雷雪に囚われる
ふりしきる雪、雪、、
雪原のむこう、コンクリート色の空が、
ほそく鋭い稲光で割れた。
雷はとどまらず移動しながら楔を大地に打ち込む。
…不安でないと言ったら嘘になる。
どんなときも心の芯から安らぎがもてなかった。
哀しみをひろう。
なんて淋しい人生。
けれども淋しいゆりかごで育った人間は、小さな優しさや愛しさが好きだ。
そんな欠片を集めて生きてきた。
冬の雷を感じて思うこと。
長いあいだ欠片を集めてできた小さな自分の鎧も、
いつか死という稲妻で打ち砕かれたとき、
どんな"本質"をたずさえて還ってゆくのだろう…。
還っていけるのだろうか… と。
現実には夕飯のおかずは決まっていないし、掃除も中途半端で休憩している。
でも心は雷雪にとらわれ、
夢遊病者のように心を雪原に漂わせる。
けれども。
しだいに… 雪はやみ雷もおさまった。