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Pop Virus

ポップスは、素晴らしい。


ポップスは、偉大だ。


ポップスは、優しくて、強い記憶だ。


小さい頃、といっても小学生くらいの頃。


このくらいの年代になると、
アイデンティティを探し始める。


それはいいことなんだけど、
みんなと違う、ということを無理やり探し始める。


手っ取り早いのが、
みんなが知らないものを、好きということ。


みんなが、嵐やAKB48、EXILEやセカオワ
なんかを観ていた。


そのみんなには、
もちろん、僕も含まれていた。


だけど、僕はそれが嫌だった。


だから、みんなと違う、を探した。


YouTubeを漁って、
SuchmosやNulbarichといった
お洒落な音楽を聴いた。


というか、聴いている自分を演じた。


みんなとは違う音楽を聴いている自分、
になるために聴いた。


そうして、僕は青い日々を過ごした。


時は過ぎ、大学2年生の今。


間違いなく言えることがある。


それは、音楽を聴くのが楽しいということだ。


僕は今、音楽を聴くのが楽しい。


音楽を聴いている自分ではなく、
音楽自体が好きだ。


それは何故か。


僕が、僕を認めたからである。


高校生活や大学受験、
そして今の生活を経て、
きっと、少しだけかもしれないけど
自分を好きになったんだと思う。


誰も友達はいないけど、
好きなことをしている自分を
認められたんだと思う。


そんな僕は、ポップスを愛している。


と、堂々と言うことができるようになった。


ポップスは素晴らしい。


ポップスを、馬鹿にしてはいけない。


ポップスの特徴は、
やはりそのキャッチーさだろう。


僕は、
ポップスのキャッチーさは、玉手箱だと思う。


『空は青く澄み渡り、海を歩いて目指す
  怖いものなんてない
  僕らはもうひとりじゃない』


セカオワのRPGという曲の歌詞だ。


僕が、本当は愛していたのに
愛していないふりをしていた
SEKAI NO OWARIの曲。


ふと、この曲を思い出した。


あの頃、頑張って聴かないフリをしていたあの曲が
突如頭に流れた。


メロディーに乗って、歌詞が聞こえてくる。


小学生の頃の曲が、
大学生になった今、脳内を支配する。


なんのきっかけもなく、
本当にいきなり。


そして、その歌詞が
体にしみ渡る。


そういえば、
あのころは歌詞なんて気にしてなかった

今こうして歌詞を聞くと
すごく素敵なことを言っている。

もう一度言うが、僕は鼓膜にRPGが
流れてきたわけではない。

ふと、脳内で再生されたのだ。

何年も経っているのに、
キャッチーなメロディーが歌詞をがっちり掴んで
数年後の僕の頭に届けてくれる。

玉手箱を開けたように、
エンターテインメントが広がる。

こんなことを言っていたのか。

こんなこともあった。

これもまた、
ふと思い出した。

『もうEND?乗り込んだのはトレイン
  行先は未知なる道
  一体どこへ行く?』


ふと思い出した歌。


関ジャニの曲で、
クレヨンしんちゃんのOPだった。


ジャニーズなんて、
当時の僕は聞いているなんて言えないような
ジャンルだった。


それに、クレヨンしんちゃんも
見ているとはいえなかった。


でもあの当時、僕は
ジャニーズが好きだったし
クレヨンしんちゃんも見ていた。


時を経て今、
脳内に曲が流れた。


流石に何年も前の曲。


歌詞が空耳になってチグハグだ。


だけど、一応ネットで検索してみる。


さすがは現代のネット。


検索結果が出た。


そして驚いた。

それは、検索結果が出たことでは無い。


歌詞だ。


歌詞が、あのままだったのだ。


意味の通っていない
あの変な日本語を、何年も後に届けてしまうほど
ポップスは、強いのだ。


心底、ポップスをかっこいいと思う。


『音の中で 君を探してる
  霧の中で 朽ち果てても彷徨う
  闇の中で 君を愛してる
  刻む 一拍の永遠を』


星野源の、Pop Virusという曲の歌詞だ。


きっと、この一拍も、永遠だ。

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