ちょっと不思議なお話①
木製の明るめの大きなテーブル。
上には誰かの手編みの白いレースが置かれている。赤茶色の椅子が風の入る窓の近くに置かれて日向ぼっこをしている。
庭に咲いている白と黄色の小さなお花がガラスの小瓶に可愛く飾られ、まるで小さな鳥がテーブルにちょこんといるみたいに優しく存在感を感じさせてくれている。
ちょうど昼下がり。春のような日差しがなんとも言えず心地よい。
ベルが鳴る……
懐かしい風景。そう、そのベルを鳴らしているのは誰なのだろう?いつもわからない。でも、その音はとても心地よくて大好きだ。
♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪
ある日。いつものように近所を散歩していた。
すると、どこからともなくお花の香りがした。あまりにいい香りで、まわりを見てみる。何のお花の香りだろう?
でも、どこにもお花は咲いていない。
おかしいな?まっいっか。でも、いい香りだったなぁ。
そんな事を思いながら歩き始めた。もう、その香りはしなかった。
一時間くらい家の周辺を歩き、また同じ道を戻ってきた。
あれ?あの香り。
さっきと同じ場所。やっぱり、どこかにお花が咲いているんだ。今度は入念に探してみた。でも、どこにもお花は咲いていなかった。
おかしいな?あんなに素敵な香りがしたのに。
もしかして、妖精さんや天使さんなのかも。
『ありがとう!』
そう思った瞬間。
リンリンリン
リンリンリン
あのベルの音。
本当?!まわりを見渡す。誰もいない。自転車も車も走っていない。
耳をすます。空間の奥から聴こえてくるような不思議な優しい響き。懐かしい。
『ありがとう!ありがとう!』
感謝を伝えたくなった。そうだよって言われた気がしたから。
♪♪♪ ♪♪♪ ♪♪♪
それから、同じ場所を歩くと二回ほど同じような現象が起きた。
『ありがとう!ありがとう!』
心の中でいつも感謝を伝えた。
でも、その後はぱったりその香りもベルの音も聴こえなくなった。不思議だ。
それから数年後。
“あぁ、助けていただいたんだな”と思う出来事がその道で起きた。
きっと守っていただいたんだと思う。
本当に不思議な事ってある。
だから、それが何なのか、たとえわからなくても、感謝する気持ちがとても大切だと思っている。
わたしたちはひとりで生きているわけではなくて、たくさんの人たち、見える世界だけではないすべての時空で支えられて存在している。
わたしの大好きなあのベルの音がする家。
思い出すと心がほっとあたたかく癒される。
皆様にとってほっとする事や場所、音はありますか?