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「味方を増やすのではなく、敵をつくるな」

対立を煽る人の言葉は信用してはいけません。その言葉に煽られ、敵対心剥き出しにすることで一体感が増し、一時的に味方を増やすことになるかもしれませんが、同時に敵をも増やすことにつながります。
敵は増やしても良いことは一つもなく、恨みを買うことによる後々のマイナスの方が大きいものです。
裏を返すと何かをする際に、味方を増やそうとして対立を煽るようなことはしない方が良いということです。

かの田中角栄元総理も一国の宰相として人を動かすために重視していたことは、「味方を増やす」のではなく、「敵をつくらないこと」だったと言われています。

世の中、様々な思考、価値観、意見があり、対立すること自体は致し方ないことではあると思います。自身が直接関与しているかどうかは別にして、身の回りに対立してしない環境にいられる人は稀でしょう。それくらい世の中は対立で満ち溢れているのです。

対立をうまく利用して、味方を増やすという手法は昔から使われています。対立を煽ると求心力に繋がりますし、熱狂もします。それにより味方が一気に増えることもあります。しかし、その求心力や熱狂は諸刃の剣です。

対立により自らの立ち位置を確立している人は、その対立が収まることで立場がなくなることがあります。また、熱狂している人たちとのちょっとした意見の相違が、内部での対立を招くこともあります。求心力、熱狂により集まった人たちというのは、表面的な主義主張で集まっているケースも多く、深いレベルではギャップも生じやすいのです。

また、対立を用いる中で集まった人たちは、他者への寛容さが欠けているケースも多いものです。自分の主義主張が正しいのだという意識が強く、異なる意見、考えに拒絶反応を示すようなこともあります。

物事を前に進めるため必要なことは、対立を激化させて相手を叩きのめすことではありません。自分たちが正しいということを証明することでもありません。自分たちが考えることが少しでも前に進みやすくなるよう、反対する敵対勢力を増やさないことです。

無理に味方に引き入れようとしてはいけません。働きかけをするのであれば、中立に近い立場で、強い反対の立場に立たないようにすることです。それだけで良いのです。

プロジェクトが頓挫する多くの要因が、味方を増やそうとしているからです。味方は増やすのではなく、結果を見て増えるのが自然であるということを理解しておけば、何が必要かを見極めることもできるようになっていくでしょう。

著者:原田光久(ひかりば 代表 / コミュニケーション・プランナー) ●社会問題解決アドバイザー、新規事業開発・地域創生・経営支援 ●行政・教育機関・民間企業で研修・講演・IT推進をサポート ●連絡先:harada@hikariba.com