大学入試で何を計るのか

こんにちは。

2月に入り、私立大学の入試が始まっています。

僕も入試関係の業務に少なからず携わっていますが、

インターネットやスマホ、AIの発展により従来の「暗記偏重型」の教育の不要さを訴える声も大きくなっている今の世の中で、

自分がやっている業務の価値に悩むようになりました。

年内入試の拡大がもたらす変化

私立大学生の6割が年内入試で入学するようになったからなのか、

少子化&進学率上昇によるものなのか、

どちらが一番の要因かはわかりませんが、学生の学力不足は毎年叫ばれています。

現場の感覚としては、入学時点の学力は年内入試で入学した学生の方が低いような気がしています。

しかしながら、「入学してから頑張るかどうか」という視点で見ると、一般入試で入学した学生の方がドロップアウトしてしまう割合が大きいと感じます。私立大学の宿命なのか、国公立のすべり止めで入ってきている学生も多く、第一志望に落ちて入学しているとモチベーションが低下してしまうのでしょう。

学力の確保という視点で見ると年内入試の拡大は歓迎されない物かもしれませんが、モチベーションの維持という観点から見ると(うまくやれば)学生の質の確保につながるのではないかと思っています。

年明け一般入試の存在意義

ひと昔前であれば、大学の一般入試は「とにかく学力が高い学生を入学させたい」という共通の目的のもとに実施されてきたと思われますが、

現在のように年内入試が拡大した状況において、一般入試で入ってきた半数にも満たない学生だけ学力が高くても、学力差が開いて授業がしづらくなるだけです。

学力の低い年内入試組に合わせた講義をすれば、一般入試で入った学力の高い学生の失望を招きかねません。

一般入試に対する個人的見解

「とにかく学力の高い学生に入学してほしい」というのであれば古臭い価値観のまま入試を行えばいいと思います。

一方で年内入試に舵を切ったのであれば、(特に偏差値50を下回る大学は偏差値競争から離脱して)問題の難易度を下げて合格点を上げることで、基本的なことを一つ一つ丁寧にできる真面目な学生が有利になるようにしていくべきなんだろうなと感じます。

そもそも、従来の難解なパズルのような入試にどれほどの価値があるのか。(とにかく反復練習してパズルのパターンを知っているもの勝ち、な入試をしたとして、その知識が現代の何に役立つのだろうか・・・)

おわりに

大学はどうしても保守的で大きな変革が起きにくいですが、入試業界の変化に無頓着にならないよう一教員としても情報収集をして、古い価値観に囚われていないか常に自分自身に問いかけていきたいと思います。

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