あなたの知らないひきこもり
はじめまして
メディカルソーシャルワーカーを中心としたひきこもり支援に関する任意団体「ひきこもごも」と申します。自分の こころを守る、自分らしく幸福に生きる、をテーマに学校では教えてもらえなかった、考え方、生き方を、真剣に考えています。
今回は「あなたの知らないひきこもり」という内容でお伝えします。
ひきこもり
ひきこもりについては、以前記事でご説明しております。
繰り返しになってしまっては恐縮なので、改めてギュッと説明申し上げますと、去年11月に行ったアンケート調査を内閣府が実施し、外出をほとんどしない状態が長期間続くいわゆる「ひきこもり」の人は、15歳から64歳までの年齢層の2%余りにあたる推計146万人に上ることがわかっています。
佐藤さん(苗字人口全国1位)占有率1.5%
あなたの知人に「佐藤さん」はいますか?
佐藤さんは1.5%、山田さん0.5%、ひきこもりの人口は佐藤さんと山田さんの合計よりも多い比率です。
ひきこもりの実態
「生産年齢人口」にあたる15歳から64歳までの年齢層では、広い意味で「ひきこもり」と定義している「趣味の用事のときだけ外出する」や「自室からほとんど出ない」などの状態が6か月以上続いている人は、2%余りで、推計でおよそ146万人に上るとしています。
年齢層別に見ますと、15歳から39歳の子ども・若者層では、7年前に公表された調査の1.57%から2.05%に、40歳から64歳の中高年層では、4年前に公表された調査の1.45%から2.02%に増えていました。
40歳から64歳まで 女性が半数を上回る
これまで内閣府は、子ども・若者層と、中高年層で別々に調査を行ってきましたが、今回は対象の年齢や人数を大幅に拡大しての調査となり、さまざまな「ひきこもり」の実態が浮き彫りになっています。
このうち性別では、4年前に公表された40歳から64歳までの調査では男性が4分の3以上を占めていましたが、今回の調査では、同じ40歳から64歳まででは、女性が52.3%と半数を上回り、15歳から39歳でも45.1%となっていました。
ひきこもりは男性のもの?という記事を書いていますので、男女比の変化や、主婦のひきこもりなど、(就労支援などを中心とした)現行の支援ではうまく機能しないニーズについてはこちらの記事へ
これまで主に男性の問題と受けとめられることも多かった「ひきこもり」が、女性に広く存在していることを示す結果となっています。
また、安心できる「今の居場所」を尋ねる質問では、15歳から39歳の「ひきこもり」の人は、そうでない人に比べて、家庭や学校、それに職場などのリアルな場を居場所と思う割合が低く、その一方でSNSなどのインターネット空間を居場所と捉える割合が高くなっていました。
このほか、「どのような人や場所なら相談したいと思うか」を尋ねた質問では、「誰にも相談したくない」と答えた「ひきこもり」の人は、15歳から39歳で22.9%、40歳から64歳で23.3%に上りました。
その上で、その理由を尋ねたところ、「相談しても解決できないと思うから」と答える人がいずれの年齢層でも半数を超えて最も多く、相談や支援のあり方に課題があることをうかがわせる結果となっています。
イメージと異なるひきこもり像
・男女比はおよそ半々、むしろ女性のほうが多い年齢層がある。
・年齢層は学齢期よりも中高年の比率が高い。
・結婚していてもひきこもりの人が多い。
といった、我々が想像しうるステレオタイプのひきこもり像とは違った実態があるのではないでしょうか。
ひきこもりとうつ
ひきこもり状態とうつ様の症状が似ていると感じる人は多いのではないでしょうか。
・昼夜逆転
・気力の低下
・口数が少なく感情表現に乏しい
・関係性を嫌がる
・過食や拒食傾向
といった共通点がある場合も多いです。
しかし「社会的ひきこもり」に関する相談・援助状況実態調査報告によると、
(n=3293)(%)
感情障害153( 4.6)
神経症性・ストレス関連障害545(16.6)
人格障害184( 5.6)
アルコール・薬物関連障害14( 0.4)
AD/HD.LD21( 0.6)
高機能広汎性発達障害60( 1.8)
その他の発達障害・器質性障害57( 1.7)
その他224( 6.8)
不明520(15.8)
診断無し1536(46.6)
欠損値72( 2.2)
いずれかの診断あり(重複のぞく)1174(35.7)
という調査結果で、およそ半数が医療機関を受診できていない実態があるといえます。
ひきこもり状態とうつ様の感情障害は非常に関連しているように見えても、うつと診断されているケースは4%ほどに過ぎない現状があります。
ひきこもりには理由がある
「親がしてはいけないこと」と銘打ち「ひきこもりには理由がある」を合言葉に、いまひきこもっているひとが、いまどういう状態なのかを考えています。ひとは理由なくひきこもりません。根源的な課題解決なしに性急に回復したような状況だけを求められてしまう当事者はたくさんいらっしゃいます。その環境出力だけを達成しても予後がよくない傾向にあります。いまどういう状態なのかをきちんと考える事で、一時的な状態変化に惑わされず、いま必要なものが考えられます。
当事者にとっても、家族などの身近な伴走者にとっても、理解してほしい、一度考えてほしい内容になっています。ご一読くださいませ。
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