見出し画像

子どもに親の趣味をどこまで押し付けるか?

押し付ける、というと語弊がある。一つ屋根で暮らす親の趣味・嗜好が子どもに影響するのは自然なことだろう。それ自体は悪いことではないけれど、夫の影響力がものすごいのだ。

先日、夫の見せたYOUTUBEをきっかけに、クリスタルキングの「大都会」にはまったヒカル。「ああ~ 果てーしーない~」とビブラートばりばりで歌っていたところ、クラスメイトは全然知らなかったそうだ。そりゃそうだ。大都会がヒットしたのだって、私が小学生くらいの頃だもの(ヒカルは夫が46歳の時の子ども)。

こんなこともあった。
マイケル・ジャクソンの大ファンでもある夫、「マイケルはキング・オブ・ポップなんだよ」と、様々な映像を折に触れて見せていた。ヒカルが小学2年生のある日、「明日、マイケルの『スムース・クリミナル』の時の帽子がいる」と夜になって言い出した。ヒカルの通う小学校では、自分の好きなことや得意技を披露する時間が半期に一度くらいあるのだが、なんでも明日この授業で、振り付けを完コピしていた「スムース・クリミナル」を踊るつもりらしい。残念だけど中折れ帽はうちにはないよ、麦わら帽子じゃだめかな?と言ったところ、夫が「よし、じゃ、俺が行ったる」。夜8時を回っていたが、電車を乗り継ぎ、無事、ドン・キホーテで似たような帽子を入手。確かに、「スムース・クリミナル」は帽子がないと恰好がつかないもんね。
翌朝、帽子と「スムース・クリミナル」の入っているアルバム「BAD」を持ったヒカルは、意気揚々と学校へGO!

保育園の頃、夫が敬愛するモーツァルトを描いた映画「アマデウス」をDVDで見せたら、ヒカルのお気に入りになって、今でも時折「夜の女王のアリア」を口ずさむ。保育園で仲良くなった友達ファミリーとカラオケに行ったときも、ヒカルが尾崎豊の「十五の夜」を歌って、相手のパパが噴きだしたこともあった。A-HAの「テイク・オン・ミー」も、ヒカルが算数のドリルをやるときの、口笛のレパートリーの1曲だ。

更にさらに。
つい先日は、学校でカナダ出身の英語の先生が黒澤明監督の話をしたそうだ。知ってる人?と聞かれて手を挙げたヒカルは、黒澤映画の好きな作品を問われて「乱」と答えたらしい。最初にヒカルが観たのは確か「羅生門」だと思うのだけれど、普通、小学校低学年の子に見せないですよね?

平成生まれとは思えない、昭和ど真ん中街道を突っ走るヒカル。
これらはすべて、夫の影響である。
「な、ヒカル、わかるか?この人のすごいところは・・・」と、いかなるジャンルにおいても自説を熱く展開する夫。口角泡を飛ばす、とはまさにこのことだ。ヒカルは彼を「うんちくおじさん」と呼び、半ば呆れ、半ば尊敬の眼差しで眺めているように私には見える。

私にもこだわりの映画や本、音楽だってある。でも、なぜかそれをヒカルに語ることができない。今日も夫とヒカルの会話を傍で聞きながら、自分はヒカルに何を与えることができるんだろうと考えている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?