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今さら見てみる「Detroit Become Human」【カーラ編①】 失った誰かの “代わり”

ども、洸です。
今年に入ってから仕事の内容が急激に変わりまして どうにも病みがちなんですが、半年以上この調子で そろそろ痺れを切らしてきた ところです。

病んでいるときは、私の場合 謎にゲームの実況動画を見がち()なんですが
そんな訳で 2018年発売のゲーム「Detroit : Become Human」を今さら視聴したので、要所で感じたことを ぽつぽつ書いていこうと思います。

作品を知らないという方は、下記の動画で一気見できます。
ただし、ゲーム中のプレーヤーの行動によりストーリーの展開が どんどん分岐してエンディングも様変わりするのが この作品の特徴です。気になる方は 他の動画にも あたってみてください。

 

失った誰かの “代わり”

携帯ショップみたいな雰囲気ある
アンドロイド売り場で目が覚めた。

人でない、物として売買される感覚ってこんな感じなのね。商品側に置き換わってみると、なんか やな感じ。

どうやら 損傷したため修理に出され
その過程で 過去の記憶は消去されたのだという。
「ただの事故さ」とやたら口数が多いので
普通に嘘っぽい。
店員に名前の登録をすすめられ
トッドは アンドロイドに「カーラ」と呼びかけた。
名前は娘が付けたのだという。

生命を吹き込むような声の響き。
誰かと重ね合わせて 見るような瞳をしていた。
「AX400」という型番のアンドロイドは
この瞬間から「カーラ」になった。

不気味の谷とは言わないまでも
アンドロイドらしく 無機質な瞳をしている。
トッドとは 対照的な瞳の演出。

いったいカーラは誰の代わりなんだろう。
妻が出て行ったのだと言うトッド。
憎しみの中に さみしさ があるような発言が目立つ。
「ほっといてくれ」と言うのは、むしろ さみしいから。
気にかけてくれる人がいるのに
不器用に 反発して言っちゃう あるある。
物みたいに除けられるシーン。
アンドロイドには 人権が無いことを示す描写であるのと同時に、妻への怒りの 当てつけのような感じもする。

妻がしていた家事は トッドにとって必要であったから、それだけを 代行する存在としてカーラは連れてこられたのだろう。
場面は 変わりまして(なんか髪型違くない?)
ストーリー終盤の一幕。
「(誰かの)代わりになんてなれないのよ」
と人間がアンドロイドに諭される 皮肉。
人の心の弱さが ひとつ 浮き彫りになるわね。

トッドとカーラが 車で 家に戻るシーン
え?
2038年にもなって 自動運転じゃないのね笑
アンドロイドに運転させるという訳でもないのね?

トッドは 元々タクシードライバーだから
あくまで自分で運転したいという
気持ちの現れなのかしら。

と思ってみたりもしたけど、ちょっと違うかも。
他の車のシーンも アンドロイドが助手席に乗っている…
車が古い。
手前に立っているアンダーソン警部補が
旧時代的な人であることを示しているのと同時に
反アンドロイドな思想の持ち主だから
運転させない というのもあると思うけど。

でもこの作品では「自由」が1つテーマになっているから
「自由がない」ことの暗喩ではないかと。
ふーん。
バスドライバーも人なのか。
という感じで、ストーリー序盤で「身動きがとれない」
うちは 人間のドライバーが出てきがち。
「自由」を求めて突き進むような場面で
ようやくアンドロイドが運転するシーンが出てくる。
実に対照的な描写。
このシーンで乗っているのも 一応アンドロイド。
あ、自動運転あるじゃん。

でも… なんだって 今さら自動運転表記を
制作陣は選択したのかね。
みてくれ レベルで目立つし。
この車は マッドサイエンティスト()の
所有物だった背景を考えると
自動運転の車くらい乗っていて欲しいものではあるが。
この行き先で 間違いないんだろうか…
心に迷いがあることを 暗示しているのかも
と思ってみるけど、違うような気もする。
このシーンで運転席に座っているのは人間。
アンドロイドに協力する数少ない お方である。
お金は無いが 食事には困らないのだという。
ふむ。
でも自動運転機能付きの車をお持ちなのね。
今までと違って さりげない表記。

いずれにせよ、アンドロイドが所有者を離れて
「自由」へ向かおうとする場面では
助手席に乗せて人間側がハンドルを握る(=支配?の暗示)シーンは出てこなくなる。

自動運転ということは
定めた目的地へ向かっているということだから
「迷わない」「引き返さない」という決意の顕れなのかなとも思ってみたり。

ゴミの分別

燃えるゴミ〜
缶も〜
ビンも〜
まとめてポイ!

2038年にもなって ゴミの分別もできないんかい笑
と言う感じですが。

ゴミの分別をしてリサイクルする方が
3倍コストが かかるそうで
アメリカだけでなく
本作の制作元は フランスであるけれど
生ゴミとその他くらいしか分別が無いのだそう。

ゴミの分別に色々思ってしまうのは
日本人だからであって、深く考えない方がいいのかな。
アンドロイドはと言うと…
やはり分別されません泣

まぁ、他の ”物”と一緒に扱われることが伝わるよう
描こうとしたのかもしれない(考えすぎ?)

“ 不思議の国のアリス“

カーラは 家事の他に トッドの娘である アリスの面倒も
みることになった。
自室であっても さらにその中に布等で小世界を作り
ぬいぐるみと会話している。
安らぎがあるはずの家庭にも居場所がないから
内面の精神世界に閉じこもっているご様子。
さながら 迷い込んで
出られなくなってしまっているだろう様子を
おとぎ話 を用いて暗示。
暗がりな部屋と対照的に、布の中には 明るい照明。
寡黙だけれど、閉ざされた内面には
子どもらしい明るさがあることを
うかがわせる演出。

レッドアイス

娘の目の前で ヤクふかしてる 親父、マジやばいのだが。
特にアリスにしてみれば、マトモな家庭環境ではない。
アルコール類
抗うつ剤を見つけ、片付けようと引き出しを開けると
拳銃が。
トッドは 希死念慮を抱えていそう…
目を凝らすと「PAST DUE(=支払期日 超過)」
の文字が見える。
壁に所々ヒビがある室内も相まって 貧困の暗示。
洗濯機を回そうと思い、洗剤を手に取ると
赤い結晶が入った 小袋が。
トッドがやってたクスリはコレか。
てか、なんで洗剤の中に入ってるの笑
洗剤の名称は さりげなく「Blue Splash」
何らか意図した対照的描写。
ブルーと言えば「ブルーブラッド」が思い浮かぶ。
アンドロイドの体内を流れる血液みたいなもの。
「We don’t bleed the same color」
肌の色の差異といった、人種差別を乗り越えた
と思ったら、今度は 血の色が違うから とは…

時代が経れども差別は 繰り返されることの暗示。

アンドロイトが 魂を宿し、知的生命体として
息吹を上げる一方で
人間は アンドロイドを 前にして 非人道的な行動をとり
むしろ どこか退行している印象を受ける。
レッドアイスの成分を見つめていたら
「シリウム」が含まれていることに気づいた。

シリウムは ブルーブラッドの主成分、とな。
めちゃ皮肉効いてそう笑
この世界を探索すると ところどころに雑誌が置いてあり
手に取って読むことができる。
ふむ、レッドアイスに関する記事だ。
「青い血から赤い氷と緑の金」
光の三原色のノリで痛烈な皮肉をかましてくるなぁ。

まだまだ 仕事の病み期が続きそうなので、現実逃避か、ほのぼの考察は次回も続きます。
一応カーラ編のエンディングまで書くつもり。

どうぞ よろしく。

続きはこちら


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