幡野広志写真展『いただきます、ごちそうさま』に行ってきた。
カメラマンの幡野広志さんのことを知ったのはtwitter。
今なお話題になっているので、ご存知の方も多いと思うけれど、カメラマンであり、猟師であり、特に狩猟現場の写真を撮り続けている中で、末期ガンで余命3年と宣告された方。
ガンを宣告されたのち、狩猟をやめた幡野さんは、現在35歳。私と同い年である。
幡野さんが、息子さんのことを綴ったブログ記事や、狩猟をしていたことで浴びせられる数々の罵倒の言葉、ガンを宣告された人に対して大量に押し寄せる迷惑な勧誘の話、読者からの質問に対して日々まっすぐ答える姿勢
ブログやtwitterやnoteでリアルに幡野さんが伝える何もかもが、今まで私が生きてきた中で、まったく考えも及ばないようなことばかりだった。
同時に、ガンはとても身近な病気だけれど、ガンを患っておられる方で、言いたいことを言えない人がほんとうにたくさんいるんだなあということがよく分かった。
そして私も、幡野さんの記事やツイートを読んでいなければ、言ってしまったかもしれないと思うこともたくさんあった。
そんな幡野さんの写真展が東京であるということで行ってきた。
https://peatix.com/event/358687?lang=ja
私はものすごく田舎に住んでいて、害獣の被害にはとても悩まされているし、そのこととは別に、狩猟には興味があった。
自分は普段普通に肉を食べているし、それがどんな経路を通して最終的に食卓に上がるのかを、あまり知らないのは、なんだか罪のような気がしていた。
狩猟をしている人のブログを読んだりして、ぼんやりとは分かったつもりになっていたけれど、この幡野さんの写真展を見て、もっと明確に狩猟というものを捉えることができた。
ギャラリーは、新日本橋駅から徒歩3分くらいのビルの一角。
1ドリンク(ソフトはフリー)付きで1,000円だった。1ドリンク付きなんて、おもしろいなあと思った。お酒を飲みながら堪能してもいいのだ。
見終えたあとに、幡野さんへのメッセージを書きながら飲んでもいい。
そして、動画以外は全てが撮影可。SNSへの投稿も自由。
2階には、幡野さん他チームの方が実際狩猟をしてから解体するまでの一連の流れが分かる動画が流れていた。
今まで動画は見たことがなかったけれど、これを見てやっと、自分の中でぼんやりしていた狩猟というものがはっきりしてきた。
自分も肉を食べるのに、撃たれる動物を「かわいそう」と思っている自分は確実に存在して、自分の中で日常的に肉を食べることと、見た目がかわいくて小さくて元気な動物が撃たれることには、まったく関連性が持てていなかったということがとてもよく分かった。
私は自分の身に起こること全てを、日々ごく当たり前に享受している。
毎日楽しく呑気に暮らしているけれど、私がこうして何の苦労もせずに田舎の暮らしを満喫していられるのも、誰かがつくってくれた食べ物や、インフラや技術や設備や制度やあらゆるものを無意識に享受しているからなのだ。
自分は幸せすぎるんだなあということを、改めて噛み締める。
そのことを忘れて過ごしていても、まあ別に誰に怒られるわけでもない。
そしてたぶんまた、忘れて日々のいろいろに没頭したりするんだろうとも思う。
自分の目に見えているものはごくわずかな部分である。
幡野さんは、狩猟をしていたことでたくさん批判もされてきたし、今もされている。
でもたとえば、野菜しか食べない人のその野菜が手元に届く前に、その畑を守るためにあらゆる動物が駆除されていたりする。
今この瞬間に自分が触れているもの、身の回りのもので、全て自分で生み出したと言えるものは一つも無いと思う。
これは一次的に何かをつくる人であっても、厳密に言えば、全てを自分の力で生み出すことは不可能だ。まず自然があって、自分がそこに存在することを守ってくれる環境があって、材料があって初めて何かを生み出せる。
そう考えたら本来日々は、する感謝・される感謝で溢れていていいはずなんだよなあと思う。
私もまたきっと忘れるんだけど、思い出す回数は確実に増えると思う。そして、振り返る時間も長くなると思う。
少しでも気になっている人は是非、足を運んでみてはどうでしょうか。
https://peatix.com/event/358687?lang=ja
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