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夜のカラフルドア

平日の夜、家の近くのコインランドリーへ。

左肩に少し食い込む、えっさほいさと運んできたビニール製のエコバック。

中には衣類やタオルが容量いっぱいに入っている。

10キロの洗濯乾燥機へ手際よく入れる…というより放り込み、100円玉を何枚も入れる。

残り時間は『80分』と表示された。

よし、ご飯でも食べて待ちますかね。

でも その前に少し散歩でもしたいな、という気分になった。お昼間より夜歩く方が好きなのかもしれない。人も少ないし、よりぼーっとできる気がするからだ。

大通りから住宅街の奥へと入っていく。

等間隔に並ぶ街灯。

ひとつ失敗したのはまだ履き慣れていないサンダルで来てしまったこと。
ジュート素材が小指に擦れて少し痛い。
踵を後ろへずらして、なんとなく当たらないポジションを見つける。
コツを掴んだところで、意識をぽつぽつと光る住宅街の明かりに向ける。

オレンジっぽい明かり、白っぽい明かりがカーテン越しにもれている。

明かりを見ていたら猛烈にクリスマスが恋しくなった。

『クリスマスしたい…』

ここでいうクリスマスは、映画ホーム・アローンのようなイメージだ。
クリスマスしたい、と思う時はだいたい幼女レベルに精神年齢が下がっていて、リラックスモードに入っている時。

見知らぬ人の家の窓から見える人影は、もしかしたら小さなマコーレカルキンかもしれない。

『マコーレカルキン…』

そういえば、いとこのお兄ちゃんは中1までマコーレカルキンに似てるねって言われてたな。
たしかに可愛いかった。今はRIP SLYMEのILMARI+15キロといった感じだ。

そんなことを考えていたらビビッドなドアが目に入ってきた。

なんて遊び心のある建物なんだ。


いくつものカラフルなドアを見ていたら、映画ドラえもんの中でカプセルホテルみたいな名前の道具で地面に置いたらめっちゃ大きくなるやつが思い浮かんだ。


そして「さて、みんなどの部屋にする?」というドラえもんのセリフ。

私だったらグリーンの扉を選ぶだろう。

きっと部屋の中には観葉植物があって、不思議な棚を開いてボタンを押せば食事が出てくる。

そのメニューは意外にもビフテキかもしれない。

のび太といえばスパゲティナポリタン。

その部屋はきっと赤に違いない。

『スパゲティナポリタン…』

一通りの妄想が終了し、少し遅めの夜ご飯を食べにファミレスへと向かう。

席につき、メニュー表をみる。

すぐに決まった。



『きのこ雑炊にしよう…』

あたたかいきのこ雑炊は、飲み会続きで弱った肝臓に優しく染みた。


#夜 #散歩 #ドア #コインランドリー #エッセイ #日記

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