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今さら見てみる「Detroit Become Human」【カーラ編②】 微笑みかけること

ども、洸です。
前のnote投稿が11/30だったと思いますが、ちょうど投稿を再開して1年記念でした。
というわけで、note側に「本日までに投稿すれば12ヵ月連続投稿になります!」と急かされて、何か書いてみますか と思い、先のような投稿をしたのでした笑

他のnoteをご覧になったことがある方はご存知だと思いますが、私は普段 性別不合(性別違和/ 性同一性障害)に関する投稿をしています。
6,000字超のものなど 下書きは いくつか手元にあるのですが…
投稿時期が悪いなと いったん見合わせたり、特に最近は仕事のことで 調子が良くないので、文章の途中まで書いて 手が止まったり ということが続いています。

そのようなことが定期的に発生するのですが、この間何をしているかというと、別の場で とりとめもないことを やはり書いてしまいます。
どうやら 自分は 書き物が好きなんだ、と都度 実感する次第です。

いつもは 誰も見ないようなところで 考え事をしながら ひっそり書いているんですが
今回は 残る形で書き置きするのも面白いんじゃないかなと。

そんなこんなで、続きです。

前回はこちら

微笑みかけること

アリスと初めて対面したシーン。
手すりの支柱が物理的障壁として
二者間にあることも相まって
心理的距離も隔たりがあることを表現しているようだ。

カーラの記憶は消去されてしまっているから
同じ風貌でも 別人と言えば別人で
子どもからすれば 実に奇妙な状況であり、
またトッドからアリスへの日常の態度から察するに
他者に不信感を抱いたり警戒したりするのも当然かな。

アリスが単にシャイな子、というより置かれている環境が
良くないという暗示でもあるような。
アリスに微笑みかけるカーラ
アリスはというと
挨拶もしないで2階に駆け上がってしまった。

失礼なことをしているという感覚はあるのだろうか。
トッドが マナーを咎めないところから察するに
挨拶をするといった基本的なコミュニケーションについて
キチンと教育を受けている様子ではない。
ふと目をやると机の下の陰に隠れているアリス。
米国らしい広すぎる部屋の中に どこか、居場所がない。
皿を洗っていると、アリスに見つめられていることに
気づいた。
アンドロイドだから 顔を向けないで微笑むのは
必要のない動作だと言えるが
カーラはここでも微笑む。

このようにカーラがアリスに微笑む描写は
各所に散りばめられていて
アリスに対する愛情が見て取れるようになっている。

そして カーラには “心” があるのではないかと
見る者に予感させる。
 “心”を持ち
所有者に抗い逃亡するアンドロイドについて
作中では「変異体」と称される。
所有者から非合理な指示を受けたことを発端に
予期せぬ行動を起こしたから生じるとか
精神的ショックを受けたからとか、説明されるけど。
床に落ちていた熱帯魚を救ってみたり
(慈悲の心)
見たことのないものを、感情の おもむくままに
絵を描いてみたり
(創造力と感性)

実は生まれたそのときから、感情の発露といったものは
あるのではないだろうか。

カーラで言うと、それは微笑みであり
アリスへの愛情なんだろう。
当初は階段を駆け上がって逃げていたような アリスだが
絶妙な距離を保ちながら近づいてくる。
カーラは自然と笑みがこぼれる
(愛情)
ここで話しかけてみるイベントがあるが
アリスは無言で目も合わせてくれない。

ただ、話しかけるとアリスの好感度が上がるので
悪くは思われていないようだ。
今度は部屋の端の窓辺にいるので話しかけてみるか
カーラの方に少し目を向けるようになったアリス
コレが特に分かりやすいシーンのように感じたが
うつむくアリスの表情は逆光で暗く
微笑みかけるカーラの表情は光を受けて対照的に明るい。

全体的にカーラとアリスの対比には 照明のあて方の違い
といった工夫も試みられているように思う。

アリスが持っているキツネの人形の名前を訊くカーラ。
しかしアリスは無言のまま 答えてはくれない。
ベッドメイキングをしていると
そろりそろり 歩いて行くアリス
最初はあまりカーラの表情が映らないカットだったが
アリスに気づくと画面に接近してくるような感じで
微笑みを浮かべた顔が出てくる。
視覚的誘導を促す工夫がされているカット。
とうとうアリスの部屋までやってきた。
アリスは怖がって
布で囲ったような小部屋(?)に隠れた。

カメラの視点が ちょうどアリスの視点くらいで
長身でよく分からない人が自分のテリトリーに
侵入きた恐怖を見る人にも伝わるよう
視覚的に表現されているように思う。
あら…
アリスが興味を持つようになり
カーラのことが気になってしょうがないみたい
「初期化されてしまう前のように
 “また” “お友達”にならない?」
とアリスは提案。

カーラは記憶を消去されてしまったが
アリスの様子を見るに 初期化前も協調関係だった察したのだろうか。

お友達。 
主人の娘と 家政婦と言うより
対等な感じがして良い響き。
微かに笑みを見せたアリス
トッドの方に向けたカーラの表情はというと…
笑みといえば笑みだけど “心”を感じないね。
トッドから指示を聞くカーラ
「ビールを持ってこい!」のときのカーラ
寝こけているトッドを起こすカーラ。
心配そうな顔をしているようにも見えるが
瞳が人形っぽくて、薄暗がりな感じも相まって
ちょっと怖い。

キツネの人形

キツネ(?)の人形と おしゃべりねぇ…
本当は 話し相手がほしい。
子どもと ぬいぐるみの組み合わせは
「ブランケット症候群」を彷彿とさせるよね。
ぬいぐるみ等を持つことで
精神的安定を保っている状態のこと。
キツネについて考えてみると
日本では キツネは 化ける存在として出てくるよね。
女性に化けているイメージ。

そういった部分を汲み取っているかは知らないけど
私は アリスが キツネの人形に
誰かを投影すること=キツネが誰かに化けている
というような印象を受けた。
そういえば、角度的に 妙に 見えなかったんだけど
気になりません?
人形の 右のこめかみ の辺りにテープで何か留めてある。
アンドロイドに付いているLEDを模したもので
間違いなくカーラを投影したものだろう。

「新品」とあるから
どうやら最近買ってもらったものであるらしい。
最近というと、カーラは修理のため
しばらく家にいなかったから
このキツネの人形はその頃のさみしさの埋め合わせとして
トッドがアリスに買い与えたものなんだろう。

カーラは記憶を消去され
カーラが帰ってきても “キツネ”と会話している様子の
アリスを察するに
“以前のカーラ”が恋しいのだろう。

なんとも複雑な気持ちになる…
「カーラ」と言う名前はアリスが付けたのだという。
「いい名前」とカーラが言うと
アリスはキツネの人形に目を落とした。
ちょっと話が戻るけど
西洋では ハンターをかいくぐるって逃げる様子から
キツネは「賢さ」「機転」の象徴でもあるようね。
このあとの展開としては
カーラはアリスと一緒にトッドから逃亡して
国境を越えちゃうんだけど
その様子は さながら ハンターから逃れるキツネのようで
そうしたストーリーの展開の暗示や
カーラのイメージを投影するのに
キツネがピッタリだったんだろう。

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