきたいです。

ただ、リーダーシップをとって、「みんなの先頭を走っていきたい」みたいな気持ちはそんなにありません。店舗ごとに主人公は変わっていくと思うので、それを裏から支えていきたい。最強の裏方みたいな存在が、僕の目標なんです(笑)。

山本:小島くんはこういうキャラクターなので、台湾のみんなからは「安心安全の小島くん」と呼ばれています。小島くんに聞けば、なんでも正しい答えが返ってくるし、本当に頼りになるから(笑)。

小島くんは渋谷の店長をやってもらったけど、現在はひとつの店舗の店長というフェーズを超えて、各店舗の店長やスタッフをサポートする存在になっています。一歩下がったところからみんなをフォローしていくのが、すごく絶妙なんです。

── ちなみに、二人から見て『挽肉と米』のメンバーはどんな人が多いですか?

山本:
なんだろう…。いろんな人がいるって感じかな(笑)

小島:偏ってはいないし、色々なキャラクターがいる感じですかね。でも、結果的に、個々人の得意分野が、お店で必要とされる型に当てはまっていっている印象はあります。

山本:そもそも、『挽肉と米』のコンセプト自体が、多くの人が共感しやすいもの。だからこそ、色々なキャラクターのメンバーが入社してくれています。でも、キャラはバラバラでもお互いの視点があっているから、一緒に楽しくやれている感じがしますね。
小島:そうですね。時には意見がぶつかることもあるけど、何よりも大切にしないといけないのはコンセプトなので、そこをベースにしつかりとした意見交換ができている感じはありますね。

未来を信じて、根気強くやり続けていく

── 最後に、『挽肉と米』にどんな人が加わってほしいかを教えてください。

小島:そうですね…。「あれもしたい、これもしたい」という浮気性な人よりも、ひとつひとつにちゃんとこだわりを持って、深く探究できる人のほうがハマるかなと思います。例えば、小さい頃から、ひとつの趣味や同じ種目のスポーツをずっと続けられている人とか。

逆に趣味をコロコロと変えてしまう人はあまり向いていないのではないかと思います。そういう人は最初は楽しんでやるのだけど、ひとつひとつの作業に対して「もう自分の中ではマスターした」「これはもういいや」と途中で見切りをつけてしまうのではないでしょうか。

同じことを繰り返しているかのように見える作業の中にも、こだわりを見出し、深く探究していく。僕はそういうことに面白さを見出せているので、とても楽しく働かせてもらっています。探究心があれば、きっと『挽肉と米』はドンピシャで楽しい仕事になるはずです。

山本:一般的な飲食店の場合、自分の働きが認められたら、エリアマネージャーやスーパーバイザーになったりして、仕事内容がガラッと変わっていきます。そういう変化に面白みを感じる場合、『挽肉と米』の仕事は同じことの繰り返しで退屈に映るかもしれません。

でも、店舗数を増やすことで会社の成長を作るのではなくて、体験の魅力を高め続けることで会社の成長をつくるやり方に挑戦している僕らからすると、店舗に立つ一人ひとりの頑張りと探究心が一番重要なんです。

最前線でお客さまと向き合うスタッフ一人ひとりが、提供する体験のクオリティを高めながら、お客さまの期待に応え続ける。それによって、『挽肉と米』の価値が高まり、ライセンス展開により海外店舗が増え、自分たちに還元される利益が高まっていく。そうした循環を生み出すことを、僕らは目指しています。

自分たちの未来を信じて、コツコツと根気強くやり続けていく。コンセプトである「挽きたて、焼きたて、炊きたて」をどこまでも追求していく。それが『挽肉と米』ならではの個性だと思います。こうしたスタイルに共感してもらえる人と、一緒に挑戦していきたいですね。

小島充人(こじま・みつひと)
株式会社挽肉と米 コンテンツディレクター

2020年9月、代表・山本の考えに共感し『挽肉と米』に入社。
ハンバーグをメインで提供していたレストランでの勤務を活かし、こだわりのハンバーグ焼き師を目指す。
2021年3月に『挽肉と米 渋谷』がオープン。渋谷の店長として、吉祥寺から渋谷に異動。現在は、コンセプト「挽きたて、焼きたて、炊きたて」実現のため、店舗におけるサービスや、ブランド全体のコンテンツの魅力の向上に努める。また、国内のみならず、海外を含めた新規出店の立ち上げにも携わる。

聞き手・文章:井手桂司
写真:三橋拓弥

いいなと思ったら応援しよう!