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もう記憶の中にしかないもの。

#小学館 「#オールカラー版世界の童話」が好きだった。
#1970 年代当時、ブランドへの信頼からとにかく読み漁り、本人的には、近所や親戚の兄ちゃん姉ちゃんのお下がり本をもらえることになると、血眼でシリーズを探し、自分としては目を通してきたつもりだった。
ただ、シリーズに紛れ込んだ連作物はなぜか自然と避けていただけに、当時、母親が勤めていた銀行に顧客用としてのお下がりで子供向けの本が休憩室に置かれるらしく、その影響で買い与えられた、#ピエール・プロブスト「#カロリーヌとゆかいな8ひき」だったが、案外どこから読んでも大丈夫で、最初に呼んでずっとインパクトだったのが「#カロリーヌのせかいのたび」である。
その中でふと思い出した名シーン、チーズの話を母親としていた時だと思う。
俺はこの連作に触れていた頃、未就学児だったはずなので、#チーズ という食品の原料も原形も知らなかったし、「#カロリーヌのヨーロッパりょこう」で、#オランダ に行ったカロリーヌたちが積まれたチーズの山を崩してしまい、原形チーズが転がって大変なことになるシーンに初めてチーズが本来どういう形をしているのかを見たのであったのを、突然思い出した。
2000年代になってそもそも、カロリーヌへの郷愁が俺に読み直しをしたくさせ、そこで検索したら、オリジナルに忠実に復刊されているのを知り、結局三十冊ほどになるオリジナルの連作が、小学館版では合本として出ていたことを知る。
まず、当時の近所だった、ニーヨンロク沿いのブックオフに行ったら、結構新古書が既に復刊されたバージョンで結構置いてあったのを発見(2000年代後半)し、そこそこ買い漁ったら、読んだ当時にはいなかった #ロボット (#ティトス)が仲間に加わり、そいつが散見されている様子はうかがい知ることができたが、やはり子供向けの、全てひらがなカタカナで記された、大判オール―カラーハードカバーの絵本はかさ張り、独居していた時分には、とても全部揃える気にはならず、その後納得するまで数冊ポチって、十五冊弱というところで挫折した。
しかし、チーズの山を崩したカロリーヌのオランダ訪問は遂に発見できず、動物園に送られた白熊の子供を北極に送り返して母熊に会わせる「#カロリーヌほっきょくへいく」が記憶と完全に合致するのみであった。
早速、その際のフラッシュバックで再現されたオランダ旅行が、俺が復刊されたにもかかわらず、かさ張る関係(=ゴミ屋敷への予感)からコンプリートを断念した、#BL出版 バージョンに含まれるのか、確認してみたが、「#カロリーヌのヨーロッパりょこう」は現在 #フランス では発行されておらず、そのために復刊(小学館版とは別のオリジナル分冊)にも含まれていないことが発覚したのである。
要するに、憧れの国オランダでの、#カロリーヌ 一行が繰り広げる愉快な道中は、ボロボロのかさ張る古本を無理に探して入手する以外には、全て俺の記憶の中の出来事に過ぎない、ということなのだった。
当然、そんな暇も余裕もない。

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