これから雨は激しくなるようです
最寄りの駅から地上のへあがると車内の電光掲示板で流れていた予報通り、ポツポツと雨が降り始めていた。
『ああ、折りたたみ傘持ってないなあ。』
コンビニは近くにあるけれど、ぜんぜん降り始めだ。まだ大丈夫。
今日はキャップも被っているしマスクもしているから顔は濡れない。そもそもすっぴんだから顔が濡れても気にしない。
そして雨が降ったからといっていちいち走りたくない。謎のポリシーだ。
車で買い物をした時だって駐車場まで走ったりせず、晴れた日と同じペースで戻る。
私は雨の日限定でハードボイルドな女になるのだ。
焦らず、抗わない、そのまま状況を受け入れる。だから濡れたってかまわない。
リュックの中には大事な大事な仕事道具であるMacBookとiPadが入っている。
ちょっと心配。
けれど私は急いだりしない。
駅前で買い物を済ませ、家まであと10分ほどだ。
早歩きで追い越していく大学生、天気予報をきちんと見ていたのだろう…花柄の折り畳み傘をさす少しお疲れ気味のOL、早く帰りたいのか、爆速で自転車をこぐサラリーマン。
深めにキャップを被ったマスク姿のぶかぶかネルシャツ女はドラックストアで購入した化粧水が入ったビニール袋が雨でびしゃびしゃになろうが気にしない。
今更急ぐ方がカッコ悪いのだ。どんどん色んな人に追い越されながら、暗い夜道を歩いていく。
脳内では森高千里の『雨』が流れる。
〜〜〜〜〜
雨は冷たいけど ぬれていたいの
あなたのぬくもりを 流すから
雨は冷たいけど ぬれていたいの
思い出も涙も 流すから
〜〜〜〜〜
共感エピソードが全然ない為、歌詞に感情移入ができない。
しかし、私はこの歌は大好きだ。
というか森高が好きだ。
森高は美しい。
「17才」を歌う森高はフレッシュ感があり守ってあげたい感があるし、「気分爽快」の森高は一緒に飲みに行きたい憧れの先輩感があるし、「ザ・ストレス -ストレス 中近東バージョン-」の森高はシンプルにウェイトレス姿が引くほどかわいい。
帰ったらYouTube見よう〜なんて思いながら信号待ちをしていた。
体感がバカになってきたのか、『全然小雨じゃん』なんて思っていたが、横切っていく車のヘッドライトが雨が激しくなってきたのを教えてくれた。
眩しい上向きのライトに照らされた雨。
まあまあザーザーやん。
家まではあと3分ほど。
着いたらすぐにお風呂に入って、ビシャビシャのビニール袋は捨てよう。
そしてYouTubeを見ながら、もう一人の住人の帰宅を待つのだ。
ポストが見えてきた、私は最後までハードボイルドを貫いた。
今日は長い1日だった、ゆっくり休もう。
おやすみなさい。
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