![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46265736/rectangle_large_type_2_4f7a8da94a7fb335311c3d4a8067e704.jpeg?width=1200)
Photo by
shirousbar
ひろってはいけない心のおとしもの①
もし「なぜわけもなく自分は死に惹き付けられるのか」と悩んでいる人がいたとしたのなら、これから話すわたしの体験談は、解読書の一例になるかもしれません。ただあくまでも個人的な体験からの解読書のひとつです。
若い頃、わたしの働いていた美容室は、にぎやかな都会のビルの1階にあった。
バス停から徒歩5分。
老舗のデパートとビルのあいだの裏道を入る。そこは一通で、ビル関係者の車がたまに通行するくらいだった。そして朝はデパートとビルで働く人たちが歩いていた。
そのころのわたしは『9月の彼』を経験し終わったころだったか、次の年くらいだったか。20代の前半だった。
いつものように出勤のためにその裏道を歩いていたある日、わたしは、高いデパートの上からなにか落ちてくる気がして落ち着かなくなった。
毎朝、必ず、「ぁ、」と思って上を見上げてしまう。
しかし、見上げたさきはデパートの上層階と、周りのビルで切り取られた都会の空が見えるだけ。
帰宅の夜遅い時間にはそんな気持ちにはならない。
なのに、朝は必ず同じ場所で通りすぎる瞬間に、不安なこころが一瞬沸き起こり、「ぁ、」と思って上を見上げてしまっていた。
それはある日突然始まり、毎朝続いたのだった。
↓つづく