読書会記録『ソロモンの指環』@ダーウィンルーム

日時 2019年4月15日(月)19:30~

コーヒーと紅茶をお供に始まる。
お店の常連さんが多い印象。でも、どなたも気さくで、初めての人もウェルカムな雰囲気。

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『ソロモンの指環』
動物行動学者 コンラート・ローレンツの著書。飼育・観察を通じて発見した、動物の行動の魅力を説く。人間のようであったり、さらに人間と友情を結び、コミュニケーションを行う動物の行いが細やかに描かれ、まるで人間の物語を読んでいるかのようにひきこまれる。一方、動物の種類によって、人間のようには決して感じないこと、人間ができることができないこと、動物との生活の苦労やすれ違いも描かれ、「人間とは何か」「動物とは何か」という深い洞察もいざなう。
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最初は簡単な自己紹介+本の感想から。その後はフリートーク。
動物好きな人が多く、ローレンツが描く動物の魅力への共感が語られるが、
同時に、動物の研究は本当にこんなに「素敵な」ものなの?
今の学説や常識と相いれるの?といった疑問も。
キュレーターの池田 威秀さんからは、ローレンツは「思い入れが強すぎる」という言葉が出て、やはりかなり「ロマンチック」な描写なのだ…と会場は納得の雰囲気に

『ソロモンの指環』には、動物どうし、そしてローレンツ自身と動物との心の通じ合い、親密な友情、動物の行動に見える「人間性」が多く描かれる。
それはローレンツによる(人間の生活を犠牲にしても動物が自由に振る舞える環境を保っているとはいえ)飼育下で見られた行動である。
学者の態度としては多分に主観的であるが、若い人の心を動かし、人をその道へと後押しする、カリスマチックな魅力がある。
これを読んで動物学者を目指す人は多いらしい。

一方、研究上の重要な成果をあげるのは、こういったロマンチックな視点ではなく、もっとドライに対象を分析する研究者という傾向もある。
実際、ローレンツの弟子たちはより分析的、論理的な方向から学術的成果を挙げている。

ドライな論理的視点が行き過ぎると、論理に当てはまらない現象を捉えることができなくなったり、
さらには「論文にならないことはつまらない!」という本末転倒に陥る危険もあって、
ロマンチックな初心と分析的な視点の均衡の中で研究をしている。


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