うつわ的利他。すべては余白にある。
伊藤亜紗さん編による「利他とは何か」。
Takramのメルマガ「lobsterr」で紹介されていた本。東京工業大学内「未来の人類研究センター」による「利他プロジェクト」で、美学者、政治学者、批評家、哲学者、小説家からなる5名の研究者が、それぞれの専門性とバックグラウンドを下敷きに、利他というものについて考察した内容をまとめたもの。
自己犠牲から合理的利己主義から効果的利他主義へ、そして結論的には「うつわ的利他」。
「他者に対する信頼。自分と違う世界に生きている人に対してその力を信じ任せること。優しさからつい先回りをしてしまうのは、その人を信じてないことの裏返しだとも言える。」
「これをしてあげたら相手の利になるだろうという私の思いが含まれており、重要なのはそれが私の思いでしかないこと。」
「自分の行為の結果はコントロールできない。
どうなるかわからないけど、それでもやってみる。」
「うつわ的利他」
「利他とは聞くことを通じて、相手の隠れた可能性を引き出し、同時に自分が変わること。そのためにはこちらから善意を押し付けるのではなく、むしろうつわのように常に相手が入り込むことのできる「余白」を、持つことが必要である。」
ここでも余白が出てくる。先日の前田鎌利さんの話、書は文字という語りと余白という沈黙の場があってはじめて書になる、というのも同じ。
すべては自と他がある「うつわ」を心に持つことでひとつになれる。これもワンネスの境地。
「利他は私たちのなかにあるものではない、利他を所有することはできない。」
「利他は人が行うのではなく、生まれるもの」
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