池田先生の平和提言・軍備に対する考え方
トインビー対談の警鐘
現在、創価学会インターナショナル(SGI)は世界192ヵ国に広がっており、平和・教育・文化運動を行っています。
世界各国に学会員がおり、ウクライナ・ロシア戦争のように、紛争国の双方に学会員がいることが珍しくはないなか、創価学会第三代会長の池田先生ほど、仏法者として、平和を願い、厳しい世界情勢を凝視された方はいないと思います。
池田先生ほど、国家間の対立や紛争の止まない世界情勢の閉塞感を打破すべく、現実的な平和主義を掲げ、具体的な政策提言や命懸けの平和行動を示された人はいないと思います。
池田先生はトインビー博士という戦争に関する歴史観の大家と、1972年に「21世紀への対話」という対談集を遺されています。
トインビー博士はドイツ軍やロシア軍の侵略を始め、大量殺戮が行われた2つの世界大戦を体験され、イギリス王立国際問題研究所研究部長などを歴任されています。
トインビー博士と池田先生の対談は、環境破壊、臓器移植、死刑廃止、安楽死など、多岐にわたるテーマについてなされ、現代にあっても、色褪せるどころかいや増して発光を放っています。
特に公明党にあっては、政策決定するにあたり、常に立ち返るべき重要な対談集ではないでしょうか。
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「21世紀への対話(トインビー対談)」の第二部第二章「軍備と戦争」において、泥沼化したベトナム戦争や中東の紛争について精緻な分析をされた後、池田先生とトインビー博士は次のようにおっしゃっています。
(池田先生)
国防のためだから、国民の税金を軍備の拡張のために注ぐのは当然だという、政府・権力者に言い分は、まやかしにすぎません。
政治権力の多くは、この「防衛」を口実に作り上げた軍事力によって「侵略」を行い、他国民も自国民も、ともに苦悩のどん底へと叩き込んできたのですから。本当に「防衛」のためだった例は、極めてまれでしかなかったのではないでしょうか。
(トインビー博士)
ところが実際には、防衛のための編成・装備・徴兵と、攻撃を意図した同様の準備とを、あらかじめ区別することはできません。それゆえ、うわべは防衛を装った準備が、実は攻撃を意図したものであるかもしれない、という疑惑を呼ぶわけです。そこで、これを脅威とする国は、それに対抗する準備を始めることになります。
ひとたび軍備競争が始まると、競争国のいずれかがこの競争に勝とうとして奇襲攻撃をしかけ、これを予防戦争と称して侵略戦争を正当化しようとしがちになります。
(池田先生)
問題は、あらゆる国が他国の侵略を前提として自衛権を主張し、武力を強化しており、その結果として、現実の国際社会に人類の生存を脅かす戦争の危険が充満していることです。
しかし、この国際社会に存在する戦力に対応して「自衛」できるだけの戦力を持とうとすれば、それはますます強大なものにならざるをえません。それゆえ、武力による自衛の方向は、すでに行き詰まってきているといえましょう。
SGI提言
【「戦争の文化」の克服】
1999年のSGI提言で、
池田先生はコソボ紛争やイラク戦争などを踏まえ
「いかに正義や大義があろうとも、他者にとってそれが侵害と映る限り、復讐を招いたり、泥沼化する恐れがある」と述べられました。
一方、30年余り続いた北アイルランド紛争が、対話路線の積極的促進によって、歴史的な和解合意に達したことに言及されました。
「出来合いのステレオタイプ的な情報が強烈に流される一方で、実像というものがますます捉えにくくなっている」なかで、人間と人間との直接の対話が求められるとおっしゃっています。
【世界の軍事費の半減達成を!】
2013年のSGI提言で池田先生は、
SDGsの主要なテーマの1つに軍縮を当て、2030年までに達成すべき目標として、
2010年の軍事費を基準にして、世界全体の軍事費の半減すること、
そして、核兵器の廃絶と、非人道性などに基づき国際法で禁じられた兵器の全廃を掲げられています。
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提言から10年余りが経ちましたが、
英国のシンクタンク、国際戦略研究所が2024年2月13日に公表した、世界の軍事情勢を分析した報告書Militaly Ballance 2024によると、2023年の世界の防衛費は前年比9%増の$2.2Tに上り、過去最大を記録しました。
日本も、令和6年度予算の防衛費は、防衛力強化の方針に伴って1兆1300億円ほど増えた7兆9496億円となり、過去最大となりました。
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【日中関係について】
池田先生は2013年のSGI提言で、
前年の2012年の日中関係は戦後最悪の状態だと言われているが、1968年の日中国交正常化宣言を行った当時の方が現在以上に厳しい状況にあった述べられています。
続いて、日中平和友好条約で誓約した「武力または武力による威嚇に訴えない」「覇権を求めない」との2点を、どんな局面でも守り抜き、「緊張を高める行為の凍結」についての合意を図り、対話を続けていくべきであるとおっしゃっています。
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【次期戦闘機の開発と輸出について】
次期戦闘機は、日本と共同開発を行うイタリア企業によると、AIを駆使したものとなり、山口公明党代表によると「殺傷能力をもつ兵器の最たるもの」になるそうです。
現在の仮想敵国は北朝鮮、中国、ロシアになるのでしょうか。
北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対して、北朝鮮は核保有国であることから、先制攻撃はできません。弾道ミサイルへの攻撃に対しては、次期戦闘機が迎撃するのではなく、イージス艦による上層での迎撃とペトリオットによる下層での迎撃が想定されています。
中国の軍事費は日本の6倍以上、ロシアは日本の約2倍です。
池田先生がトインビー対談でおっしゃっているとおり、このような状況で兵器開発にしのぎを削り、軍拡競争をしても行き詰まりは目に見えています。
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トインビー対談で池田先生は、国防のために税金を注ぎ込んで軍備拡張を行うのは「まやかし」だとおっしゃっています。
公明党が次期戦闘機の輸出に様々な歯止めをかけた意義はあると思いますが、
師匠が「まやかし」と断じた軍備拡張をいつまで行うのですか?
軍拡競争の負の連鎖は、どこかで断ち切らなければなりません。
2030年までに世界の軍事費を半減との池田先生の提言にも、いまの防衛予算の有り様は逆行しています。
以前のnoteと重複しますが、3/24の未来アクションフェスのトークセッションで国連広報センターの根本かおるさんが、
「世界の軍事費は史上最高をいま記録しています。気候変動対策やSDGs実施策はすごくお金がかかることです。軍事費に回ってる予算を人々の豊かさや生活を支える予算に振り分けることができたら、格差のない世界の実現に一歩近づく。」とおっしゃっていました。
根本さんは現実を踏まえない理想主義者ではなく、国際情勢に通じたプロです。
根本さんのように、SGI提言の実現を目指すような実務者がいる一方で、
公明党の国会議員の発言や政策からは、先生の提言を本気で実現しようという意志が感じられず、トインビー対談の警鐘も無視しており、残念でなりません。
創価の理念、池田先生の提言と公明党の政策がこうも大きく乖離しているいま、支援する私たちは自己矛盾に引き裂かれ、その痛みを背負わされています。
議員自らがまず襟を正して矛盾を直視し、誤魔化すのではなく、丁寧な説明をして頂きたいです。
※宜しければ、下の過去の次期戦闘機の輸出に関するnoteについても、ご一読ください。